維新政策要求、連立後の火種 自民「ちゃぶ台返し」警戒(時事通信 2025年10月19日07時01分配信)
連立政権発足に向けた自民党と日本維新の会による政策協議が大詰めを迎えている。維新の12項目の要求には自民が慎重な政策も含まれ、合意したとしても連立の火種となる可能性がある。自民内には、合意を実現できなければ「維新がちゃぶ台返しで連立離脱する」(関係者)と警戒する声もある。
維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は18日、読売テレビの番組で「痛みを伴う本気の改革をやる。議員定数の削減もできないと言うなら、その船に乗るつもりはない」と述べ、自らは譲らない姿勢を改めて強調した。
「身を切る改革」を掲げてきた維新が、21日召集の臨時国会で関連法案を成立させるよう迫るのが国会議員の定数削減だ。「1票の格差」が拡大しかねない選挙区は避け、比例代表を想定している。ただ、公明党や共産党などの中小政党にとっては死活問題。与野党合意を重視してきたテーマでもあり、維新の思い通りに進められるか見通せない。
維新は企業・団体献金の廃止を訴える。連立離脱を決めた公明が、自民に要求した献金の受け皿限定案よりもさらに厳しい。玉虫色の決着を急げば、連立入りを優先させたと批判を浴びかねない。国民民主党の玉木雄一郎代表は「『政治とカネ』の問題が軽視されれば単なる(自民の)政権延命だ」とけん制している。
看板政策の「副首都」構想でも論点は多い。維新は住民投票で2度否決された「大阪都構想」のリベンジを懸け、災害リスクの分散や首都圏一極集中の是正を主張。来年1月召集の通常国会での法案成立を目指すが、国政機能の地方移転には非効率化やコスト増を懸念する声が上がる。
社会保障改革は支持基盤の違いが影響するのは必至だ。「現役世代」を重視する維新は、高齢者の医療費負担引き上げを提唱。市販薬と似た「OTC類似薬」の保険適用除外には日本医師会が反対している。自民は高齢者の支持率が高い傾向があり、日本医師会は伝統的な支持団体だ。
2年間の食料品消費税率ゼロへの対応には苦慮しそうだ。消費税は社会保障費の財源で、税収減を補う必要がある。自民では麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長が減税に慎重なのに対し、高市早苗総裁は積極財政派。維新との合意が自民に新たなあつれきを生じさせる可能性もある。