デジタル改革関連法案、衆議院を通過 病歴や所得・資産などの個人情報を政府が一元的に管理

デジタル改革関連法案が衆院通過 政治・経済

政府・与党が重要法案の1つと位置づける「デジタル改革関連法案」は6日、衆議院本会議で採決が行われ、デジタル庁を設置するための法案など、合わせて5つの法案が可決され、参議院に送られた。

法案の柱は、政府のデジタル施策の総合調整を担うデジタル庁の9月新設。同庁は首相がトップを務め、国のデジタル政策の予算分配などの権限が集中する。ばらばらになっている各府省や自治体の情報システムも統一・標準化する。

民間、行政機関、独立行政法人の3つに分かれている個人情報保護法も統合。条例で個別に定める自治体の個人情報保護制度も共通のルールに改められる。

今回の「一元化」でデータが集めやすくなると、行政側がデータを幅広く利用しようとして条文を拡大解釈することが考えられ、歯止めがきかなくなる恐れがあると慎重派はみる。病歴の情報や、所得・資産といった経済状況など、自治体が持つ個人情報が知らない間に政府に集められる可能性があるという。

63本もの新法や改正案が一つに束ねられた法案の衆院内閣委員会での審議時間は、参考人質疑も入れて27時間25分。野党や日本弁護士連合会、市民団体が指摘していた個人情報保護など、課題の多くは積み残しになり、政府への注文などとして28項目もの付帯決議がついた。

こうした動きに、総務省の行政機関等個人情報保護法制研究会委員を務めた三宅弘弁護士は、「個人情報が内閣中枢に吸い取られる可能性が極めて高くなる」と指摘。「デジタル監視法案だ」と批判する。

 【図表の出典】
  束ね法案に拙速審議の批判、自治体の裁量制約も デジタル関連法案(東京新聞 2021年3月30日)

【参考・引用・抜粋 記事】

「個人情報吸い取られる」デジタル改革法案に懸念の声 政府は反論、4月成立目指す(東京新聞 2021年3月30日 06時00分)

束ね法案に拙速審議の批判、自治体の裁量制約も デジタル関連法案(東京新聞 2021年3月30日 06時00分)

デジタル改革法案、衆院通過 個人情報保護などに懸念(朝日新聞 2021年4月6日 22時03分)