ポスドク起用「人への投資」、「研究開発」積極企業を優遇…政府・与党

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ポスドク起用、2割控除 「人への投資」大企業減税…政府・与党

ポスドク起用、2割控除 「人への投資」大企業減税―政府・与党(JIJI.COM 2022年12月11日09時53分)

政府・与党は10日、大企業が博士号を取得した研究者「ポスドク」を起用して研究開発を行った場合、その人件費の20%を法人税額から差し引く方向で最終調整に入った。長年低迷する「人への投資」に積極的な企業を税制で支援し、科学技術分野の国際競争力強化を目指す。15日にも決定する2023年度の与党税制改正大綱に盛り込む。

法人税の優遇措置「研究開発税制」見直しの一環。法人税額から差し引ける費用の割合「控除率」に、博士の人件費の分を上乗せできるよう制度を拡充する。

大企業に対する研究開発税制全体の減税規模は年間5000億~6000億円程度。23年度改正では、研究開発に積極的な企業ほど減税規模が積み上がる仕組みを整える。控除率の上限は「法人税額の50%」を維持する。

博士号を持つものの、低収入で身分も不安定なポスドクの雇用機会が増えれば、大学などで研究を続ける以外にキャリア選択の幅が広がる。企業側も技術革新に向けた研究開発の質の向上につながる。現在、企業に所属する博士号取得者数は国内で約2万5000人。米国は約21万5500人に上り、大きな開きがある。

研究開発、積極企業を優遇 控除率「1%」に下げ…政府・与党

研究開発、積極企業を優遇 控除率「1%」に下げ―政府・与党(JIJI.COM 2022年12月02日17時34分)

政府・与党は2日、研究開発に取り組む大企業の法人税負担を軽減する「研究開発税制」を見直す調整に入った。研究開発費に応じた税額控除率の下限を、現行の2%から1%に引き下げる案を軸に検討し、人材投資に対する上乗せ措置も創設。研究開発に積極的な企業ほど減税で優遇される仕組みをより強化する。

政府は国際競争力の確保に向け、科学技術分野を中心とした研究開発投資の拡大を目指しており、税制面で後押ししたい考えだ。経済界とも調整した上、2023年度税制改正に反映させる。

研究開発税制は、研究投資額の増減に応じて一定額を法人税から控除する減税措置。現行の控除率は、過去3年間の平均投資額に変動がなければ8.5%で、2~14%の範囲で変動する。今回、下限を1%に引き下げることで、研究開発に対する企業の積極性を一段と厳しく評価する狙いがある。

一方、博士号を取得した人材を起用して研究開発を進める企業の税負担を大幅に軽減する上乗せ措置の創設も検討。長年低迷する「人への投資」に挑戦する企業を手厚く支援する体制も整える方向だ。

官民を合わせた主要国の研究投資額の伸び率は、00年から19年にかけて米国が1.7倍に拡大。ドイツや英国などがそれに続くが、日本はほぼ横ばいにとどまる。大企業向けの研究開発税制は、年間適用額が5000億~6000億円で、23年度税制改正の焦点の一つとなっている。