今日の出来事(2022年4月26日) 「沈没しよるけん、今までありがとうね」 知床観光船から妻に電話

「沈没しよるけん、今までありがとうね」 知床観光船から妻に電話

北海道・知床半島沖で乗員乗客26人を乗せた観光船「KAZU Ⅰ(カズ ワン)」が浸水した事故で、安否が分かっていない佐賀県有田町の70代男性が事故のあった23日午後、妻に「船が沈没しよるけん、今までありがとうね」と電話をしていた。男性は息子と製材所を経営し、かつては商工会の中心的存在だった。家族思いで知られ、親族らは「怖かっただろうに、あの人らしい」と涙を流した。

「奥さんにお礼を言いたかったんだろう。優しい人だから」。男性の義弟(69)は寂しそうな表情を浮かべた。男性は地元商工会などで親しかったゴルフ仲間2人と乗船し、事故に巻き込まれたとみられる。

北海道・知床岬の先端付近で観光船「KAZU Ⅰ」を捜索する漁船団。知床半島の東側にも捜索の範囲が広げられた

東北各地の観光船、安全点検続々…知床事故受け設備など確認

北海道・知床半島沖で観光船が浸水した事故を受け、東北地方の観光地でも遊覧船などの安全点検が行われている。ゴールデンウイーク(GW)に合わせて今季の運航を開始する事業者もあり、安全運航の徹底に気を引き締めていた。

青森県外ケ浜町蟹田の蟹田港では26日午前9時、同町とむつ市脇野沢を結ぶむつ湾フェリーの観光船「かもしか」(定員240人)に青森海上保安部と東北運輸局青森運輸支局の職員計4人が乗り込み点検を行った。船長から運航基準について説明を受けた後、救命胴衣や浮輪などの設備を確認した。

宮城県東松島市の景勝地・奥松島の嵯峨渓を巡る遊覧船でも宮城海上保安部と東北運輸局による合同の緊急点検があり、問題がないことを確認した。遊覧船は松島の対岸にある宮戸島を発着場に、切り立った崖や荒々しい岩肌を望みながら約60分かけて外洋を巡る。

GW初日の29日から今季の運航を開始予定の岩手県田野畑村の「北山崎断崖クルーズ」では、予約は2021年のシーズン当初より増えていたという。船は21日に岩手運輸支局の定期点検を受けたばかり。気象条件に基づき運航の可否を判断しており、正路(しょうじ)隆弘船長(47)は「事故を受けて、運航基準をより厳しくする方向で検討を始めた」と安全対策をとり、初日に備える。

山形県を流れる最上川の景勝地・最上峡でも、舟下りで人気の芭蕉ライン観光が安全管理に気を配る。鈴木博也・運航管理者によると、船長ら現場担当者と常に情報交換して欠航の判断をすることにしている。GW中のキャンセルは今のところ入っていないが、コロナ禍で予約は例年の2~3割にとどまっていたという。

北欧2国、5月にもNATO加盟申請表明 ウクライナ侵攻で中立路線転換

ロイター通信は25日、フィンランドとスウェーデンが5月にも北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を正式に表明する見通しだと報じた。両国の地元紙を引用して伝えた。当初は6月にスペインで開かれるNATO首脳会議での申請が取り沙汰されていたが、時期を前倒しし、早期申請を目指す構えとみられる。

両国の首脳は5月16日の週に会談し、申請計画を発表する方針という。ロシアによるウクライナ侵攻に危機感を募らせた両国が従来の中立路線を大きく転換させる決断となる。

ロシアは一連の動きに強く反発しており、メドベージェフ前大統領は14日、「バルト海の非核化はもう議論できない」と述べ、対抗措置としてバルト海方面への核配備まで示唆した。両国が加盟した場合、ロシア以外のバルト海沿岸国は全てNATO加盟国となるため、ロシアにとっては安全保障上の脅威となる。

フィンランドのマリン首相(右)とスウェーデンのアンデション首相

原油高・物価上昇 政府が「総合緊急対策」決定 燃油高騰対応に1.5兆円

政府は26日、原油高や物価上昇に対応するための「総合緊急対策」を決定した。ガソリンへの補助金など燃油価格高騰対策に1.5兆円を充てるなど、国費の負担として計6.2兆円を計上。金融機関の融資や民間の投資も含めた事業規模は13.2兆円を見込む。ロシアによるウクライナ侵攻などに伴う物価上昇や長引く新型コロナウイルス禍の影響緩和を図る。

対策は、4本柱で構成燃油価格高騰対策に1.5兆円▽エネルギー、原材料、食料などの安定供給に5000億円▽中小企業の価格転嫁や賃上げ対策に1.3兆円▽原油価格や電気、ガス料金の高騰に直面する生活困窮者支援に1.3兆円――をそれぞれ充てる。

迷走のデジタル庁 事務方トップが交代 民間出身者も相次ぐ退職

行政のデジタル化の「司令塔」として2021年9月に発足したデジタル庁が迷走している。民間出身者を多数採用した霞が関では異例の組織をまとめるため、事務方トップに当たるデジタル監に民間出身者を採用したが、1年も経ずに交代を余儀なくされた。民間出身者の退職も相次いでおり、組織が大きく揺らいでいる。

同庁は26日、民間出身の石倉洋子デジタル監(73)が退任し、後任に同庁チーフ・デザイン・オフィサー(CDO)の浅沼尚氏(45)が同日付で就任すると発表した。

各省庁に分散していた情報システム業務の発注などを一括して担うデジタル庁は職員数700人強で、そのうち民間出身が約250人を占める。IT分野に強い民間人材を積極活用することで、遅れていた日本のデジタル化を一気に進める狙いからだ。他の省庁では官僚が担う事務方トップに民間人財を充てたのも、同庁の特殊性を考慮したものだ。

全国で新たに4万500人感染確認 前週火曜から減少 新型コロナ

新型コロナウイルスの感染者は26日、全国で新たに4万500人確認された。前週の火曜日から400人近く減った。重症者は前日から9人増の200人。死者は65人だった。東京都の新規感染者は5048人で前週の火曜日から約500人減り、大阪府は約150人増えた。大分県(565人)と鹿児島県(974人)で過去最多となった。

東京で新たに5048人感染確認 前週火曜日を下回る 新型コロナ
東京都は26日、都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに5048人確認されたと発表した。前週の火曜日(5583人)を535人下回った。新たに3人の死亡も確認された。

ツイッター買収5.6兆円で合意 マスク氏の提案受け入れ

米短文投稿サイトを運営するツイッターは25日、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の買収提案を受け入れることで合意したと発表した。買い取り額は1株当たり54.20ドルで、買収費用は約440億ドル(約5.6兆円)。ツイッター株主や規制当局の承認を経て2022年中に買収手続きを完了させる。買収後、ツイッターは上場廃止となる。世界一の富豪による巨大SNS(ネット交流サービス)の買収が実現する見通しだ。

マスク氏は買収理由に「言論の自由を守る」ことを掲げており、フェイクニュースなど不適切な投稿に対する監視・規制を強化してきたツイッターが経営方針の変更を迫られる可能性もある。

ツイッター、マスク氏の買収提案を受け入れ

【1年前の今日の出来事】 2021年4月26日