2021年6月9日

立憲、内閣不信任案提出で調整 党首討論で「首相は真剣さ欠いた」
立憲民主党は9日、党首討論で五輪の安全性について首相から示されず、会期の大幅延長や補正予算についても首相が後ろ向きだったとして、国会会期末(16日)までに菅内閣に対する不信任決議案を提出する調整に入った。10日にも野党党首会談を開き、会期延長動議や不信任案の提出について議論する。

立憲民主党の枝野幸男代表は党首討論後、国会内で記者団に対し、首相が会期延長や補正予算編成に消極的だったなどと指摘し「首相の真剣さに欠け、危機感を感じられない対応を踏まえ、野党の党首会談をセットする」と表明。不信任案の提出に前向きな姿勢を示した。

共産党の志位和夫委員長は不信任案提出について「国民の命にとって、尋常ならざる事態だと判断した場合には、それは選択肢の一つだ。コロナ感染状況も考慮して、よく話し合っていきたい」と述べた。

国民民主党の玉木雄一郎代表も「首相の答弁は熱がなく残念だった。不信任案はちゅうちょなく出したらよいと言ってきたが、それが確信に変わった」と述べた。

脱炭素など4分野重視、財政目標見直しに含み 骨太原案
政府は9日の経済財政諮問会議で、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案を公表した。グリーン(脱炭素)、デジタル化、地方創生、子育て支援の4分野に予算を重点配分する方針を明記。2025年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化をめざす財政再建目標は、今年度内にコロナ禍の影響を踏まえて検証するとし、目標時期の見直しに含みを持たせた。

原案によると、重点4分野のうち、政権がめざす脱炭素化に向けては、2兆円規模の基金や優遇税制などで企業の投資を後押し。炭素を出さない電気自動車や燃料電池車の普及を進める。再生可能エネルギーの主力電源化にも「最優先の原則」で取り組むとした。

デジタル化では、9月に発足するデジタル庁を中心に行政手続きのオンライン化を5年以内に進める一方、マイナンバーカードの健康保険証や運転免許証との一体化などでカードの普及を加速させるとした。

子育て支援では、児童手当などの既存の施策を総点検し、具体的な評価指標を定めた「包括的な政策パッケージ」を年内につくるとした。与党内で浮上する「子ども庁」については、子どもの問題に対応する行政組織を創設するため、「早急に検討に着手する」と記すにとどめた。

地方関連では、都市との賃金格差を埋めるため、菅首相がこだわる最低賃金の引き上げについて、「より早期に全国加重平均1千円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む」と書き込んだ。

財政再建については、25年度のPB黒字化をめざす目標を「堅持する」と記し、22~24年度も、社会保障費の伸びをその年の高齢化による範囲におさえるなどの歳出抑制を続けるとした。しかし、目標については、コロナ禍による経済や財政への影響を今年度内に検証し、その結果を踏まえて「目標年度を再確認する」としている。巨額のコロナ対策で財政悪化は加速しており、検証の結果次第では、目標時期が先送りされる可能性もある。

政府、地域向け「脱炭素工程表」まとめる 先行地域の選定も明記
政府は9日、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロに向けた地方自治体との協議会を首相官邸で開き、取り組みの工程表「地域脱炭素ロードマップ」をまとめた。自治体や企業が中長期的な計画を立てて排出削減を進められるよう、国が複数年度にわたって資金支援する。40年までに国と自治体の全公共施設に太陽光発電を導入する計画も盛り込んだ。

先行して30年度までの脱炭素化を目指す地域に関しては、離島や農山漁村、市街地や団地などから少なくとも100か所選ぶと明記。進捗状況をランキングして地域間競争を促す方針だったが、自治体の反発を考慮して見送った。モデルとなる優良事例を紹介するにとどめる。

病院外でのコロナ死、5月は97人 最多は大阪の24人
自宅や高齢者施設など、医療機関以外で体調が悪化して死亡した新型コロナウイルスの感染者が5月に97人いたことが警察庁への取材で分かった。4月の96人から1人増え、1月の132人に次いで多かった。24都道府県で確認され、4月に続いて最多は大阪(24人)で次は兵庫(12人)だった。2020年3月からの合計は500人になった。

加山雄三さん聖火ランナーを辞退 五輪開催「喜べない」
神奈川県は9日、県内で今月28~30日に行われる東京五輪の聖火リレーで、俳優で歌手の加山雄三さん(84)がランナーを辞退したと発表した。加山さんは28日に藤沢市内を走る予定だった。加山さんは「今回の東京オリンピックこそ、心から応援し、また自らも盛り上げたい気持ちでいっぱいでした。しかしながら今改めてこの世界の状況を見た時、手放しに開催を喜ぶことが僕は出来ません。勇気を持って辞退いたします」などとするコメントを出した。

県内でのランナーの辞退は、パラリンピック競泳金メダリストの秋山里奈さん、2019年ラグビー・ワールドカップ日本大会、日本代表の稲垣啓太さん、元宝塚歌劇団雪組トップスターの望海風斗(のぞみふうと)さんに次いで4人目。

バイデン政権、半導体など供給網強化の方針 脱中国依存に向け
バイデン米政権は8日、半導体やレアアース(希土類)など安全保障上、重要な製品や原材料の供給網(サプライチェーン)強化に向け、戦略的な国内投資や、主要7カ国(G7)や日米豪印4か国の枠組み「クアッド」の連携により中国からの輸入依存度を低下させる方針を示した。バイデン大統領は2月、医療品、半導体、レアアース、大容量蓄電池の4分野について供給網強化を検討し、100日以内に報告するよう関係機関に命じていた。