2021年10月11日

岸田首相、金融所得課税先送り 立憲「23年度までに25%」
岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問が11日、衆院本会議で始まった。首相は、株式譲渡益などにかかる金融所得課税の強化について「賃上げ税制強化や下請け対策など、まずやるべきことがある」と述べ、早期の見直しに慎重な考えを示した。4日の記者会見で金融所得課税の強化を「選択肢の一つ」と述べたが、衆院選前の株価下落などを受けて軌道修正したとみられる。

代表質問は、首相にとって初めての国会論戦。立憲民主党の枝野幸男代表は「分配なくして成長なし」と述べ、消費の拡大を通じた経済成長を主張した。富裕層に有利とされる金融所得課税に関して枝野氏は「(現行の税率)原則20%から、遅くとも2023年度までに原則25%まで引き上げる」と目標を掲げ、首相の見解をただした。これに対し、首相は「成長なくして分配できるとは思わない」と反論。「分配政策の優先順位が大事だ」などとして、賃上げした企業への法人税優遇などから取り組む方針を示した。

赤木さん妻「本当に残念」 岸田首相、再調査に前向き答弁なく
「森友学園」を巡る財務省の公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(50)が11日、衆院本会議場であった岸田文雄首相に対する代表質問を傍聴した。雅子さんは改ざんの経緯の再調査に関して首相から前向きな発言がなかったことに「本当に残念」と肩を落とした。

議場では雅子さんが首相に宛てて書いた手紙を立憲民主党の辻元清美議員が読み上げ、改ざんの経緯に関する再調査を求めた。これに対して首相は雅子さん側と裁判が続いていることなどを理由に明言を避けた。傍聴後、取材に応じた雅子さんは「首相は受け止めるとおっしゃっていたので期待していた。再調査に前向きな返答をいただけなかったのは本当に残念です」と語った。

先週発足の岸田内閣 「支持」49% 「不支持」24% NHK世論調査
NHKは今月8日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行った。

それによると、先週発足した岸田内閣を「支持する」と答えた人は49%、「支持しない」と答えた人は24%だった。内閣の支持率は、菅内閣の最後の調査からは19ポイント上がったが、内閣発足時としては、去年9月の菅内閣の62%と比べて13ポイント低い。

全国で新たに369人感染 1年ぶり400人下回る 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染者は11日、全国で新たに369人確認された。今年最少で、1日あたりの感染者が400人を下回るのは2020年10月19日以来約1年ぶり。死者は20人だった。東京都の新規感染者も今年に入り最も少ない49人で、1日あたりの感染者が50人を下回るのは20年6月25日以来。

コロナ感染、半年後26%が後遺症 女性に目立つだるさや味嗅覚異常
国立国際医療研究センターは、新型コロナウイルスに感染した人の4人に1人に半年後も後遺症といわれる、なんらかの症状がみられたとのアンケート結果を発表した。女性の方がだるさ、味やにおいの感覚の異常、脱毛が起こりやすい傾向があった。

アンケートは今年4~5月に新型コロナの感染歴のある人を対象に実施。回答があった457人を分析した。だるさや味覚、嗅覚の異常、呼吸時の苦しさといった後遺症は、コロナに感染し、発熱などの症状発症直後から続くケースが多かった。回復後には脱毛や集中力の低下、記憶の障害、うつ症状などを訴える人が目立った。

「核の闇市場」の博士、死去 国内では英雄視、国葬に大勢の市民ら
パキスタンの核科学者アブドル・カディール・カーン博士が10日、首都イスラマバードの病院で死去した。85歳だった。国営メディアが報じた。核開発を主導したカーン博士は、北朝鮮やイランに核技術を広げたとされる。核拡散の脅威をもたらしたとして国際的な批判を浴びたが、国内では英雄視された。