2019年12月、中国で突如誕生した新型コロナウイルスは、2020年に入り瞬時に世界中に感染拡大し、多くの人命を奪った。お笑いタレントの志村けんさんや女優でタレントの岡江久美子さんが亡くなった時、ショックを受けたが、その後も、外交評論家の岡本行夫さん、世界的なブランド「KENZO」の創業者でファッションデザイナーの高田賢三さん、現役国会議員、立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長など、多くの方が犠牲になった。
ウイルスは時間とともに突然変異を起こすが、最近、イギリスで確認された変異種は感染力が70%も強く、子どもも感染しやすいという。
日本における感染状況をグラフ化し、視覚的に理解できるようにした。
全国の感染状況…新規感染者数・重症者数・死亡者数の推移
1日ごとの新規感染者数、重症者数、死亡者数の推移をグラフにした。新規感染者数(ネービーブルー)と重症者数(ピンク)は縦棒グラフで、死亡者数(赤)は7日間移動平均を折れ線グラフで記した。
新型コロナウイルス 全国の感染状況・・・1日ごとの新規感染者数、重症者数、死亡者数
グラフを見てわかるように、第3波は、第1波、第2波に比べて異常に大きい。重症者数と死亡者数が第1波に比べて第2波が少ないのは、第2波では若者の感染者が多かったからである。しかし、第3波では中高年者の感染者が増大しており、中高年の重症者及び死亡者が増えている。このままの勢いで感染拡大が進めば、医療崩壊を起こし、最悪の場合、「命の選択」の事態に直面するかも知れない。
※ 新型コロナウイルスの感染爆発が生じたアメリカ、イタリア、スペインなどの一部の地域においては、医療崩壊が発生。限られた医療資源を生かすため、「誰を優先的に治療するか」という「命の選択」という問題が発生した。
重症者数は感染者数より2~3週間遅れて増減している。
年齢階級別に見た陽性者数と死亡者数を表とグラフにした。データ元は厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(令和2年12月29日18時時点)」である。
年齢階層別の、陽性者数、入院治療を等を要する人数、死亡者数、及び割合(%)
検査で陽性が確認された人は20代が圧倒的に多く、次いで30代、40代、50代である。重症化率は60代を超えると急速に高くなる。死亡者は50代を超える階層から急に多くなり、70代、80代以上は死亡者数も死亡率も異常に高くなる。若い人が安全という訳ではない。回復後に後遺症に悩まされるケースが報告されている。変異種は感染力が強いことは分かっているが、どういう症状を及ぼすか今のところ明確でない。
全国の感染状況 東京及び首都圏は感染拡大が暴走 大阪・北海道は下降傾向
感染者の多い全国6地域の感染状況をグラフにした。北から順に、北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県、沖縄県である。それぞれの都道府県に隣接する地域はおおむね同様の傾向が見られる。
全国6地域における感染状況
1日当たりの感染者数の多い順に、東京都、大阪府、愛知県、福岡県、北海道、沖縄県である。
東京都の感染拡大の勢いが止まらない。12月31日、ついに1000人超の新規感染者数を更新した。医療体制が限界に達し自衛隊に援護を求めた北海道と大坂府は、その後、下降傾向にある。愛知県と福岡県は増加傾向が続いている。
12月28日から全国一斉にGoToキャンペーンが停止されたが、遅すぎたと言わざるを得ない。
次に、直近7日間(12月25日~31日)の1日当たりの平均新規感者数及び人口10万人当たりの数値を表にした。
直近の傾向は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、関西圏(大阪府、兵庫県)、中京圏(愛知県、岐阜県)など、人口の多い大都市圏で当然感染者数が多いが、10万人当たりの感染者数も高い値になっている。
注目の15地域…北海道、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、京都、大坂、兵庫、広島、福岡、熊本、沖縄
15都道府県の感染状況をグラフで視覚化した。感染状況が一目でわかる。
北海道の感染状況
北海道は、11月中旬にピークを記録し、その後、下降傾向にある。
宮城県の感染状況
宮城県は、7月・8月、9月・10月、11月、12月と、月日が経つにつれて増加している。
首都圏の感染状況 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
首都圏に属する1都3県は、いずれも強い増加傾向にある。
中京圏の感染状況 岐阜県、愛知県
中京圏の愛知県と岐阜県は、増加傾向にある。
関西圏の感染状況 京都府、大阪府、兵庫県
関西圏で感染最大の大阪府は、11月下旬をピークに、その後はやや下降する傾向にある。
【加筆 2021.1.8】今年(2021年)に入り、全国で新規感染者数が急増したが、関西圏でも増加している。特に、大阪府の伸びは大きい。
新規感染者数、大阪府 : 262人(1/1)⇒ 258人(1/2)⇒ 253人(1/3)⇒ 286人(1/4)⇒ 394人(1/5)⇒ 560人(1/6)⇒ 607人(1/7)
広島県の感染状況
広島県は、12月に入り、急激に感染が増加した。
九州の感染状況 福岡県、熊本県
沖縄県の感染状況
沖縄県は8月の第2波以降、収束を見ないまま第3波に入った。
GoToキャンペーンが感染を拡大した。
コロナウイルスはヒトとともに移動する。安倍前内閣及び菅内閣は、GoToキャンペーンには予算をつけて国民の移動を推奨するが、コロナが収束していない状況下でのヒトの移動は感染を拡大する。そのため、4月20日の閣議決定には、GoToキャンペーンを実施する前提として、「新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後」(p26)と明記している。
政府は、感染が収束していない7月22日からGoToキャンペーンを実施したのだから、感染は当然全国各地で拡大した。
政府の感染症防止対策は、症状が出た人、及び、陽性が確定した患者の濃厚接触者を対象にPCR検査を実施するという方法である。その方法は患者が少数だった場合に有効なクラスター対策である。しかし、今や感染患者が多数存在し、しかも多くが感染経路不明である。これまでの方法は限界である。
医療関係者は早くから感染拡大に警告を発してきたが、政府は、GoToと感染拡大には因果関係を示す「エビデンスがない」と何度も強調し、GoToを進めた。その結果、感染は拡大した。
やっと、年末年始の一時停止である。遅かったと言わざるを得ない。
「クラスター対策」から「無症状対策」へシフトすべき。ところが政府は否定的。
豊洲市場では8月15日に最初の陽性者が出て以降、感染判明が相次いでいたが、11月に入って急増した。業者団体「豊洲市場協会」は、特に感染者が多い約480の水産仲卸業者の従業員約3500人を対象に任意での自主検査を始めた。11月2日~12月4日に3111人が受け、陽性者は71人、陽性率は2.3%だった。
【出典】感染拡大防止に向けた自主検査の取組について(一般社団法人豊洲市場協会)
世田谷区では、10月から高齢者施設などの希望者を対象に症状の有無にかかわらず行っている区独自のPCR検査で、12月14日までに3600件余りの検査を実施し、53件の陽性を確認したと保坂区長が発表した。陽性率は1.5%である。
【出典】東京 世田谷区 独自PCR検査 来年3月末まで延長 プール方式も(NHK 2020年12月17日 19時34分)
東京・新橋駅の目の前にある「新型コロナPCR検査センター」。1日に最大780人を検査できる。工務店などを経営する木下グループの子会社が運営し、関連の医療法人が監修している。12月4日にオープン、費用は税別2900円。陽性率は全体の1.0~1.5%という。
【出典】格安「PCR検査」の罠 医師の判断なく「疑い」域を出ず、保健所への報告義務もなし((夕刊フジ「zakzak」 2020.12.13)
「羽鳥慎一モーニングショー」で紹介されたすべての情報 2020年12月7日(月)08:00~09:55
上記3例で見るように、東京都において、症状が出ていない健康な任意の多数を検査した場合の陽性率は、1%~2%であった。
東京都の人口は、現在、約1390万人(23区は約960万人)であるから、それに推定される陽性率、1%~2%を掛けると、13.9万人~27.8万人の無症状の陽性者が、本人も気がつかないまま、市中で日常の活動をしていることになる。
東京都において、陽性者及びその濃厚接触者を対象にしたクラスター検査で1500人の陽性者を確認しても、市中にはその100倍~200倍の無症状の陽性者が存在し、無自覚のまま周辺の人々に感染させている可能性がある。
この無症状陽性者対策を徹底することにより、初めて、安心して、事業者はGoToキャンペーンを展開することができ、国民はGoTo事業を利用できるのである。
ところが、政府は依然としてクラスター対策に止まり、無症状対策は民間事業者任せ・国民の自助努力任せである。それどころか、民間が実施しているコロナ検査に対しては、信ぴょう性がないとして、そのデータを入手し分析し対策に活かすといった動きはない。
市中に無症状者を放置したまま、2021年1月12日からGoToキャンペーンを再開するのだろうか。
【参考リンク】
新型コロナウイルス感染、『自助』では日本の冬を乗り切ることが出来ない。命と経済を守る提言 !!
コロナ感染拡大の原因は、GoToキャンペーンと政府の無策… 命も経済も危ない !!
【データ出典】
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