2021年10月19日

衆院選公示 異例の短期決戦 自公連立、分配、コロナ対策など争点
第49回衆院選が19日、公示された。第2次安倍政権以降、8年10か月にわたる自民、公明両党の連立政権の評価や、日本社会の格差拡大を是正する「分配」政策、転機を迎えた新型コロナウイルス対策と経済回復などが争点となる。4日に発足したばかりの岸田政権に対し、立憲民主などの野党は共闘態勢で政権交代を訴え、31日の投開票まで12日間の本格論戦がスタートした。

衆院選は選挙区289、比例代表176の計465議席を争う。投開票日は岸田首相就任から27日後、14日の衆院解散から17日後となり、いずれも戦後最短。衆院議員任期(10月21日)を越えての選挙戦も戦後初だ。

衆院選 過去最少1051人立候補 小選挙区857人、比例194人
衆院選の立候補届け出は19日午後5時に締め切られた。立候補者数は小選挙区857人、比例代表194人(重複立候補者を除く)の計1051人で確定した。2005年の1131人を下回り、現行制度下では過去最少となった。

自民党は小選挙区と比例代表単独を合わせて336人を擁立した。立憲民主党は衆院定数(465議席)の過半数となる240人を立てた。公明党53人▽共産党130人▽日本維新の会96人▽国民民主党27人▽れいわ新選組21人▽社民党15人▽「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」30人――などだった。男性が865人、女性は186人が立候補した。

首相、官房長官が官邸不在 北朝鮮ミサイル発射時
北朝鮮が弾道ミサイルを発射した19日午前、岸田文雄首相と松野博一官房長官はいずれも衆院選の選挙活動のため首相官邸を留守にしていた。首相は発射を把握した後も遊説を続けた。官邸に戻った際、記者団に「十分な態勢を取っていた」と述べ、政府の危機管理に問題はなかったと強調。しかし、野党は早速、首相らの対応を批判し、自民党内からも衆院選への影響を懸念する声が上がった。

アベノミクスでも低成長 30年間の平均賃金、米は5割増、日本は…
日本経済をどう立て直すのかは、19日公示の衆院選の大きな争点だ。様々な指標を外国と比べると、長らく低成長にあえぐ日本の姿が見えてくる。安倍政権が始めた経済政策アベノミクスも流れはほとんど変えられず、1990年代初めのバブル崩壊以来の「失われた30年」とも呼ばれる低迷が続いている。

国際通貨基金(IMF)の統計で、国の経済規模を示す名目国内総生産(GDP)をみると、日本は米国、中国に次ぐ世界3位と大きい。しかし、1990年の値と比べると、この30年間で米国は3.5倍、中国は37倍になったのに、日本は1.5倍にとどまる。世界4位のドイツも2.3倍で、日本の遅れが際立つ。国民1人当たりのGDPも、日本はコロナ禍前の19年で主要7カ国(G7)中6番目という低水準だ。

賃金も上がっていない。経済協力開発機構(OECD)によると、2020年の日本の平均賃金は、加盟35か国中22位で3万8514ドル(1ドル=110円で424万円)。この30年で日本は4.4%増とほぼ横ばいだが、米国47.7%増、英国44.2%増、ドイツ33.7%増、フランス31.0%増などと差は大きい。賃金の額も、隣国の韓国に15年に抜かれた。

河井克行被告、控訴取り下げの意向 大規模買収事件、有罪確定へ
2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われ実刑判決を受けた元法相で元衆院議員の河井克行被告(58)が、控訴を取り下げる意向を示していることが関係者への取材で判明した。懲役3年、追徴金130万円とした東京地裁判決(6月18日)が確定する見通し。