UAE滞在のガーシー氏、秋の臨時国会も欠席続けば除名も…過去2例のみ最も重い処分、田崎史郎氏「あり得る」(スポーツ報知 2022年8月3日 6時0分)
与野党は2日に開いた参院議院運営委員会理事会で、NHK党のガーシー(本名・東谷義和)氏(50)が提出した海外渡航届を許可しないことを全会一致で決めた。同党はアラブ首長国連邦(UAE)に滞在中のガーシー氏が3日召集の臨時国会を欠席するとして、渡航届を提出していた。N党の立花孝志代表は「不当逮捕の可能性がある」として帰国をしないよう求めているという。このまま国会を欠席し続ければ、最も重い「除名」処分となる可能性もある。
「当選しても登院しない」と明言しているガーシー氏。3日召集の臨時国会も、UAEにいるため欠席するとしている。しかしガーシー氏の海外渡航届は与野党によって許可されなかった。このため今後、懲罰の対象となる可能性が出てきた。
衆参両院議員は、国会への出席を法律によって義務づけられている。国会法では、召集日には必ず国会に集まることが求められている。ガーシー氏が正当な理由がなく、召集日から7日以内に登院せず、議長の求めにも応じなかった場合は、懲罰委員会が開かれることになる。
8月の国会は3日から5日までの3日間のため、懲罰委員会は開かれないが、秋の臨時国会は通常12月ごろまで開かれる。そのため、ガーシー氏が臨時国会にも欠席を続けた場合、懲罰委員会が開かれ、処分が下る可能性が高い。下される処分は「戒告」→「陳謝」→「一定期間の登院停止」の順で重くなり、最も重い処分は「除名」となる。
参院規則では「議院を騒がし、または議院の体面を汚し、その情状が特に重い者に対しては、除名することができる」と定めている。ただ、議員の身分に関わる事案だけにハードルは極めて高く、本会議で出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要。過去の除名処分は衆参合わせて1950年と51年に2例あるのみだ。
与党関係者は「秋の臨時国会も欠席が続けば、当然、懲罰の対象になる」と指摘。「国会議員の仕事は予算審議など多岐にわたり、海外で政治活動をすることは不可能だ。良識が問われている」とガーシー氏を批判した。ジャーナリストの田崎史郎氏も「当選して一度も登院しない、という例は聞いたことがない」と首をかしげ、「『逮捕の可能性がある(から帰国しない)』と言っているが理由にはならないだろう。徐々に処分を重くして、除名までいくこともあり得る」と話している。
戦後除名となった国会議員
▼小川友三参院議員(無所属)本会議の予算案審議のある議題で反対討論をしたにもかかわらず、採択では賛成票を投じたことが問題視された。国会内外で批判が強まり、1950年4月7日に除名。
▼川上貫一衆院議員(共産)代表質問で当時行われていた朝鮮戦争などを非難した際に、議会政治を否認する発言が含まれたことが問題視された。その後、懲罰委員会にかけられ謝罪を命じられたが拒否。1951年3月29日に除名された。