電力需給調整のカギを握る「蓄電池」の“いま”(テレ朝news 2022/05/20 16:00)
5月に発売された最新の家庭用蓄電池。付属の太陽光パネルに接続すると発電した電気を充電できます。
容量は2.2キロワットアワー。テレビや冷蔵庫、クッキングヒーターなどの家電に同時に接続することが可能で「一般家庭、一日分の必要最低限の電力を賄える」ということです。
こうした蓄電池は、天候や時間帯で発電量が左右される再生可能エネルギーの安定供給に不可欠な技術で、電力需給の調整役として期待されています。
国会でも大型蓄電池を「発電所」と位置付けて、国が電力の供給を指示できるようにする「改正エネルギー使用合理化法」が成立しました。
政府が思い描くのは、晴れの日などに余剰した再生可能エネルギーを蓄電池で貯め、電気が不足したときに各地の蓄電池から補えるようにするという蓄電池が“バックアップする社会”です。
Jパワーエネルギー企画部長※大型蓄電池の実証実験中・曽山不二夫さん:
「再生可能エネルギーは、特に太陽光は昼間に充電するが、夜間は発電しないという発電の『時期』にばらつきがある。それを蓄電池で吸収して一定に供給をすることで、安定供給にも寄与できる。蓄電池が需給の逼迫に一定の役割を果たすことは大いに考えられる」
蓄電池の国内市場は年々、拡大していますが、2016年に世界のおよそ30%を占めていた日本のシェアは今や中国や韓国に大きく差をつけられ、わずか4.5%、世界でも後れを取り始めています。
世界1位37.7%のシェアを誇る韓国では、蓄電池を研究開発する企業に対して50%の税額を控除するなど、政府が大規模な支援を行っています。
また、世界の16.8%を占める中国では蓄電池を製造する企業の所得税率を10%下げるなど、政府が主導して蓄電池の導入を進めています。
蓄電池の普及には「生産力の強化」が必要不可欠ですが、製造には多額のコストがかかります。
ある電力事業者の関係者は「大型蓄電池の値段は少なくとも数億円かかり、導入しても採算が取れない」と話します。
政府は蓄電池への投資を促すため、蓄電池事業への補助金制度などを検討していて、今年の夏までに対策を取りまとめる予定です。