G7議長国の日本、5カ国によるイスラエル支援の声明に署名するのを選択せず 理由は?

岸田文雄首相 政治・経済

G7議長国の日本、5カ国によるイスラエル支援の声明に署名するのを選択せず

G7議長国の日本、5カ国によるイスラエル支援の声明に署名するのを選択せず(アラブニュース 10 Oct 2023 09:10:49 GMT9)

・ガザのハマスによる破壊的な攻撃からのイスラエル支持に対する共同声明を日本とカナダが棄権
・松野博一官房長官:日本が声明を棄権したのは、柔軟なアプローチを維持するためであろう

アラブニュース・ジャパン

東京:G7加盟国5カ国は、ハマスによるガザからの攻撃の後、イスラエルを支援する共同声明を月曜日に発表したが、日本とカナダはその声明に署名しなかった。

フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、イタリアのメローニ首相、イギリスのサナク首相、アメリカのバイデン大統領が声明を発表し、彼らは「イスラエル国家への堅固で団結した支持」を表明し、ハマスの「ひどいテロ行為」を非難した。

アラブニュース・ジャパンの取材で、なぜ日本がこの文書に署名しなかったのか尋ねられた際、松野広一内閣官房長官は次のように答えた。

「日本はG7の議長国として、G7加盟国諸国と緊密に連携し、平和の追求に関して各国と協議してきた。この共同声明は、各G7メンバーの多様な視点と立場を反映させるために発表されたものと思われます。」

「日本が声明に加わらなかったのは、日本が幅広いアプローチの柔軟性を維持し、裏で積極的に働きかけを行い、パレスチナとイスラエルの双方に影響を及ぼすことを望んでいるためかもしれません。日本はエスカレーションの防止に向けた努力を続け、状況の平和的な解決に貢献し続けることにコミットしています。」

5カ国の指導者による声明は、彼らが「パレスチナ人民の正当な願望」を認識しており、そして「ハマスはその願望を代表していない」と強調している。

バイデン米大統領が欧州4カ国首脳とともに声明発表、イスラエルへの結束した支持を表明

バイデン米大統領が欧州4カ国首脳とともに声明発表、イスラエルへの結束した支持を表明(ジェトロ調査部米州課 2023年10月10日)

パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの大規模な攻撃を受け(2023年10月10日記事参照)、米国のジョー・バイデン大統領は10月9日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、そして英国のリシ・スナク首相とともに、イスラエルへの結束した支持を表明する共同声明を発表した。

共同声明では、ハマスによる攻撃を「テロ行為」と表現した上で「正当性も合法性もなく、例外なく糾弾されなければならない。テロリズムに正当性はない」と強く非難した。また、「われわれの国々はこのような残虐行為から自国と自民を守ろうとするイスラエルの努力を支援する」とイスラエル支持を明らかにするとともに、「イスラエルに敵対するいかなる当事者にとっても、この攻撃を利用して優位に立とうとする時ではないことを強調する」と、イスラエルと敵対する国や組織を牽制するメッセージも発している。

米政権はイスラエル政府や関係国とのコミュニケーションを強化

バイデン大統領は、ハマスによる攻撃が行われた10月7日にホワイトハウスで演説した。演説では、大統領が同日朝にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談したことを明らかにした。また、エジプトやトルコ、カタール、サウジアラビア、ヨルダン、オマーン、アラブ首長国連邦といった周辺地域の指導者や、欧州のパートナー国、そしてパレスチナ自治政府とも常に連絡を取り合うよう、ホワイトハウスのスタッフに指示したことも併せて発表するなど、周辺国との連携にも取り組んでいる。

このほか、10月7日に発表されたハマスによる攻撃を非難する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がイスラエルのツァヒ・ハネグビ国家安全保障顧問と話し合い、今後も緊密に連絡を取り続けることが確認された。また、翌8日には、バイデン大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、カマラ・ハリス副大統領がアイザック・ヘルツォーク大統領と外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、それぞれ電話会談を行ったことが発表された。

(滝本慎一郎)

Joint Statement on Israel

OCTOBER 09, 2023
Joint Statement on Israel

Today, the leaders of France, Germany, Italy, the United Kingdom and the United States of America released the following joint statement following their call:

Today, we — President Macron of France, Chancellor Scholz of Germany, Prime Minister Meloni of Italy, Prime Minister Sunak of the United Kingdom, and President Biden of the United States — express our steadfast and united support to the State of Israel, and our unequivocal condemnation of Hamas and its appalling acts of terrorism.

We make clear that the terrorist actions of Hamas have no justification, no legitimacy, and must be universally condemned. There is never any justification for terrorism. In recent days, the world has watched in horror as Hamas terrorists massacred families in their homes, slaughtered over 200 young people enjoying a music festival, and kidnapped elderly women, children, and entire families, who are now being held as hostages.

Our countries will support Israel in its efforts to defend itself and its people against such atrocities. We further emphasize that this is not a moment for any party hostile to Israel to exploit these attacks to seek advantage.

All of us recognize the legitimate aspirations of the Palestinian people, and support equal measures of justice and freedom for Israelis and Palestinians alike. But make no mistake: Hamas does not represent those aspirations, and it offers nothing for the Palestinian people other than more terror and bloodshed.

Over the coming days, we will remain united and coordinated, together as allies, and as common friends of Israel, to ensure Israel is able to defend itself, and to ultimately set the conditions for a peaceful and integrated Middle East region.

理由は原油?日本、イスラエルとハマスの衝突にG7と「異なる声」

理由は原油?日本、イスラエルとハマスの衝突にG7と「異なる声」(HANKYOREH 登録:2023-10-11 06:31 修正:2023-10-11 07:20)

「ハマス批判」の米国などG7とは異なり 
イスラエルの反撃にも「自制を求める」

日本政府がイスラエルとハマスの戦争と関連し、「バランス外交」に重点を置いて、主要7カ国(G7)の多くの国とは異なる路線を歩む姿をみせている。

日本経済新聞は10日、「イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突に関し、米国との歩調を意識しつつも、中東に原油を依存する状況を踏まえ独自路線を探る」と報じた。

岸田文雄首相はイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃が始まった翌日の8日午後、自身のソーシャルメディアに「罪のない一般市民に多大な被害が出ており、我が国は強く非難する」と投稿した。さらに、イスラエルによるガザ地区への反撃についても「ガザ地区でも多数の死傷者が出ていることを深刻に憂慮しており、すべての当事者に最大限の自制を求める」と付け加えた。岸田首相は攻撃を始めたハマスを非難しながらも、イスラエルの反撃にも懸念を表明した。

これは日本を除いた他のG7の首脳らとは異なる態度だ。米国のジョー・バイデン大統領と英国のリシ・スナック首相、カナダのジャスティン・トルドー首相は、ハマスの攻撃を「テロ」として強く非難すると同時に、イスラエルとの連帯を強調した。

こうした流れの延長線なのか、日本は米国、英国、フランス、ドイツ、イタリアの5カ国の首脳が発表した9日の共同声明にも参加しなかった。これらの首脳は声明で、「イスラエルに対する堅固で団結した支持を表明する」とし、「ハマスのテロ行為にはいかなる正当性も適法性もない。あまねく糾弾されなければならない」と述べた。

日本政府は中東諸国の動きに注目している。イスラエルと国交正常化を狙ったサウジアラビアは、パレスチナ側を擁護している。2020年にイスラエルと国交を結んだアラブ首長国連邦(UAE)は、双方の自制を求めている。

日本経済新聞は「日本は原油輸入の大半を中東に依存するため、調達先のサウジやUAEの立場に気を使わざるを得ない」とし、「日本の外交政策が米国との同盟を基軸としながらも、中東絡みでは独自色を出すことがある背景」だと報じた。

昨年基準で、日本は全体原油の94%を中東から輸入している。このうちサウジアラビアとアラブ首長国連邦の両国が76%を占めている。

東京/キム・ソヨン特派員