休養たっぷり岸田首相が抱える自民党内“2つの爆弾”…自画自賛モードも今のうち(日刊ゲンダイ 公開日:2023/01/04 13:50 更新日:2023/01/04 13:50)
先月29日午後から3日まで冬休みをたっぷり取った岸田首相。難解本のドストエフスキーの長編「カラマーゾフの兄弟」全5巻など15冊もの書籍を買い込み、英気を養った。
「統一教会(現・世界平和統一家庭連合)被害者の救済法、防衛費倍増、原発活用へ向けた政策転換といった重要課題を仕上げ、昨年の自身の仕事に大満足」(自民党関係者)と、岸田首相はすっかり自画自賛モードらしいが、辞任ドミノ内閣の不安定さや支持率低迷は年が明けても変わらない。
そのうえ、自民党内に2つの“爆弾”を抱えながらの政権運営が続く。
ひとつは自民党内最大派閥の安倍派だ。大モメだった防衛費倍増の財源は一部増税でひとまず落ち着いたが、その時期は未決。萩生田政調会長が先月25日に「増税前の衆院解散」を求め、松野官房長官が「解散権は首相の専権事項だ」と牽制するなどひと悶着あった。
萩生田氏も松野氏も安倍派幹部。安倍元首相の死後、宙に浮いている派閥の後継会長争いも絡み、2人とも本気で岸田首相を支えているようには見えない。安倍派は再び増税反対の声を上げかねず、女房役の官房長官も政権の不安材料を取り除こうともしていない。
もうひとつの爆弾は菅前首相を筆頭にした非主流派だ。この年末、菅前首相は一般紙のインタビューからテレビの情報番組、スポーツ紙まで幅広く登場。「再登板に意欲か」と思わせるほど精力的に動いていた。先月23日には、二階元幹事長、森山選対委員長と会食。3氏の連携が継続していることを周囲に見せつけた。
二階氏は「ポスト岸田」として「菅カード」を懐に入れているとの見方もあり、岸田おろしのタイミングを計っているとも。菅氏自身は「河野(太郎)カード」も温存しているとされる。今月23日召集予定の通常国会で岸田内閣が再び右往左往したり、4月の統一地方選で自民党が大惨敗したりすればG7広島サミット前だろうが、一気に政局が流動化しかねない。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「防衛費の財源について安倍元首相は『国債』と主張していた。それは遺言みたいなものであり、安倍派は反増税で一歩も引けない。今年もかなり抵抗するでしょう。
私は菅氏が政局のキーマンだと見ています。一昨年の総裁選で菅氏を首相の座からおろしたのは岸田氏ですし、危機管理など政策面でも相いれない。岸田政権に対しては、非主流派というより反主流派だと思います。
現状、岸田政権を支えているのは岸田派、麻生派、茂木派の主流3派ですが、政権が揺らいできた時に茂木幹事長はどうするのか。一緒に泥舟に乗るわけにはいかないでしょう」
岸田首相が自画自賛していられるのも今のうちだ。