ロシア外交官が侵攻に抗議し辞任 「プーチンの侵略は犯罪」と猛批判

ロシア外交官、抗議の辞職 国際

ロシア外交官、抗議の辞職 プーチン氏の「無分別な」戦争を理由に…BBC

ロシア外交官、抗議の辞職 プーチン氏の「無分別な」戦争を理由に(BBC NEWS JAPAN 2022年5月24日)

ロシアの外交官が、「血まみれで、無分別の」戦争に抗議するとして辞職したことが23日、明らかになった。戦争は「プーチンがウクライナに対して吹っかけた」と述べた。

外交官はボリス・ボンダレフ氏。同氏のリンクトインによると、スイス・ジュネーヴの国連機関のロシア代表部に勤務していた。

同氏はBBCに、自らの考えを表明することで、ロシア政府から裏切り者とみなされる可能性があると述べた。

しかし、今回の戦争をウクライナ人とロシア人に対する「犯罪」だとした自らの発言は変えないとした。

ロシア政府はまだコメントしていない。

ロシアは、戦争をめぐる政府の公式説明に批判的な人々や、そこから距離を取る人々を取り締まっている。政府は今回の戦争を「特別軍事作戦」とだけ呼んでいる。

外交官の訴え

ボンダレフ氏は、ソーシャルメディアに文書を投稿し、同僚外交官と共有した。その中で、「この血まみれで、分別がなく、まったく不必要な屈辱をこれ以上共有できない」とし、20年にわたった外交官のキャリアを終えることにしたと説明した。

また、「この戦争を思いついた人たちの望みはただ一つ。永遠に権力の座に居座り続けることだ」とし、「それを達成するためなら、彼らは人命をどれだけ犠牲にしてもいいと思っている」と主張。

「ただそれだけの理由で、すでに何千人ものロシア人とウクライナ人が死んでいる」とした。

さらに、ロシア外務省は外交よりも「うそと憎悪」に関心があると、率直に非難した。

ウクライナ侵攻に「もう関わりたくない」 辞職したロシア外交官、BBCに語る

同僚の「改心」には懐疑的

ボンダレフ氏はBBCに、辞職する「以外の選択肢はなかった」と述べた。「正直言って、これが大きな変化を生むとは思わない。だが、いずれ築かれるであろう大きな壁の、小さなレンガの1つになるかもしれないと思う。そうなることを願っている」。

ボンダレフ氏は、ロシアが侵攻という「過激な手段を講じた」ことに、同僚たちは当初、「幸福、喜び、陶酔」を感じていたと明らかにした。

「今ではあまり喜んではいない。いくつかの問題、とりわけ経済の問題に直面しているからだ」、「しかし、そうした人たちの多くが悔い改め、考えを変えるようなことはないだろう」。

そして、「それらの人々が過激さを少し弱め、攻撃性をかなり弱めるかもしれない。だが、平和的になることはない」とした。

自らについては、そうした同僚とは対照的に、侵攻が始まった2月24日ほど「自分の国を恥じたことはない」と、ボンダレフ氏は書いた。

「裏切り者」になる覚悟

ボンダレフ氏が、勤務していた代表部を辞める初の外交官なのかは不明。ただ、これまで辞職を公表した職員は他にいない。

ボンダレフ氏は、ロシア政府が自らを裏切り者と見なすことを覚悟しているという。だが、「違法なことは何もしていない」とする。

「私はただ辞職し、自分の考えを述べた」、「しかし、身の安全はもちろん心配しなくてはならないだろう」。

<分析> スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長

辞表にしては痛烈だった。

外交官のボリス・ボンダレフ氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外相、ロシアによるウクライナ攻勢を、思いのままに批判した。

「侵略戦争」、「最も深刻な犯罪」、「戦争屋、うそ、憎悪」……。

ロシア当局者からこうした言葉を聞くのはまれだ。プーチン氏がウクライナで「特別軍事作戦」(世界の大半はロシアの戦争と呼んでいる)を開始してから3カ月、ロシアの国家機関では、反対意見を表明する動きはほとんどない。

ロシア当局にとって、恥ずべきことなのか? もちろんだ。当局は、ウクライナ侵攻というプーチン氏の決定を、国家機構が全面的に支持していると示したいと思っている。

しかし、1人が辞任したからと言って、他の人が自動的に続くわけではない。ボンダレフ氏は私に、自分は少数派だと認めた。差し当たっては、ロシア外務省の職員のほとんどは政府の公式見解と「特別作戦」を支持するだろうと、彼は考えている。

(英語記事 Russian diplomat quits over Putin’s ‘witless’ war

「戦争に反対だ」ロシア外交官が異例の“抗議辞任” プーチン氏を猛批判…テレ朝

「戦争に反対だ」ロシア外交官が異例の“抗議辞任” プーチン氏を猛批判(テレ朝news 2022/05/24 19:05)

SNSで急上昇し、番組が注目したワードは「ボリス・ボンダレフ」です。スイスにあるロシアの国連代表部に勤務してきた外交官がプーチン政権に抗議の辞任をしました。その複雑な心境を赤裸々に語りました。

スイス・ジュネーブの国連事務所に勤務する、ロシアの外交官、ボリス・ボンダレフ氏(41)です。

ロシア国連代表部参事官、ボリス・ボンダレフ氏:「本日、私はジュネーブにある国連事務所のロシア代表団の参事官を辞職します。ロシア政府による現政権の政策に対する意見の相違と非難が理由です」

ボンダレフ氏は、ロシア政府を批判…。外交官を辞職するというのです。

ボリス・ボンダレフ氏(AP通信から):「外交官としての20年間、私は我が国の外交政策の様々な展開を目にしてきたが、今年の2月24日ほど、我が国を恥ずかしく思ったことはない」

ボンダレフ氏は、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日を引き合いに出し、「今、政府がやっていることは耐え難いことだ」と語りました。

そのうえで、プーチン政権をこう批判…。

ボリス・ボンダレフ氏(英スカイニュースから):「戦争を始めることを決めた人たちが望むことはただ一つ。永遠に権力の座にとどまり、豪華で味気ない宮殿に住み、ロシア海軍全体の金額にも匹敵するヨットに乗って、無限の権力と完全な免罪符を楽しむことだ」

ロシアの外交官が、ウクライナ侵攻を非難することを公に認めるのは極めて異例なことです。

さらに、批判の矛先は、自身が勤務してきたロシア外務省、さらに、ラブロフ外相向けられました。

ボリス・ボンダレフ氏(AP通信から):「ラブロフ外相は専門的で教養ある知識人から、常に矛盾した発言を放送し、核兵器で世界を脅かす人物になった。今日、ロシア外務省は、外交のためのものではありません。戦争を商売にし、嘘と憎しみだけです」

ボンダレフ氏は、「我々外務省の外交官は、プーチン政権に良い情報のみを報告し、真実を伝えていなかった」と反省の言葉も口にしました。

一方、ロシアの独立系メディアは、ボンダレフ氏の辞職について触れ、ロシア外務省のサイトから名前が消されたと報じました。

24日午後、番組ではボンダレフ氏と直接コンタクトを取るためスイスの国連代表部に連絡を取りましたが…。

スイス・ジュネーブロシアの国連代表部:「私たちは、この件に関してコメントをしません」