緊急事態宣言2か月半、21日で全面解除 菅首相記者会見の全文

緊急事態宣言全面解除記者会見20210318 政治・経済

政府は18日夕、首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部会合を開き、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言を21日の期限で解除すると正式決定した。1月8日に始まった今回の宣言は2か月半で全面解除となる。

菅内閣総理大臣記者会見 冒頭(全文)

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県について、3月21日をもって緊急事態宣言を解除することを決定いたしました。

これまで、飲食店の時間短縮を中心に、ピンポイントで行った対策は、大きな成果を上げています。1都3県の感染者数は、1月7日の4277人から、昨日の725人まで、8割以上減少しています。東京では、2520人から、本日は323人となり、解除の目安としていた1日当たり500人を40日連続で下回っております。

病床のひっ迫が続いた千葉県などにおいても、日を追って入院者が減少し、病床の使用率50パーセントという解除の目安を下回り、40パーセント以下となっております。2週間宣言を延長し、病床の状況などを慎重に見極め、判断すると申し上げてきましたが、目安とした基準を安定して満たしており、本日、解除の判断をいたしました。

これまでの医療、介護などの関係者の皆様の御尽力、国民や事業者の方の御協力に心から感謝申し上げます。

しかしながら、感染者数には横ばい、あるいは微増の傾向が見られ、人出が増加している地域もあることから、リバウンドが懸念されております。変異株の広がりにも警戒する必要があります。このため、宣言が解除される今が大事な時期であり、それぞれの地域の状況を踏まえ、国と自治体が一層協力しながら、しっかりと対策を続けてまいります。

これまで踏ん張ってきていただいた皆様へのお願いだけでなく、自治体との協力、役所間の連携については、私の下で総合的に調整し、実効性のある対策を打っていきます。

皆様におかれては、これまでの経験から学んだマスク、手洗い、3密の回避などの基本的な予防策を社会全体で共有し、続けていただくよう、心よりお願い申し上げます。

そして、飲食や恒例行事などのリスクの高い場面に着目した対策を徹底していきます。政府としては、情報発信を強化し、感染防止に必要なことを分かりやすく伝えていきます。また同時に、偏見、差別などの防止に向けた取組を進めていきます。

宣言の解除に当たり、感染の再拡大を防ぐための5本の柱からなる総合的な対策を決定いたしました。国と自治体が連携して、これらを着実に実施してまいります。

第1の対策の柱は、飲食の感染防止です。これまでの経験からも、マスクを外した会話が多くなる飲食が対策の中心です。

1都3県では、それぞれの都県の要請により、21時までの飲食店の時間短縮を継続することとし、これに対し1日4万円の支援を行います。また、席と席の間隔や店内の換気に関してガイドラインを守っていただくことも重要です。1都3県合わせて1日1万件前後の見回りを行っておりますが、更に対策を徹底していきます。

会食はできるだけ家族、又は4人以内でお願いします。正にこれから卒業式、入学式、歓送迎会などの季節となりますが、大人数の会食についてはお控えいただくよう、お願いいたします。こうしたメッセージが広い世代の方々に届くように、テレビのコマーシャルのほか、SNS、ネット、動画など、あらゆる媒体を活用し、これまでにない規模で、集中的な発信を行います。

第2の柱は、変異株への対応です。

国内の監視体制を強化するために、全都道府県で陽性者の検査を行っておりますが、今後抽出する割合を、現在の10パーセントから40パーセント程度に引き上げて、変異株を割り出すとともに、感染源をきめ細かくたどることで、拡大を食い止めていきます。航空便の搭乗者数の抑制により、入国者の総数を管理するなど、水際措置も強化します。

第3の柱は、感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施です。

繁華街や駅などで既に実施している無症状者のモニタリング検査を順次、主要な大都市で大幅に拡大し、来月には1日5000件の規模といたします。さらに高齢者施設などについて、今月末までに3万か所の施設を対象に検査を行い、来月からは更に集中的、定期的な検査を実施します。

第4の柱は、安全、迅速なワクチン接種です。

変異株を含めて感染対策の決め手となるのがワクチンであり、一日も早く、全ての国民の皆さんにお届けしなければならない、そうした思いで準備を進めております。

これまでに副反応も報告されておりますが、専門家の評価によれば、いずれも比較的軽度であり、適切に治療され、改善しているということであります。医療関係者への優先接種は順調に進んでおり、現在は1日8万人の規模で接種が行われております。

4月12日からは、高齢者への優先接種が始まります。そして、6月末までに少なくとも1億回分が確保できる見通しです。医療従事者、高齢者に行き渡る十分な量であり、皆さんに安心して接種いただけるように、丁寧な情報発信を行ってまいります。

そして、第5の柱が、次の感染拡大に備えた医療体制の強化です。

今回は、急速な感染拡大に十分に対応できず、各地でコロナ病床や医療スタッフが不足する事態となりました。各都道府県において、今回のような感染の急拡大に対応できるように準備を進めています。コロナ病床、回復者を受け入れる病床、軽症用のホテル、自宅療養が役割を分担して、感染者を効果的に療養できる体制をつくります。

こうした総合的な対策と併せ、宣言が解除されても資金繰り、雇用調整助成金など、できるだけの支援をきめ細かく行っていきます。

一昨日には、生活や雇用に深刻な影響が及んでいる方々への緊急支援策を取りまとめました。厳しい状況の中でも、未来を担う子供たちを第一に考え、ひとり親や低所得の子育て世帯に対し、子供1人当たり5万円を給付します。一定の所得を下回る方々について、月々10万円の給付金付き職業訓練の対象を拡大し、中でもデジタル分野の訓練の人数を倍増させて5000人とします。

緊急小口などについて、新規の貸付を4月以降も継続し、住民税非課税世帯については、来年以降、返済を免除いたします。自殺防止、子ども食堂、子ども見守りなど、政策のはざまにあって現場で活動を行うNPO(特定非営利活動法人)などに新たに60億円の支援を行います。

さらに、これまで多くの雇用を担ってきた飲食業などの事業の継続を支援するために、金融面の対応策を早急に取りまとめます。

感染拡大を二度と起こしてはいけない、その決意を今回の宣言解除に当たり、改めて私自身、自らにも言い聞かせております。

お一人お一人が意識を持って行動していただく中で検査を拡大し、意識を持って行動していただく中で早期にリバウンドの端緒をつかみ、ワクチンの接種により発症と重症化を抑えながら医療体制を強化していく、命と健康を守っていく、そうした対策を徹底してまいります。皆様に制約をお願いする以上、国も自治体と一丸となって、できることは全てやり抜きます。

世界でもまだ闘いは続いています。その中でも1年間という時間で分かってきたこともあります。そして、何よりもワクチンという武器があります。一進一退があっても、必ず先には明かりが見えてきます。そうした思いで私自らが先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟を持って全力で取り組みます。皆さんの御理解と御協力を、心からお願い申し上げます。

私からは以上です。

記者との質疑応答(全文)

(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。尾身会長におかれましては、所定の位置にお進みください。御質問の内容によりまして、尾身会長にも御説明を頂きます。

指名を受けられた方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにしていただいた上で、1問ずつ御質問をお願いいたします。

それでは、まず、幹事社2社から御質問を頂きます。ジャパンタイムズの杉山さん、お願いいたします。

(記者)
幹事社のジャパンタイムズの杉山です。総理にお伺いします。

総理は以前、コロナ対策について、アクセルとブレーキという形で例えられましたが、しかし、GoTo停止や2回目の緊急事態宣言の発出のタイミングをめぐっては遅いというような批判も受けました。そして、今後解除によって感染が拡大した場合、総理としては、柔軟にアクセルとブレーキを踏むということは、果たしてきちんと使い分けるということはできるのでしょうか。

それができず状況が悪化した際は、総理はどう責任を取るのでしょうか。そして、これまでの経験、教訓、いろいろあったと思いますが、それをどう今後の感染対策に具体的に反映させるのでしょうか。お伺いします。

(菅総理)
まず、9月に総理大臣に就任して以降、国民の皆さんの命と暮らしを守る、強い思いで今日まで取り組んできました。日々の感染状況を把握して、専門家の意見も聞きながら、対策による国民の皆さんの生業だとか生活、そうしたものの影響等も考えてきました。

そういう中でGoToキャンペーンの停止、緊急事態宣言、こうした必要な判断を行い、対策を講じてきました。緊急事態宣言に基づき感染防止にかじを切って、飲食店の時短営業を中心として、言わばピンポイントの対策を行ってきて、新規感染者数は約8割以上減少するなど、はっきりした効果がこれは出ていると思います。

また一方で、感染が急激に拡大して、コロナ病床や軽症用のホテルなど、こうしたことが不足したことは、真摯に受け止めたいと思っています。

これまでの経験をいかして、宣言の解除に当たって、再拡大を防ぐとともに、先ほど申し上げました5本の柱、総合的な対策をしっかり行って、地方自治体と連携しながら、一日も早く感染拡大収束に努めていきたい、このように思っています。

(内閣広報官)
続きまして、朝日新聞の星野さん、どうぞ。

(記者)
朝日新聞の星野です。よろしくお願いします。

まず、首相と尾身さんの2人にお伺いしますが、尾身会長、2週間前の記者会見でリバウンドにならないような防止策、体制強化をこの2週間の間にしっかりやっていくというふうにお話しされました。ですが、新規感染者数は再び増加トレンドに入っています。この2週間で防止策や体制強化は十分にできたとお思いでしょうか。

また、総理にお伺いしますが、再び感染拡大した際に3度目の緊急事態宣言を出す可能性と、その場合にコロナに打ちかった証にしたいとしている五輪開催への影響をどのように考えますか。米国のバイデン大統領は7月4日の独立記念日までに社会生活の正常化を目指すとしていますが、総理はいつ頃までに正常化を目指すお考えですか。よろしくお願いします。

(菅総理)
私からよろしいですか。まず、宣言を2週間延長し、その結果、新規感染者数はもちろん、病床のひっ迫状況、ここも含めて解除の目安を下回っています。こうした客観的な基準に基づいて、専門家の意見も踏まえながら、今回解除の判断をしました。

さらに、感染再拡大を防ぐために、先ほど申し上げましたように5つの総合対策をしっかり実行に移していきたいというふうに思います。

いずれにしろ、再び緊急事態宣言を出すことがないように、こうした5つの対策をしっかりやるのが私の責務だというふうに思っています。

また、ワクチンは、発症予防や重症化予防に効果があると指摘されており、正に感染拡大を防ぐためには極めて大事なことだというふうに思っています。

そういう中で、一つ一つこうした感染拡大を収束することによって、今、オリンピックについては、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が世界のそれぞれの組織委員会の中に提案する中で、オリンピックは開催するという方向で、今しっかり準備を進めているのが実情であります。そうしたことを、開催を、しっかり応援していきたい、このように思います。

(尾身会長)
2週間で十分準備ができたかという御質問ですけれども、私は2週間の間に、2週間延長するいろいろな理由があったと思いますけれども、一つの重要なことは、この2週間をリバウンド防止のための対策をつくる準備期間に是非していただきたいということで、いろいろな対策を国には、あるいは地方自治体には打つ準備をしていただきたいということで、7つのポイントということで、このやっていただきたい対策を、私は、一言で言えば、もちろん食を介しての時短というのはこれからも、今総理がおっしゃったように重要ですけれども、これからのやるべき対策を一言で言えば、私は、今までの延長線上にはない対策を打つことだと思います。

延長線上にはない対策ということで、サーキットブレーカーというのをしっかりやってもらうようなモニタリング、深掘り調査、それから、高齢者施設に対する変異株の定期的な検査というようなことを申し上げてきましたけれども、もちろん準備は完全ということはありませんが、少なくても、もう既に幾つかの都道府県では重点のモニタリング検査というようなことを実施する。それから、深掘りの検査という、感染源をしっかりと同定するという対策の準備に入っておりますし、高齢者施設の職員に対する検査というのも、そういう意味では、私は、準備が完璧などということはないですけれども、私どもが申し上げて、やっていただきたいということの準備が始まったということは言えるので、是非これを加速していただければと思います。

(内閣広報官)
それでは、幹事社以外の方から御質問を頂きたいと思います。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名をさせていただきますので、マイクにお進みください。それでは、NHKの長内さん、お願いします。

(記者)
NHKの長内と申します。総理にお伺いします。今週行われた日米の2プラス2では、両国が結束して中国に向き合う姿勢を打ち出したわけですけれども、来月予定されている日米首脳会談も含めて、日米同盟を強化するため、どのような形で具体的により貢献していくお考えでしょうか。

(菅総理)
まず、日米同盟は申し上げるまでもなく、日本外交安全保障の基軸であります。インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤でもあります。

バイデン大統領とは、電話会談や日米豪印、いわゆるQUAD(日米豪印外相会合)の首脳テレビ会議などの場で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けたコミットメントを繰り返し明確にしてきました。日本としても、同盟国である米国を始めとして、志をともにする国々と緊密に連携して、この日米豪印など様々な機会を捉えて、自由で開かれたインド太平洋を戦略的に推進していきたい、このように思います。

また、諸般の事情が許せば、来月前半にはワシントンを訪問し、この機会にバイデン大統領との個人的な信頼関係を深めつつ、日米同盟の更なる強化につなげていきたいと思います。

また、新型コロナ、気候変動、さらに中国に見える諸課題、また、北朝鮮による拉致問題の様々な課題について、日米で連携して行っていく、こうしたことをお互いに確認し合える会にしたい、このように思っています。

(内閣広報官)
それでは、日本経済新聞、重田さん、どうぞ。

(記者)
日経の重田です。総理にお伺いいたします。

ワクチン接種に関してですが、米国のバイデン大統領ですが、ワクチンの接種が進めば7月4日までにウイルスから独立できると述べていらっしゃいます。

ワクチンの普及時期は各国経済の立て直しに直結する要素がありますが、総理はワクチン接種のスピードを一段と速めるお考えはありませんでしょうか。例えばワクチンの打ち手は医師や看護師に今限定していらっしゃいますが、アメリカでは医学生が接種に当たる例もあります。こういった規制の緩和などについてもお考えをお聞かせください。

(菅総理)
まず、ワクチンは発症予防や重症化予防に効果があると指摘され、正に感染対策の決め手だというふうに思っています。政府としては一日も早く全国の皆さんに安全で有効なワクチンをお届けしたい、そういう思いで取り組んでいます。

ワクチンの供給確保だとか、あるいは財政支援を含めた地方自治体への支援、こうしたものについては全力で今取り組んでいるところであります。そして、6月中には1億回分確保する予定であります。

また、ワクチンを接種する者でありますけれども、接種に伴う安全性を確保する観点から、医師や看護師に限定されているところです。先般、医師会長と直接お会いし、会長からも全面的に協力する、そうした趣旨のお話を頂いています。

今後とも様々な事態を想定して、大規模なワクチン接種を円滑に進められるよう、そこは全力を尽くしていきたいというふうに思います。

ワクチン接種については、専門家である尾身会長からもどうぞ、よろしいですか。

(尾身会長)
もうこれは今回のこの新型コロナをある意味で収束させるための必要不可欠なツールでありますので、いろいろな障害があると思いますけれども、今、一生懸命国の方でも努力していただいていますけれども、弾力的に、柔軟に、なるべく早く多くの人に届くように頑張っていただきたいと思います。

(内閣広報官)
それでは、国際メディアから1問、一番奥のウォール・ストリート・ジャーナルのピーター・ランダースさん。

(記者)
ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。訪米についてお伺いしますけれども、特に日中関係、米日中関係について、どのような考えを持ってアメリカのバイデン大統領と会談する予定でしょうか。ありがとうございます。

(菅総理)
まず、先ほど申し上げましたけれども、諸般の事情が許せば、来月前半にワシントンを訪問して首脳会談に臨みたい、このように思っています。

そういう中で、先日の2プラス2でも、この日米同盟について、日米豪印いわゆるQUAD、こうしたことについて会談しました。そしてまた日中関係についても、そこはしっかりと本音の中で話すことができたというふうに思っています。  米国との信頼関係の中で、正に日米同盟をしっかりと機能するように、そうした様々なことが話されています。首脳会談においても、こうした日中関係、気候変動、コロナ、様々な問題について率直に話し合いたい、このように思っています。

(内閣広報官)
それでは、また前列に戻りまして、共同通信の吉浦さん、どうぞ。

(記者)
共同通信の吉浦です。総理にお伺いします。感染対策をめぐる若者への呼び掛けについてお聞きします。

総理は先ほどの参議院議院運営委員会で、感染対策について、若者にどうしたら届くだろうかということを専門家と協議したと答弁されました。総理は、これまでも記者会見などで若者に感染対策への協力を呼び掛けてこられましたけれども、十分に浸透できていないのが現状だと思います。

総理の声が若者になかなか伝わらない原因はどこにあるとお考えでしょうか。これからCMなども活用されていくかと思いますけれども、単なる情報発信ではなくて、若者に響く発信の在り方についてどのようにお考えか、お伺いします。

(菅総理)
まず、やはりこの若者世代が、いわゆる経路の分からない中で6割が若者だったという、そういう中で、そこに政府としてその対応策、飲食とかそういう問題の中で響かせる。ですから、例えばSNSだとか、そうした若者のよく捉えられる、見られる部分に対しての広報が全く欠けていたのではないかなというふうに思っています。また、私自身も、そうした若者の方に対しての発信が足りなかったのだろうというふうに思っています。そうしたことをしっかりと発信していきたい、こういうふうに思っています。

(内閣広報官)
それでは、フジの鹿嶋さん、お願いします。

(記者)
フジテレビの鹿嶋です。

自民党内から、緊急事態宣言が全面的に解除されれば、菅総理の衆院解散に関するフリーハンドが、この秋を待たずして増えていくのではないかという意見が出ていまして、今日も自民党の下村政調会長が、来月の首相のアメリカ訪問の後に解散総選挙に踏み切る可能性があるのではないかというような言及をしています。

一方で、この第4波への強い懸念もある中で、とても選挙をやっている場合ではないという意見もある中で、この宣言解除と解散総選挙の関係性について、総理がどうお考えになっているのかをお聞かせください。

そして、先ほども言及がありましたワクチンの接種状況が、今後の解散を行う場合に判断材料の一つになるのかということも併せてお聞かせください。

(菅総理)
まず、ワクチンについては、やはり国民の命、そして健康を守るために、一日も早く皆さんにお届けすべきだというふうに思います。そして、私自身は、やはりこの新型コロナウイルス対策、ここを収束に向けて、先ほど申し上げましたけれども、変異株だとか、あるいは高齢者施設への検査だとか、5つの掲げたことについてしっかり対応していくのが私の役割だというふうに思っています。

ですから、訪米後の解散とか、そうしたことについては、全く解散については考えておりません。ただ、いずれにしろ時期が、9月までが任期ですから、その中で考えていくことは、これは事実ですけれども、とにかく優先すべきはコロナの収束をしっかりさせるのが私の責務、こう思っています。

(内閣広報官)
続きまして、フリーランスの方から。では、大川さん、どうぞ。

(記者)
フリーランスの大川興業の大川と申します。本日はよろしくお願いいたします。いつも、連日のコロナ対策、お疲れさまでございます。

私、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の現場に行っております。そのときに、経済と両立させるのが大変だということを現場で取材しております。ですので、例えば電子マネーで国民に配付して、電子マネーだったら期限が限定して貯金に回らず使い切ることも可能でございます。

なおかつ、コロナ予防に協力しているお店が多数ございます。時間関係なく、お一人様サービスにはポイントが付く、つまり、コロナ予防ポイントみたいなことを国民の皆様、若者の皆さんに御協力いただくということで経済を回していくということが、僕はGoToイート、GoToトラベル、大変なところにポイントをつけるということで、若者たちにすごく関心を持ってもらうことは可能だと思っております。

そういった電子マネーでの配付、そしてエコポイントのようなコロナ予防対策ポイント。

そして、尾身会長には、日本では2003年のときに、僕は病院船を提言いたしました。病院船です。各国で感染が起きたときに、病院船で治療に行く。なおかつ、危機管理医薬品、いわゆる全世界を救うためのワクチンの開発を日本でやられるお考えはないのか。何兆円もかけてやらないとできないことですので、その2点をよろしくお願いいたします。

(菅総理)
まず、電子マネーについてでありますけれども、今の発想を提言というもので受け止めさせていただきます。今、私どもは全く考えておりませんので、そういう考え方があるということを受け止めさせていただきます。

(記者)
ありがとうございます。

(尾身会長)
病院船の、これからの仮に患者さんが急増したときの一つの、病床がひっ迫しているのでそういうものも考えたらどうかということですけれども、実は今、厚労省の方は、病院のいろいろな役割分担だとか、いわゆる既存の病床をどう活用するかということで、地方自治体にかなり強いお願いをして、今、そういう計画を練って、これは早晩出来上がると思うので、そういう中で、今のところ厚労省の方は病院船というのは、私は視野にはないと思いますが、いわゆる臨時の施設というのを用意するということを、話の上では、臨時のプレハブのものを造るとか、こういうことも考慮の検討には値すると思いますけれども、今は、プライオリティーというか優先順位は、今ある日本の病床をいかに工夫して弾力的に活用するかということを全力で集中する時期ではないかと私は思います。

(内閣広報官)
それでは、前列に戻りまして、中国新聞の下久保さん、お願いいたします。

(記者)
中国新聞社の下久保です。総理、よろしくお願いします。総理にお尋ねします。選挙の新型コロナウイルス対策について聞かせてください。

4月には参院広島の再選挙と衆院北海道2区、参院長野2つの補選があります。密になりがちな投票所の問題、また、候補者と有権者の接触でどのような対策をお考えでしょうか。また、東京から国会議員が各選挙区に入ることについて、このリスクについてどのようにお考えでしょうか。

また、この参院の広島の再選挙ですが、そもそもが当選無効となった河井案里議員の辞職、当選無効によるものです。首相は官房長官時代に河井案里氏を熱心に応援されました。また、案里氏の公判では、自民党本部から提供された1億5000万円の一部が買収の原資になったとの証言が出ました。この問題について、総理はこれまで御説明をしっかりされていませんが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

政治と金の問題については国民が厳しい目を向けています。この点について、コロナ対策と政治と金の問題についてお聞かせください。

(菅総理)
まず、選挙と絡めますと、やはり有権者の皆さんの安全、安心に配慮してコロナ対策をしっかり行いながら、選挙管理委員会が、それは万全の体制を組んで対応する必要があるというふうに思います。

今日までの、例えば静岡の選挙だとか、いろいろなところで選挙をやってきていますので、これは総務省でも全部分かっていますから、そういう中で感染防止の徹底、また、期日前投票の積極的な利用だとかそういうことによって混乱、混雑を防ぐとか、いろいろなやり方があるのだろうというふうに思います。投票所の混乱回避、混雑回避、ここはやはりしっかりと対応する必要があるだろうというふうに思います。

それで、選挙に東京から行くか行かないかということですけれども、それはその時々の状況によって変わるのだろうというふうに思います。

なお、資金の問題ですけれども、何回か私は御説明させていただいていますけれども、やはり党の専属の監査というものを行いますから、ただ、今は書類が押収されていてできないということで、戻ってきた時点で、そこは党としてしっかり対応する、そういうことであります。

(内閣広報官)
続きまして、それでは、読売新聞の黒見さん。

(記者)
読売新聞の黒見です。総理にお伺いいたします。

さきの特別措置法の改正で新設されましたまん延防止等重点措置なのですけれども、これは一部では、直ちに東京などに適用すべきだという声もありますけれども、これは総理、今後活用されるお考えはありますでしょうか。活用される場合、どういった状況で考えられますでしょうか。よろしくお願いします。

(菅総理)
まず、まん延防止の適用でありますけれども、考え方としては、都道府県の特定の地域において感染拡大する、そして、そこから都道府県の全体に波及する、そういうおそれがあったときは、その特定の地域に対してこのまん延防止措置を機動的に行う。そういうことができるようにしていますので、やはりこのそうした感染の状況を踏まえて、見ながら、専門家の先生方に相談をしてから、そこは必要であれば機動的に使えるという仕組みを、つくらせていただいて、正に感染防止のために、その状況を見て行っていくということだというふうに思います。

いずれにしろ、今やるとかやらないではなくて、そういう考え方の下にできていますので、必要であれば実行に移すというのは、それは当然だというふうに思います。

(尾身会長)
今のまん防ですが、実は私は、残念ながら第2回目の緊急事態宣言を発出せざるを得なかった理由の一つは、簡単に言えば、いわゆるサーキットブレーカーが利かなかったということだと思います。したがって、私は一番重要なことは、どのような状況になったらいわゆるハンマーを打つ、サーキットブレーキというようなことについて、国と自治体が共通の認識を持つことが必要だと思います。

そういう意味では、ただ、何らかのしっかりした客観的な目安がないといけないので、私ども専門家も政府の方々、あるいは他の方々と連携して、今まではステージⅢとⅣの区分けについてのインディケーター、指標はありましたけれども、どういう状況になったらハンマーを打つのかということをもう少し具体的に考えたらいいのではないかということで、私どもも来週になったら早速そういう準備をしたいと思います。専門家と。

それから、もう一つは今の活用ですけれども、どういうことをするのかということも非常に重要で、これからも時短という、食を介しての感染が広がるというのは、これからもそのパターンは続くと思います。しかし、今、首都圏では、感染のクラスターが多様化しているので、これからいろいろなモニタリング検査あるいは深掘り検査をしていくと、それ以外のクラスターの元、感染源がある可能性があるので、そうした調査の結果、新たな感染の源があれば、飲食だけではなくて、そういうことに対する対応を打つということも、いわゆるまん防の実際の対策の一部には入れていく必要が出てくる可能性はあると思っています。

(内閣広報官)
それでは、後列のブルームバーグ、ノブヒロさん、どうぞ。

(記者)
ブルームバーグのノブヒロと申します。経済対策に関連してお尋ねします。

昨年来、政府はコロナ対応の経済対策、財政出動を継続しているところだと思いますが、欧米では大規模な財政、経済対策に伴ってその財源として、例えば大企業であるとか富裕層への増税を検討しています。日本でもそういった経済対策に伴う増税というものが必要でしょうか。

一方で、消費税に関しては、総理は以前、10年間は上げる必要がないということをおっしゃっていらっしゃったと思うのですが、現在もその考えに変わりはないでしょうか。

(菅総理)
まず、日本と海外の違いというのは、海外はロックダウンとか、このコロナ対策でそうしたことを何回となく行っています。日本は御承知のとおりの対応策であります。そして、日本としても事業規模74兆円の経済対策、ここを実行するための第3次補正、これも成立させていただいたところであります。来年度予算と一体化して、正に何としても大事なのはコロナ対策。コロナ収束に向けて必要なものは、そこにはしっかりと財政は付けていく。

例えば新型コロナの影響で厳しくなっている、大変厳しい状況にある御家庭だとか、あるいは非正規の方とか、弱い人に対して、政府としては様々な今、支援策を行っているところであります。そういう思い切って財政出動していることで、財政そのものは非常に厳しくなっていることもこれは事実ではありますけれども、今は、まずはコロナが収束するために、政府としてはできる限りの対応をすると、そういうことが今、大事だと思います。やはりこの経済あっての財政という考え方で私どもはこのコロナ対策を、全力を挙げて、何とかしのいでいきたいというふうに思います。

なお、こうした効果があって、失業率、コロナの中で日本は先進国で最も低い部分の2.9パーセントで何とかしのいでいることも、こうしたことの結果ではないかなというふうに思っています。

(内閣広報官)
それでは、大変恐縮でございますけれども、大分時間が押してまいりましたので、最後の2問にさせていただきたいと思います。それでは、TBSの後藤さん。

(記者)
TBSの後藤と申します。

尾身会長にお尋ねしたいのですけれども、先ほどのお話で、来週から専門家の皆さんで、今のステージⅢ、Ⅳに代わる基準づくりを検討なさるという話を伺いました。これは、想定しているのは、まん延防止、いわゆるまん防の適用に対しての明確な基準づくりと、そういうふうに解してよろしいのでしょうか。よろしくお願いします。

(尾身会長)
来週からいろいろな頭の体操を、これは非常に重要な問題で、1日とか2日でできるわけではないので、いろいろな方との意見交換をする必要があると思いますけれども、私が申し上げたのは、ステージという考えを去年、私どもで示させていただいて、そこには、完全ではなくて、今から考えると、先ほど言ったサーキットブレーカーというか、まん防をいつ適用するかということも含めて、それだけではなくて、本当にいろいろな指標が、実際、今回初めてあれを使って経験したわけで、もう少しより適切な数値に変える必要があるのか、あるいは追加的な指標を加える必要があるのか、あるいはこの場合は国と自治体が連携して判断をしていただきたいということがあったのですけれども、なかなか迅速な判断が必ずしもできなかった、それをどうしたらそういうことがないようにするのか、そういうようないろいろな、まん防をどう発動するかということはその一部であって、全体をもう少し、今回の経験を深めて再検討して、改めるべきことがあったら、追加あるいは修正をするべきだと思って、そういう意味でございます。

(内閣広報官)
それでは、最後は、フリーランスの方からお願いしたいと思います。では、安積さん。

(記者)
フリーランスの安積です。総理にお伺いいたします。

先日、警察庁が確定値を出しました自殺者の数字についてお伺いいたします。昨年、2020年の自殺者数は、2009年以来の増加になりまして、912人増加ということになっています。このうち問題なのは、女性の自殺者が935人増えておりまして、男性の自殺者が減っている一方で、女性が大幅に増えているという状況があります。

中身を見ますと、とりわけ10代、20代の若年層の自殺者が前年比522人増加しまして、この半分以上、若者の自殺ということになっています。その中でも最も深刻なのは、小中高生の自殺者が500人ぐらいになっておりまして、このうちの女子高生の自殺者が138人なのですが、前年比で約2倍という数字になっています。

総理は、今年の1月18日に行われました施政方針演説で国民の皆さんの安心と希望を追い求めてきたというふうにおっしゃいましたけれども、このような状況をどういうふうに受け止めていらっしゃるのか、また、女性とか若い人のこうした現状についてどういうふうな対策を講じられるのでしょうか。

(菅総理)
コロナ禍の中で、やはり居場所がない、さらには仕事をすることができなくなったと、いろいろな問題があると思っています。そういう中で、非正規の方、こうした方を支えることのできる支援だとか、あるいは行政の手の届かないところで自殺相談所とか、NPOの方がやっていらっしゃる、全国にそうしたボランティアの方がいらっしゃいます。

そうした人たちに政府として支援させていただいて、孤独や孤立、さらに自殺の相談、特に若い人はSNSで相談をされているとか、そうしたことについて、政府等は支援をさせていただきながら、この自殺予防というのは行っていきたいというふうに思っています。いずれにしろ、できることは全て政策として使いながら、自殺対策というのは大きな問題だという位置付けの下で、今、取り組んでいるところです。

(内閣広報官)
それでは、以上をもちまして、本日の会見を終了させていただきます。挙手されておられる方につきましては、恐縮でございますが、各1問、メールでお送りいただきますと、後ほど総理の回答を書面でお返しさせていただくとともに、ホームページでも公開をさせていただきます。御理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

それでは、以上をもちまして、本日の総理会見を終了させていただきます。御協力に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

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