脳科学者が教える「脳が喜ぶ6つの言葉」

脳が喜ぶ6つの言葉 科学・技術

脳科学者が教える「脳が喜ぶ6つの言葉」(PHPオンライン衆知 2022年07月21日 公開)より抜粋

西剛志(脳科学者)

「最近いいことがないな」と思っている方はいませんか?  そんな方は、まず口ぐせを変えてみるのがいいでしょう。言葉は人の行動に大きな影響を及ぼします。脳科学者の西剛志さんが、口ぐせと脳の関係性や、実際に使いたくなる「いい口ぐせ」を紹介します。

※本稿は『PHPスペシャル』 2022年8月号より抜粋・編集したものです。

言葉はなぜクセになるの?

私たちが何か話すときには、基本的に脳で考えながら言葉を口に出しますが、無意識のうちに口から出てしまうのが「口ぐせ」です。あなたにも、つい口にしてしまう言葉の1つや2つ、あることでしょう。そもそも、なぜ言葉はくせになるのでしょうか。

私たちの脳には「思っていることよりも、言葉や動作を記憶に残しやすい」という性質があります。また、脳は「何度も入力されることは、生命にとって大切な記憶だ」と認識します。

そのため、たまにしか使わない言葉は忘れられていきますが、たびたび使っている言葉は「生きていくために必要な情報」と捉えられ、より習慣化されるのです。

脳は、よく使う言葉が「いい言葉」なのか「悪い言葉」なのかを判断して記憶していくわけではありません。いい言葉も悪い言葉も、何回も発していれば、「重要なこと」としてインプットされるのです。

せっかくインプットするなら、毎日が楽しくなる「幸せ脳」へと導いてくれる言葉を口ぐせにしたいと思いませんか?

ちなみに、脳がもっとも活性化して気分がよくなるのは、「感謝をしているとき」です。脳科学的にも、感謝をするとセロトニンやドーパミンなどの快感ホルモンが分泌されることがわかっています。まさに「幸せ脳」の状態と言えるでしょう。

夜寝る前に、その日にあったいいことを思い出して、「ありがとう」「感謝しています」などとつぶやいてみましょう。それだけで、脳が喜び、幸せな気持ちに包まれます。

言葉・脳・行動はつながっている

私たちの脳では、言葉を発した瞬間に、イメージが想起されています。たとえば、「太陽」と口に出したとき、何かイメージが浮かんできませんか?  明るい、暖かい、輝いている…といったところでしょうか。それらは、「太陽」という言葉そのもの以上に、強く印象に残りませんか?

言葉を発すると、脳内では、言葉に関わる「言語野」と同時に、視覚に関係する「視覚野」が活性化します。その結果、パフォーマンスが変わることがわかっています。

たとえば、握力を測るときに「弱い」と言いながら握ると、力が入らないイメージが浮かび、本当に力が入らなくなるのです。では、「強い」と言いながら握るとどうでしょう。自然と手に力が入り、パワーが出てくる気がしませんか?

このように、言葉によってつくられたイメージ次第で、日々のパフォーマンスが変わります。どんな言葉を使うかで、あなたの能力さえ変わってしまうのです。

厳選!  脳が喜ぶ口ぐせ6選

〇〇して楽しかった

単に「楽しかった」ではなく、「〇〇」の部分を考えることがポイント。脳には空白を埋めようとする性質があるからです。

楽しかったイメージが具体的に浮かんで、ハッピーな気分になります。

すごい!

言われた相手は「認められた」と感じて、人間関係が良好に。また、脳は、自分に言い聞かせていると捉え、あなたのパワーも上がります。

できるかも

「かも」を最後に付けることで、絶対に無理と思っていたことでも「もしかしたらできるかも? チャレンジしてみようかな」と、脳が受け入れやすくなります。

好き!

言った瞬間に気持ちが上がるパワーワード。食べ物、自然、ファッションなど、毎日の生活のなかで、何度でも言いましょう。

時間がある

「時間がない」と言うと、脳内で時間がないイメージがつくられ、物理的に時間があっても時間がないと感じます。忙しい人ほど「時間がある」を口ぐせに。

私は日に日によくなっていく

自分が成長しているイメージが湧き、そのイメージ通りになろうとします。結果、本当に成長して、喜びを感じることができます。