斉藤鉄夫国交相の支援団体も「有権者買収」の疑い 10月31日衆議院総選挙

斉藤てつお_公職選挙法違反の疑い 政治・経済

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旅費名目の現金を支出したのは「広島県トラック協会」の関連団体。運送業を所管するのは国交省で、そのトップは斉藤大臣。

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斉藤鉄夫国交相の支援団体も「有権者買収」の疑い

〈証拠文書入手〉斉藤鉄夫国交相の支援団体も「有権者買収」の疑い(文春オンライン 2021/11/24 source : 週刊文春 2021年12月2日号)

10月31日投開票の衆院選を巡り、広島3区から当選した公明党の斉藤鉄夫国交相(69)を支援した団体が旅費名目で現金を配布し、公職選挙法違反(有権者買収)の疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。支援団体の責任者が取材に対し、旅費の支払いを認めた。

この支援団体は、茨城6区から当選した自民党の国光文乃衆院議員(42)の選挙活動に際し、岸田文雄首相の応援演説に参加した有権者に日当5000円を支払っていた団体と同じく、トラック協会関連の組織。国光氏は11月18日、公職選挙法違反(有権者買収)に当たるとして、市民団体から刑事告発されている。

斉藤氏は1993年の衆院選で初当選。その後、環境相や党幹事長など要職を歴任してきた。2017年の選挙までは比例中国ブロックでの選出だったが、今回の衆院選では広島3区に鞍替えし、10回目の当選を果たした。

「広島3区は、河井克行元法相の地盤でした。ところが、河井氏は妻・案里氏が出馬した参院広島選挙区で、ウグイス嬢に法定上限の2倍となる日当3万円を支払ったほか、地元県議や市議ら100人に現金約2800万円を配るなどして、公職選挙法違反(有権者買収)で有罪判決が下されました。自民党は候補者を擁立せず、斉藤氏を支援することになったのです。ただ、汚職事件の舞台となっただけあって、与党候補の斉藤氏は苦しい選挙戦を強いられてきました」(政治部デスク)

投開票を9日後に控えた10月22日夕刻。斉藤氏は「ホテルグランヴィア広島」の宴会場で、個人演説会を開催した。会場には、茂木敏充外相(当時)らが姿を見せ、「自公協力の最も象徴的な選挙区であります」などと訴えていたという。

「週刊文春」はこの個人演説会の案内状を入手した。名義は〈斉藤てつお事務所〉。本文には、以下のような文章が日時とともに記されていた。

〈このほど下記の通り、「個人演説会」を開催する運びとなりました。時節柄、ご多用中とは存じますが、万障お繰り合わせの上、何卒ご出席を賜りますようご案内申し上げます〉

手書きで案内状に「旅費をお渡しします」

そして、案内状の末尾には、手書きで以下のように綴られていた。

〈各位 当日受付近くで広島北支部のA(注・原文では実名)が旅費をお渡ししますので受付前に対面できる様ご配慮願います。〉

この〈旅費〉について、内情を知る広島県トラック協会関係者が言う。

「国光氏の選挙では、茨城県トラック協会が設立した『運輸政策研究会』が参加者に〈日当〉を支払っていたようですが、斉藤氏の選挙でも、広島県トラック協会が設立した任意団体『広ト協政策研究会』が〈旅費〉を支払うことを約束していました」

公職選挙法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が解説する。

「民主主義の健全な発達を目的にした公選法では、選挙運動で金銭を支払うことができるのは、事前に登録したウグイス嬢など一部の選挙運動員に限ると厳格に定められています。つまり、例外を除き、有権者・運動員ともに原則金銭を配ってはいけない。当選させる目的で金銭を支払っていれば、有権者買収に当たります」

実際はどうだったのか。

運送会社関係者が次のように証言する。

「実際、グランヴィアの演説会に参加した人は、宴会場の前に到着すると、飲食店の“順番待ち”の際に書くような紙に記帳をした上で、4千数百円の旅費を受け取ったそうです」

広島県トラック協会は広島市内の協会本部で、専務理事、常務理事、事務局長の3 名が取材に応じた。

――グランヴィアでの演説会で旅費を支払っていた。

「広ト協政策研究会の規約に基づいて旅費を支払ったもので、選挙活動として特別に支払ったものではございません。法に基づき対応していると考えておりますので、これ以上の説明の必要はないのかな、と」

――演説会の参加者には有権者を含みますよね?

「はい」

――そこに旅費を支払った。

「ええ、だから……これ以上説明の必要はないと考えています」

斉藤事務所の回答「手書きのメモについては承知しておりません」

一方の斉藤事務所に書面で事実関係の確認を求めたところ、次のように回答した。

「広島県トラック協会に個人演説会のご案内を致しました。手書きのメモについては承知しておりません。旅費についても承知しておりません。当方より参加者に対し旅費等の支払いは一切行っておりません」

前出の上脇氏が指摘する。

「今回は、斉藤氏の事務所が出した文書に対して手書きのメモが付けられています。茨城6区の場合、案内文の出し手は運輸政策研究会でしたが、広島3区の場合、受け取った側からすれば強く斉藤事務所の関与が感じられる内容です。公選法上の直接の買収者は広ト協政策研究会ですが、今後、捜査が行われれば、斉藤事務所の関与の有無も対象となるでしょう」

茨城6区に続き、広島3区でも明るみに出た有権者買収疑惑。自民党と近しい関係にある各県のトラック協会が関与したその手法は酷似している。激戦区が急増した今回の衆院選で、全国的に同様の買収行為が行われていなかったか。クリーンな政治を掲げる岸田首相と公明党には、説明が求められる。

11月24日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および11月25日(木)発売の「週刊文春」では、斉藤氏の個人後援会の様子や、岸田氏が斉藤氏を国交相に起用した経緯、自民党広島県連と県トラック協会の親密ぶり、旅費配布について知る会員企業の証言、県トラック協会専務理事らとの詳しい一問一答、斉藤氏への直撃取材などについて詳報している。