小中学校の給食は「無償化するべきではない」と専門家が言う理由(ソクラテスのたまご 2023.04.27)
給食費の平均は小学校約4300円、中学校約4900円となっています。値上がりが続く昨今、「なぜ給食費は無償化されないの?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。
今回はICTスタートアップのポリミルが実施した「小中学校の給食費は無償化すべきか?」についての意見投票の結果と、そこに寄せられた学校給食の専門家の声を紹介します。
半数以上が「給食費無償化」に賛成
ポリミルが行った「小中学校の給食費を無償化すべきか?」についての意見投票の結果がこちら。
「無償化すべき」が過半数ですね。各種税金が上がってしまうのは困りますが、しっかりと財源を確保されているのなら、無償化されるとうれしいという家庭は多いのでしょう。
ではそれぞれの内訳について、アンケートに寄せられた声を紹介します。
「無償化すべき」56%
「義務教育の範囲であるなら、無償化は現実的に考えていかないといけないんじゃないかと思います。義務教育を受けていながら、家庭事情によって子供の教育に差ができることは極力避けるべきことではないでしょうか。制服や教材など、全てとはいかないまでも出来るだけ差がないように教育していくことが必要だと思います。」
確かに、授業だけではなく登校から下校まですべてが国の定めた「義務」なのに、給食費だけ実費負担というのを不思議に思う人もいるでしょう。給食費は決して安い金額ではないので、「給食費を払う必要がなければそのお金で習い事をさせてあげられるのに……」というご家庭もありそうです。
「一部負担すべき」24%
「子どもは産んだら、お金がかかることは当たり前です。家にいても学校に行っても、誰だって食費はかかります。無償化が進んでいますが、低所得者などはすでに免除されていますし、無償化したところで、じゃあ子供をたくさん産もう!とはならないですし。」
「異次元の少子化対策」が提唱されましたが、給食費無償化が少子化対策に大きな影響を及ぼすかというと、ちょっと疑問が残るところ。2022年度、全国約1600市区町村の3割が給食費無償化を実現したようですが、それによって各家庭の生活がどう変化したのかが気になります。
「無償化すべきでない」12%
「学校給食の専門家です。小中学校の給食費は無償化すべきではないと考えます。現在も、教育援助率の高い家庭(生活保護受給家庭や申請した家庭)などは、無償になっています。内外に知らされることなく、自治体の市区町村役場で簡単に手続きが出来ます。学校給食の費用を家庭が担うことは、家庭が食材や内容についてしっかりとコミットし、監視する役割も担ってくれます。無償化により家庭の関与が薄まるリスクがあります。」
確かに、お金を払ったほうが「栄養バランスの取れた食事をしっかり提供しているのか」とチェックしたくなります。家庭が関与するという意味でも無償化はすべきではない、との見解もあるのですね。
小中学生の給食費無償化については、まだまだ議論の余地がありそうです。
実際に無償化する学校も出てきましたが、自治体任せにすると、予算の関係で栄養バランスや品数に影響が及ぶ可能性も考えられます。
「無償化すべきでない」と回答している専門家もいますが、あなたはどう思いますか?