英エリザベス女王死去、96歳、在位70年 エリザベス女王が人々を励ましてきた10の言葉 各国首脳が追悼

プラチナ・ジュビリー(Platinum Jubilee) 英国エリザベス女王在位70周年 国際

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英エリザベス女王死去 96歳 在位70年

英エリザベス女王死去 96歳 在位70年(毎日新聞 2022/9/9 02:38 最終更新 9/9 10:56)

英国の女王エリザベス2世が8日夕(日本時間9日未明)、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。死因は明らかにされていないが、英王室は「安らかに息を引き取った」と発表した。1952年から70年と約7カ月に及んだ在任期間は、英国の歴代君主として最長。世界の君主としてはフランスのルイ14世(在位1643~1715年)の72年と110日に次ぎ、史上2番目の長さだった。

女王死去を受け、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)が新国王「チャールズ3世」として即位した。新国王は「慈しまれた君主であり、多くの人々に愛された母の死を深く悼む。英国民、そして世界の人々が喪失を感じるだろう」との声明を発表した。

エリザベス英女王(2022年6月2日撮影)

女王は6日、バルモラル城でトラス新首相を任命したばかりだった。7日には医師の勧告に従って休養を取り、オンライン会合などを欠席。8日には医師の診察を受けていたが、容体悪化が伝えられる中、王室メンバーが続々とバルモラル城に集まっていた。

トラス首相は8日夜、「わが国は女王の治世で成長と繁栄を遂げた。英国が偉大な国であるのは、女王のおかげだ」と功績をたたえた。

女王は26年4月21日、ヨーク公(後の国王ジョージ6世)の長女としてロンドンに生まれた。本名エリザベス・アレクサンドラ・メアリー・ウィンザー。妹はマーガレット王女。47年にギリシャ王室の血を引くフィリップ・マウントバッテン大尉(エディンバラ公)と結婚。父の病死に伴い、52年2月6日に25歳で即位した。チャールズ皇太子、長女アン王女、次男アンドルー王子、三男エドワード王子の3男1女をもうけた。

英王室の家系図

「英国の顔」として外遊は約100カ国、260回超。71年の昭和天皇訪英の返礼として75年に訪日した。旧植民地諸国を中心とした緩やかな連合体・英連邦(コモンウェルス)の元首も務めた。

1975年の来日時に当時の皇太子ご一家と歓談するエリザベス女王

国民から敬愛され、居城バッキンガム宮殿やウィンザー城は観光名所として人気を集めた。チャールズ皇太子(当時)と離婚したダイアナ元皇太子妃が97年に交通事故死した際、数日間弔意を示さなかったことで一時は批判も浴びたが、以後はパブを訪れる姿を見せるなど「国民に近い王室」の発信に努めた。

新型コロナウイルス感染拡大直後の2020年4月には「私たちが団結し、強い意志を持ち続ければ、病を必ず克服できる」と国民を励ますテレビ演説を行い、英国内で約2400万人が視聴。危機の際に国民をまとめる存在感を世界に示した。

21年4月に夫フィリップ殿下(当時99歳)と死別。今年2月には新型コロナウイルスに感染。6月には在位70年(プラチナ・ジュビリー)の祝賀行事が盛大に開かれた。

女王に仕えた英首相は第二次大戦を勝利に導いたチャーチルから現在のトラス氏まで15人に上る。女王がチャリティー活動や公務をこなす姿は国民の尊敬を集め、英調査会社ユーガブの今年5月の調査では8割が女王の仕事を評価していた。

ロンドン上空に二重の虹 エリザベス女王死去の発表後に

ロンドン上空に二重の虹 エリザベス女王死去の発表後に(朝日新聞 2022年9月9日 9時33分)

バッキンガム宮殿の上空に出現した虹(2022年9月8日)

英国のエリザベス女王が亡くなった8日、ロンドンの上空に二重の虹がかかった。

ロイター通信によると、英王室からエリザベス女王の死去の発表後、バッキンガム宮殿では市民が続々と集まる中、上空に虹が出てきた。虹はテムズ川沿いの大観覧車「ロンドン・アイ」の上空でも見られたという。

エリザベス女王は、1952年に25歳の若さで即位し、君主を70年以上務めた。次の国王には、長男で王位継承順位1位のチャールズ皇太子(73)がついた。

「彼らは大変失礼でした」世界中から愛されるエリザベス女王が唯一批判した“海外の要人”とは?

【エリザベス英女王が死去 96歳】「彼らは大変失礼でした」世界中から愛されるエリザベス女王が唯一批判した“海外の要人”とは?(文春オンライン 2022.09.09 source : 文藝春秋 2022年8月号)より抜粋

2015年、中国の習近平国家主席夫妻を国賓待遇で迎えた時のこと。同行したボディガードへの銃器の携行許可を求めた中国の高官たちが、イギリス側にこれを拒否されるや、「訪問を打ち切る」と言い放った。

「彼らは非常に失礼(very rude)でした」

女王はその件をすでに耳にしていた。そして、イギリス側の関係者に「大変だったでしょう。彼らは非常に失礼(very rude)でした」と声をかけたのだ。女王が誰かに対して、ましてや大切な要人クラスにrudeを使うことはまずない。当日は雨降りで、女王のさしたビニール傘に音が反響して拡声器の役割を果たし、肉声が録音された珍しいケースだったといわれるが、報道されるやいなや大きな話題を呼んだ。

また習主席訪英について、当時のハモンド外相は「成功」としながらも、「すこしだけストレスを感じた」と話す。中国の高官が、女王と習主席が乗る王室馬車に主席のボディガードを乗り込ませようとしたり、チベットの扱いなどに抗議するデモが主席の目に入らないよう、取り締まりを申し入れてきたりしたからだ。

しかし王室はそれらを受け入れることなく、ダライ・ラマ14世を敬愛するチャールズ皇太子に至っては晩餐会を欠席したほど。メディアは、英王室の「ものを言うロイヤル」への変化に大いに注目した。

その外交手腕で人々から尊敬を集める女王だが、国民との関係が常に順風満帆だったわけではない。問題は、王室の内部に多かった。

エリザベス女王が人々を励ましてきた10の言葉

エリザベス女王が人々を励ましてきた10の言葉 エリザベス女王がこれまでに語ってきた、愛と勇気にあふれた名言を振り返ります。(25ans 2022/09/09)

2022年9月8日(現地時間)、エリザベス女王が亡くなったと報じられました。96歳でした。英国史においてもっとも長い在位である70年にわたって君主を務められました。女王がこれまでに発してきた、愛と勇気をもって人々を励ましてきた名言を振り返ります。

「人生が困難に思える時、勇敢な人は屈服して負けを受け入れたりはしません。その代わり、よりよい未来を求めて闘おうと、さらに決意を固めるのです」
2008年、クリスマスのスピーチにて

「悲しみとは、愛の対価なのです」
2001年、アメリカ同時多発テロ事件後のメッセージにて

「私たちの誰しもが、行動と熟考の正しいバランスを見つける必要があります。気を散らせるものが溢れているため、立ち止まって吟味することを忘れがちになってしまいます」
2013年、クリスマスのスピーチにて

でも、より良い日は戻ってきます。友人にもまた会えるでしょう。家族にもまた会えるでしょう。そして私もいつかまた、みなさんにお目にかかるでしょう」
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックを受けてのTV演説にて

「平和への道のりから学べることは明らかです。人生において何が降りかかろうとも、私たちそれぞれの対応は、共に手を取り重荷を分担し合うことで、かえって強くなるのです」
2011年、ダブリン訪問時のスピーチにて

「憎み、破壊することはたやすいものです。築き上げ、大事にすることはもっと難しいのです」
1957年、クリスマスのスピーチにて

「リストなんて気にせず、あなたたちの友人を優先すればいいのよ」
2011年の結婚式の際、リストに記載されている700名以上の招待客が知らない人ばかりで、友人や家族を招く余地がないことにうろたえ電話をかけてきたウィリアム王子に対して

「私たちの子供時代を守るべく耐え忍び、働き、戦ってくださった年長者の方々の肩の荷を、私たちがいくらかでも取り除くことができたなら、それは非常に大きな喜びです」
1947年、21歳の誕生日のスピーチにて

「多くの人にとって、クリスマスは集まるための時でしょう。が、なかには奉仕を優先させる人もいらっしゃるのです」
2012年、クリスマスのスピーチにて

「成功のための公式など、私は何ひとつ知りません。ですが、リーダーの特性というものは万国共通であり、人々の努力や才能、洞察力、情熱、そして共に働くことへの想いが一丸となるよう促す道を見出だすことでもあると、長年かけて目撃してきました」
2010年、国連総会でのスピーチにて

各国首脳が追悼

イギリス エリザベス女王 死去 96歳【随時更新】(NHK 2022年9月9日 11時42分)より抜粋

イギリス トラス首相「並外れた生涯の奉仕をたたえたい」

トラス首相は「われわれは打ちひしがれている。イギリス国内や世界中にとって大きなショックだ。女王は現代のイギリスの礎であり、そのもとでわが国は繁栄と成長をしてきた。今のすばらしいイギリスがあるのは女王のおかげだ」と謝意を示しました。

そして「エリザベス女王はわれわれに必要な安定と強さをもたらした。まさにイギリスの精神そのものでその精神は永遠に続く。イギリスと世界中で愛され、私個人、そして多くの国民の励みだった。その公務に対する献身はわれわれの模範だった」としています。

そのうえで、トラス首相は「エリザベス女王は生涯で100か国以上を訪れ、難しい時代の中にあって多くの人々と触れ合ってきた。イギリスとイギリス連邦、そして世界中の友人とともに並外れた生涯の奉仕をたたえたい」と述べ、その死を悼みました。

岸田首相「心から哀悼の意」9時半すぎ

岸田総理大臣は、9日午前、総理大臣官邸で記者団に対し「エリザベス女王陛下のご崩御の報に接し、深い悲しみを禁じえない。日本政府としてイギリス王室、イギリス政府およびイギリス国民に対し、心から哀悼の意を表する」と述べました。

そのうえで「エリザベス女王陛下はイギリス王室史上最長の70年にわたって在位され、世界の平和と繁栄のために極めて大きな役割を果たされた。昭和50年に訪日するなど、特に日英関係の強化に大いに貢献された。激動の世界情勢においてイギリスを導いたエリザベス女王陛下の崩御はイギリス国民のみならず国際社会にとって大きな損失だ」と述べました。

そして「イギリス国民がこの深い悲しみを乗り越えるにあたり、日本は常にイギリスとともにある。謹んで哀悼の意を表させていただく」と述べました。

1998年5月、英国を訪問され、公式晩さん会でエリザベス女王(右)と記念写真に納まる天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)=ロンドンのバッキンガム宮殿

アメリカ バイデン大統領「イギリスの人々誇り与える存在」

アメリカのバイデン大統領は声明で「エリザベス女王は、君主であっただけでなく1つの時代を定義した。絶え間なく変化する世界において、何世代にもわたってイギリスの人々を安定させ、誇りを与える存在だった」としています。

そして「アメリカ中の人々の思いと祈りは、悲しみにくれるイギリスおよびイギリス連邦の人々とともにある。彼女のレガシーは、イギリスの歴史と世界の物語に深く刻まれるだろう」として追悼しました。

フランス マクロン大統領「心優しい女王」

フランスのマクロン大統領は、ツイッターに「エリザベス女王は70年にわたって、イギリス国家の継続性と団結を体現してきた。フランスの友人として、また、彼女の国とその時代に忘れられない印象を残した心優しい女王として私は記憶している」と投稿しました。

ドイツ ショルツ首相「模範で心の励み」

ドイツのショルツ首相は、8日、ツイッターに「ドイツ国民をはじめ、多くの人にとって模範で心の励みだった。第2次世界大戦後のドイツとイギリスの和解への貢献は忘れられることはない。彼女の死が悔やまれる」と投稿し、その功績をたたえ、女王の死を悼みました。

カナダ トルドー首相「いなくなるのはさみしい」

この中で「カナダの歴史のほぼ半分となる70年間、女王としてカナダ国民に対し深く、変わらぬ愛情を注ぎ、強さと知恵をもって私たちのために力を尽くしてくれた」と述べ、感謝の気持ちを示しました。

そして「女王は思慮深く、賢く、好奇心旺盛で、親切で、おもしろく、そしてそれ以上のものを持っていた。複雑な世界において、女王の安定した優雅さと決意はわれわれに癒やしと強さを与えてくれた。世界で最も好きな人の1人で、いなくなるのはさみしい」と哀悼の意を示しました。

オーストラリア アルバニージー首相「慰め 希望 癒やしの源」

アルバニージー首相はテレビ演説で「女王は試練や苦難の時、私たちとともにいてくれた。特に洪水や森林火災、戦争やパンデミックといった悲劇や災害に見舞われた時、オーストラリア国民の気持ちに寄り添ってくれた。女王のことば、女王の存在は多くの国民にとって慰め、希望、そして癒やしの源だった」と功績をたたえました。

そして「悲しみの時は過ぎ去るものだが、オーストラリア国民が常に抱いてきた女王への深い敬意と温かいまなざしは、決して色あせないだろう」と謝意を示しました。

インド モディ首相「温かさと優しさを忘れることはない」

エリザベス女王の死去を受けて、インドのモディ首相はツイッターに「エリザベス女王の温かさと優しさを忘れることはありません」と投稿しました。

この中で、モディ首相は、女王と一緒に写った2枚の写真も投稿し、インド独立の父とされるマハトマ・ガンジーが女王の結婚の際に贈ったというハンカチを女王から見せてもらったというエピソードも紹介しています。

ロシア プーチン大統領「イギリスの王室と国民にお悔やみ」

「女王陛下の名前は、イギリスの現代史の最も重要な出来事と切っても切れない関係にある。何十年にもわたり、人々から愛と尊敬を集め、世界の舞台でも尊敬されてきた。取り返しのつかない大きな損失に直面する中、勇気と不屈の精神を発揮されることを祈っている。イギリスの王室と国民にお悔やみを伝えたい」

国連 グテーレス事務総長「深く悲しんでいる」

国連のグテーレス事務総長はツイッターに「そのリーダーシップと献身から世界中から尊敬されていたエリザベス女王の逝去に深く悲しんでいる。彼女は国連のよき友であり、この数十年の変化の中、人々を元気づける存在だった。彼女の確固たる、生涯にわたる献身は長く人々の記憶に残るだろう」と投稿しました。