日本の社会はもともと…江戸期は「父親が子どもを育てた時代」

江戸の親子 父親が子どもを育てた時代 文化・歴史

日本の社会はもともと…(毎日新聞 2023/4/2)

日本の社会はもともと、男性が育児と疎遠ではなかった。江戸後期の土佐藩士による日記を研究した「江戸の親子」(太田素子・和光大学名誉教授)は、江戸期を「父親が子どもを育てた時代」と評している。

父親がわが子に手習いを熱心に教えたり、子煩悩にかわいがったりしている日常が日記からは浮かんだ。時代背景はもちろん現代と異なるが、太田さんは「職住接近のため、父親が家にいる時間は今より長かった」と指摘する。

その子育てを巡り、男性による育児休業取得の推進が政府の少子化対策案の柱のひとつとなった。育休に伴い一定期間支払われる給付を男女とも、手取りが実質的に減らないように引き上げるという。

男性の育休取得率は日本で14%と低く、子育て支援の大きな課題だ。岸田文雄首相は男性育休取得率の目標も従来の「2025年に3割」から「5割」に引き上げた。男性の育休を多くの会社が疎んじていた企業風土も変わりつつあるようだ。

首相が「異次元」と銘打ったはずの少子化対策である。児童手当の所得制限撤廃は打ち出したが、竜頭蛇尾の感は否めない。「子ども予算倍増」の迷走だけでなく、子育て本位に社会や家庭のあり方を変えていく決意が伝わらぬためではないか。

育休にしても、産後に限らず父親が子育てに関わり続ける環境こそ大切だ。「高度成長期に家庭から姿を消した父親が家に戻り『親の背中』を子どもに見せる時でしょう」と太田さん。江戸期のパパに学ぶ時かもしれない。