緊急事態宣言は解除されるのか。感染状況を示す4ステージと6指標を整理した

緊急事態宣言は解除か延長か 政治・経済

年始早々の1月8日から埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県、14日から栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県の7府県を対象に、2月7日まで11都府県に緊急事態宣言が発せられた。

いよいよ2月7日を迎えるが、緊急事態宣言は解除されるのか。解除の基準は何か。延長を求める声も出ている。

感染状況を示す4ステージと6指標、及び全国の感染状況を整理した。

感染状況の4ステージ 指標及び目安

新型コロナ感染の第1波が収まった後、夏に向けて第2波が襲い、感染者の累積とともに医療機関や保健所の負荷が高まってきた。新型コロナウイルス感染症対策分科会は、感染状況を4段階(ステージ)に分け、各ステージに応じた対応ができるよう、昨年8月7日に「今後想定される感染状況と対策について」を政府に提言した。

「今後想定される感染状況と対策について」(令和2年8月7日)

その提言で、各都道府県における今後想定される感染状況を4つのステージに分類している。

ステージⅠ 感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階

ステージⅡ 感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階
3密環境などリスクの高い場所でクラスターが度々発生することで、感染者が漸増し、重症者が徐々に増加してくる。このため、保健所などの公衆衛生体制の負荷も増大するとともに、新型コロナウイルス感染症に対する医療以外の一般医療も並行して実施する中で、医療提供体制への負荷が蓄積しつつある。

ステージⅢ 感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階
ステージⅡと比べてクラスターが広範に多発する等、感染者が急増し、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制への負荷がさらに高まり、一般医療にも大きな支障が発生することを避けるための対応が必要な状況。

ステージⅣ 爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階
病院間クラスター連鎖などの大規模かつ深刻なクラスター連鎖が発生し、爆発的な感染拡大により、高齢者や高リスク者が大量に感染し、多くの重症者及び死亡者が発生し始め、公衆衛生体制及び医療提供体制が機能不全に陥いることを避けるための対応が必要な状況。

ステージⅢとステージⅣについては、目安となる指標を定めている。ただし、「その指標は目安であり、また、これらの指標をもって機械的に判断するのではない。国や都道府県はこれらの指標を総合的に判断して頂きたい。また、都道府県独自に積極的な対応を行うことを期待したい。」としている。

ステージⅣで講ずべき施策の提案・・全面的な接触機会の低減

ステージⅣにおいては、緊急事態宣言の発出や施設の使用制限など強制性のある対応が提案されている。

緊急事態宣言など、強制性のある対応を検討せざるを得ない。
◎ 触機会の低減を目指した外出自粛の要請。
◎ 県境を超えた移動の自粛要請。
◎ 感染リスクやガイドラインの遵守状況等を考慮しつつ、生活必需品等を取り扱う事業者等を除き施設の使用制限。
◎ 人が集中する観光地の施設や公共施設の人数制限や閉鎖等。
◎ イベントは原則、開催自粛。集会における人数制限。
◎ 生活圏での感染があれば学校の休校等も検討。
◎ テレワーク等の強力な推進をはじめ職場への出勤をできるだけ回避。

公衆衛生体制
◎ クラスター対策は重症化リスク対策を考慮して更に重点化。
◎ 重症化リスクの高い発症者を優先的に対応。
◎ 疫学調査の簡略化。

医療提供体制
◎ 入院治療が必要な方への医療提供を徹底的に優先した医療提供体制。(高齢者等のハイリスクではあるものの、軽症・無症状者への宿泊療養の開始も検討)
◎ 臨時の医療施設の運用・追加開設。

その他の重要事項
◎ 行動変容に対する国民・住民の理解を得るための積極的なリスクコミュニケーションの実施。

各都道府県における感染状

各都道府県の感染状況がどのステージにあるのか、地域(ブロック)ごとに表にした。

データは厚生労働省が1月29日付で発表したもので、医療提供体制(病床使用率、10万人当たりの療養者数)などの負荷は1月26日時点、PCR陽性率=陽性者数/PCR検査件数は1月24日までの最近1週間、10万人当たりの新規感染者数は1月28日までの直近1週間の陽性者数、感染経路不明な者の割合は1月22日までの1週間の割合である。

都道府県の医療提供体制等の状況(医療提供体制・監視体制・感染の状況)(2021年1月29日更新)

以下の表の中で、黄色塗りはその指標がステージⅢ、赤色塗りはステージⅣにあり、数値の右側にある矢印、は増加傾向、は減少傾向にあることを示す。都道府県で、赤字は緊急事態宣言が現在発出されている都府県である。

東京都の重症者病床使用率に関して脚注が付いている。
注:「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査」(令和3年1月29日公表)では、東京都の使用率について、「重症者数567は本調査のために国基準で集計されたものであり、確保病床数500と単純に比較できない。」とされている。

東京、埼玉、千葉、神奈川の首都1都3県は、ステージⅣの状況にある。

愛知県はステージⅣとステージⅢのぎりぎりの状況にある。

大阪府と兵庫県は厳しい状況にある。

宣言解除には4段階の基準で最も厳しいステージⅣから脱することが必要である。官邸からは、首都圏1都3県、関西3府県、福岡県の延長はやむを得ない、との声が出ている。

離島で感染拡大が続く沖縄県について、宣言対象に追加すべきとの意見もある。