「キシダは最悪だ。社会主義者か?」…円安で日本をしゃぶり尽くすハゲタカが狙う「1ドル=220円」の恐怖

キシダは最悪だ。社会主義者か? 政治・経済

「キシダは最悪だ。社会主義者か?」…円安で日本をしゃぶり尽くすハゲタカが狙う「1ドル=220円」の恐怖(週刊現代 2022.10.26)

国民が物価高にあえぐ中、岸田総理は有効な策を打ち出せず、ついに為替は1ドル=150円を突破した。そんな日本の惨状をよそに高笑いしているのが、欧米のヘッジファンドだ。

約20兆円もの資産を運用する「ブリッジウォーター・アソシエーツ」、欧州最大のヘッジファンド「ブレバン・ハワード」は、リーマンショック後最高の成績を収めている。米国の「ミレニアム・マネジメント」や「シタデル」創業者らは過去最高となる5000億円近い報酬を手にしたといわれる。

前編記事【「財務省の岸田」また完敗…「円安で爆儲け」している海外ヘッジファンドの高笑いが止まらない】に続いて、彼らの投資戦略と「日本に対する忌憚なき評価」をお伝えすしよう。

「円安スパイラル」に入っている

彼らはどのような方法で、日本をしゃぶり尽くそうとしているのか。S&Sインベストメンツ代表の岡村聡氏に解説してもらおう。

「円安に歯止めがかからなくなっているのは、『企業のドル買い』に合わせてヘッジファンドがピンポイントで円売りを仕掛けているためです。

ドルを持っている日本企業は、為替の変動をヘッジ(損失回避)するために、一定の為替レートでドル円を取引できる『ノックアウト・オプション』という仕組みを利用しているのですが、これは円が一気に10円下がるといった急変動があった場合は失効して、新たにドルを買い直さなければならなくなる(=円を売ることになる)のです。

145円、150円、155円などキリのいい数字がその節目になっていますから、そこへ差し掛かるとヘッジファンドがブレイクを狙って一斉に円売りを仕掛ける。すると円安が進み、企業はドルを買い、さらに円安になる……この繰り返しに陥っているわけです」

「キシダは最悪だ。社会主義者か?」

為替や株が乱高下する節目に現れ、弱った銘柄に群がり、売り浴びせて暴落を演出。そして巨額の利益を得る――こうしたヘッジファンドの投資手法は、屍肉をあさるハゲタカに喩えられる。日本は傷ついたネズミのごとく、無惨に踏み潰されようとしているのだ。

彼らは日本人の苦境などどこ吹く風である。今回、香港を拠点とする某米国系ヘッジファンドの幹部が取材に応じた。彼は「日本そのものがオシマイと思われているんだよ」と冷たく言い放つ。

「世界の投資家は、もはや日本を投資先とみなしていない。特にキシダ、彼は最悪だ。アベやスガは、まだ株を買ってもらおうという気があったようだが、キシダは金融所得増税をすると言い出したり、投資家心理に冷や水を浴びせてばかり。

彼のスローガン『分配重視』なんて、まるで社会主義者じゃないか。この日本離れはキシダが消えない限り止まらないよ。

経済政策は皆無、企業の力は衰える一方。だからこの程度の円安や物価高で大騒ぎしているんだろう? 救いようがないね。

知っているか? ニューヨークやロンドンの投資会社では、日本株や円の需要がなくて、もう何年も前から日本の担当者がいないんだ。ドル建てで日本株を買っていた一部の投資家も、この円安で大損して損切りを始めた。日本にカネが集まることは当分ないね

「1ドル=220円」まで歯止めなし

今、市場では「次の防衛ラインは1ドル=160円30銭」と言われている。冒頭でも述べた、’90年春につけた最安値がこの価格なのだ。

「懸念すべきは、円安なのに輸出が増えていないことです。以前なら円安になると貿易収支が黒字になり、円高への揺り戻しが起きていました。しかし今年は貿易赤字が過去最大で、数量ベースでも輸出が増えていない。金融緩和に頼りすぎて日本企業の基礎体力が落ち、安くても売れない国になっているのです。

相場では過去の最安値や最高値が『抵抗線』として機能する性質がありますが、このまま1ドル=160円30銭を抜けると、次は’85年のプラザ合意の時につけた1ドル=220円まで何の手がかりもない。円高に転じるきっかけも見当たらず、あれよあれよという間に暴落してもおかしくありません」(前出・岡村氏)

岸田政権の無為無策が続く限り、日本を弄ぶハゲタカたちの饗宴は終わりそうにない。

「週刊現代」2022年10月29日号より