新型コロナ対応・民間臨時調査会の「結果オーライ」に異議あり !!

新型コロナウイルス 政治・経済・社会

世界を襲った新型コロナウイルス感染は収束の兆しは見えず、最近は欧米で第二波が勢いを増している。日本では第2波が下げ止まり状態にあり、これからの秋冬に向けて、拡大するのか、衰退するのか、懸念されるところだ。

正月が過ぎ、新型コロナの突然の襲来に対し、日本政府は対応に試行錯誤が続いた。この度、企業経営者や大学教授、弁護士らでつくる民間有志グループ、「新型コロナ対応・民間臨時調査会」が政府の対策を検証し、報告書をまとめた。

報告書は、電子書籍が2020年10月18日に、紙書籍が10月23日に刊行される予定だ。それに先立ち、ニュースリリースPDF版がインターネット上に公開されている。

「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(コロナ民間臨調)が日本のコロナ対応検証報告書を発表、10 月後半から一般発売

その中から一部を抜粋し、紹介するとともにコメントを付した。

突然の一斉休校指示(2 月 26日、27 日)

2 月 24 日の専門家による「瀬戸際」発言が「ターニングポイント」(官邸スタッフ)となり、総理室は急遽方針を転換して大規模イベントの自粛と全国一律の一斉休校要請を決断した。突然の指示に萩生田文科相は「もう決めたんですか」と不満を述べるとともに「本当にやるんですか、どこまでやるんですか」と疑問を呈したが、最後は安倍首相が「国の責任で全て対応する」と引き取った。安倍首相は、この一斉休校を難しい判断であったと振り返り、当時は学校でのパニック防止と、子どもから高齢者への感染拡大を懸念していたと述べた。

事前に調整されていない中での突然の休校は、学校が混乱したばかりか、一番影響を受けたのは共稼ぎや一人親の家庭だった。

対策にはスピードが要求されるが、それによる影響を事前に十分に予測し、影響を極力少なくする対策を並行することが必要だ。反対に、中国や欧米からの入国制限は遅れてしまい、感染被害を拡大した。

マスク需給逼迫の中、値崩れ効果を狙った「アベノマスク」について官邸スタッフは「総理室の一部が突っ走った。あれは失敗」と認めた。(4 月~)

4 月 1 日に安倍首相が発表した 1 世帯当たり 2 枚の布マスク全戸配布、いわゆる「アベノマスク」は、厚労省や経産省との十分な事前調整なしに首相周辺主導で決定された政策であった。・・・配布の遅れもあり、官邸スタッフは「総理室の一部が突っ走った、あれは失敗だった」と振り返った。

官邸スタッフも認めているように、アベノマスクは大失敗だった。小さすぎて使えない。配布が遅い。そして何よりもその経費が問題だ。全世帯向けが1億3000万枚で260億円、介護施設など向けが6000万枚(更に8000万枚は備蓄)で費用は備蓄向けを含め247憶円、計507億円である。

菅総理が日本学術会議の新会員6名を拒否した問題で、日本学術会議や学界を始め各界や世論が政府批判を強める中、批判の矛先を変えるため、河野行政改革担当大臣や自民党は、日本学術会議のあり方を見直すと言及した。

加藤官房長官によると、日本学術会議の予算は毎年約10億5000万円で、内訳は、事務局人件費・事務費が5億5000万円、人件費などを含む政府・社会などに対する提言費用が2億5000万円、各国アカデミーとの国際的な活動費が2億円、科学の役割についての普及・啓発費が1000万円、科学者間のネットワーク構築費が1000万円だ。

河野大臣が『10憶円』の日本学術会議を改革すると発言したことを否定する訳ではないが、その前に政府は6人を拒否した理由を説明すること、そして、行革担当大臣は、官邸スタッフさえ失敗と断定したアベノマスク『500億円』の無駄を徹底的に解明し改革すべきではないか。

PCR検査の「目詰まり」と戦略の曖昧さは「日本モデル」のアキレス腱

パンデミックへの備えを怠ったため、政府はPCR等検査を広範に実施することができなかった。そのことに対する国民の不安と不満、そして不信が募った。厚労省のこうした姿勢は世論の強い批判と世界の対日不信を懸念する官邸との間に緊張をもたらした。安倍首相は5 月4日、その状態を「目詰まり」であると発言し、厚労省に圧力をかけた。それに対して、厚労省は「不安解消のために、希望者に広く検査を受けられるようにすべきとの主張について」と題された内部限りの資料を用いて、「広範な検査の実施には問題がある」との説明をひそかに官邸中枢と一部の有力国会議員に行った。厚労省の資料は広範なPCR等検査の導入を求める主張への反論に過ぎず、検査体制戦略を明確にしたものではない。(赤アンダーラインは筆者)

日本で未だに何故PCR検査が拡大されないのか、希望者に保険適応で検査できないのか、その理由が明らかにされていない。

PCR検査数は最近若干増えたが、現在(2020年10月11日)でも世界216国・地域で151位の少なさだ。PCR検査を仕切っているのは、厚生労働省-国立感染症研究所-保健所・地方衛生研究所というラインだ。これらの組織がPCRを含む行政検査を独占しているところに問題がある。もちろん、現場でフル回転で作業に当たる研究員・職員には感謝あるのみだが。

行政を見直すなら、こういうところを率先して改革して頂きたい。

コロナ対応は「泥縄だったけど、結果オーライ」

8 月 28 日、安倍首相はコロナ対応を振り返り、「今までの知見がない中において、その時々の知見を生かしながら、我々としては最善を尽くしてきたつもり」と述べた。官邸スタッフはその実態を次のように表現した。「泥縄だったけど、結果オーライだった。」

「結果オーライ」には反対だ。と言うより、間違った結論だ。

新型コロナ感染による死者数は、人口100万人当たりで比較すると、日本は、欧米や中南米、アフリカ、西アジアなどの地域と比べて少ないが、東アジアと東南アジアの中では決して少なくない。フィリピン、インドネシアに次ぐ、ワースト3位である。

山中伸弥教授が指摘する、この地域特有のファクターXにより、それ以外の地域に比べて感染者数と死者数が少ないのである。日本政府はコロナ対策に失敗したのだ。

最後に、今回の報告書は夏以降のGoToキャンペーンなどは検証の対象になっていないことを付け加えておく。

コメント

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