赤羽国交大臣は1月26日の会見で、2月8日以降のGoToトラベル事業の再開について、「今月末から来月頭にかけて、これからの感染状況や医療の提供体制などを踏まえて、改めて政府全体で判断していくということになる」との認識を示した。
GoTo事業再開の条件を、「人命第一」の観点から整理した。
赤羽一嘉国土交通大臣、1月26日の記者会見
記者 緊急事態宣言に伴って停止されている「GoToトラベル」について伺います。緊急事態宣言は2月7日までが期限となっていますが、GoToの再開に向けては、いつどのような形で再開していくのかお聞かせください。
また、この間、観光関連の業者は厳しい経営状態を強いられていますが、こうした業界にどのように支援していくのかお願いします。
赤羽大臣 現在とられているGoToトラベル事業の一時停止措置は、政府として、今の感染状況を何としても改善していくという決意の上で決断された緊急事態宣言の発出に合わせて実施しているところです。
2月8日以降の措置につきましては、これからの感染状況や医療の提供体制等を踏まえながら、いつものとおりですけれども、政府の分科会の御指導もいただいて、西村担当大臣をはじめ、関係閣僚とも連携の上、改めて政府全体で判断していくということになるかと思います。
おそらく、もう少し状況を見ながら、今月末から来月頭にかけて、そうしたものが行われるのではないかと。
他方で、今お話しいただきましたように、観光関連事業者、先日も北海道の皆さんとリモートで懇談会を3時間近くやらせていただきましたが、特に北海道札幌市は他の地域に比べて一時停止措置が早かったわけでありまして、もう74日間くらいになりますので、年末年始の繁忙期も含めて、GoToトラベルがなくたったことで大変厳しい状況になっていると切実な声をいただきました。
キャンセル見合いの支援金について対応させていただいておりますが、それ以外にも、実質無利子・無担保融資の上限額の引上げを政府として行っているところであり、雇用調整助成金の延長も決まったところでありますので、こうした支援措置がしっかりと講じられるように、全国の地方運輸局等に相談窓口を作らせていただきましたので、しっかり、こうした厳しい状況ですので、ある意味ではプッシュ型で、観光関連事業者の皆さまにはしっかりとこちらから相談に乗りながら、国として用意している支援措置を十分活用していただけるようにしていこうと思っております。
また、感染状況や医療のひっ迫状況がそれほど厳しくない一部の県の知事からは、部分的でもGoToトラベルの再開をしてくれないかなどの話もありますし、これは西村担当大臣ともお話しさせていただいておりますけれども、第3次補正予算で地方創生臨時交付金1.5兆円の増額が見込まれておりますので、こうしたことをそれぞれの地域、また、観光関連のところで活用していただくのも具体的には有用なのではないかと思っております。
「人命第一」の観点から、GoTo再開の条件整理(メモ書き)
「人命第一」の立場からGoTo再開の条件を、順を追って整理した。
1.GoToトラベルやGoToイートの目的は、コロナ禍で疲弊した観光業や飲食業、及び地方経済を活性化することにある。
2.しかし、新型コロナ感染が十分に収束していない段階でGoTo事業を再開すると、再び感染が拡大する。京都大学の西浦博教授らは、因果関係を断言していないが、GoToトラベルで感染が約1.5倍、観光目的に限ると2~3倍になったと報告をしている。
3.(成功例)台湾では国内感染がほぼゼロ状態が継続した後に、移動制限の解除や消費喚起策を実施した。ニュージーランドでは厳しいロックダウンで景気は一時後退したが、その後は記録的な回復を見せている。
4.(失敗例)イギリスは昨年4月の第1波が下火になった段階で夏の間、日本のGoToイートに似た外食産業への支援策「Eat Out Help Out」キャンペーンを実施した。その結果、9月頃から感染が再び拡大した。英ウォーリック大学は、同キャンペーンが感染急増の一因とする調査報告書(10月30日)を出した。現在は変異種が国内で猛威を振るい、ヨーロッパで最多の感染者数、死亡者数となっている。
5.以上のことから、GoTo事業の再開は、感染が下火になって再拡大の兆しがなく、命の安全が守られる環境が整っていることが条件である。
6.具体的には、新型コロナ感染が十分に収束した後。ステージ2(以下)でも感染拡大の兆しが見えればすぐに中止する。
7.2月下旬からワクチン接種が始まる。重症化の危険性が高い高齢者のワクチン接種が終了した後。
8.万が一にも感染した場合、該当者は入院、軽症者は医師の管理の下で保護される環境が整っていること。
9.地方経済を活性化する案として、GoToトラベルの他、「地域振興券」を国民一人当たり5万円~10万円分を支給する。
10.新型コロナが収束するまでの間は、事業の継続と雇用の維持のため、持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金(新型コロナ特例)を延長する。