自民・小泉進次郎氏「買ったもの渡すのは当然」 米高官に防衛装備品納入遅れで改善を要請

インタビューに応じる自民党の小泉進次郎氏=16日午後 政治・経済

自民・小泉進次郎氏「買ったもの渡すのは当然」 米高官に防衛装備品納入遅れで改善を要請(産経新聞 2025/5/20 18:46)

自民党の小泉進次郎前選対委員長は産経新聞の単独インタビューに応じ、トランプ米政権で国防戦略の中核を担うコルビー国防次官に対し、米国製防衛装備品の自衛隊への納入遅れが常態化している問題の改善を求めたと明らかにした。日本は米国の「対外有償軍事援助(FMS)」で長距離巡航ミサイル「トマホーク」などを購入しており、小泉氏は「買ったものを渡すのは当然だ」と述べた。

GDP比2%超の防衛費求める声「複数聞いた」

小泉氏は自民の小野寺五典政調会長らと大型連休に訪米し、米政府高官や議会関係者と相次ぎ面会した。小泉氏は米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)での勤務経験があり、独自の米国人脈がある。コルビー氏が国防次官就任後、日本の国会議員と面会するのは初とみられる。

対中強硬派のコルビー氏は日本の防衛費に関し、国内総生産(GDP)比3%に引き上げるべきだと主張している。小泉氏は「コルビー氏に限らず、日本政府の目標のGDP比2%にとどまらない努力を求める声は訪米中、複数聞いた」と説明。米側に「まずはFMSで買ったものを日本に届けることが先ではないかと伝え、重く受け止められた」と語った。

小泉氏は日米の安全保障協力を巡り、米国向けの造船や艦船の維持・整備で「同盟国の日本として価値を提供できる可能性がある。米側は日本の能力を評価している」と指摘した。今月16日に成立したサイバー攻撃に先手を打って被害を防ぐ「能動的サイバー防御」導入に向けた関連法によって「今まで以上に日米間のサイバー関係の人材や知見の交流が加速していく」とも話した。

インタビューの主なやり取り

――米国防総省ナンバー3のコルビー国防次官と面会した

「米国は欧州や中東など世界中のあらゆる戦争にリソース(資源)を割いている余裕はなく、『集中しなければいけないのは対中国だ』という確固たる意志を感じた。米国が真正面から中国と向き合う姿勢を持っているのは歓迎すべきだ」

――訪米の成果は

「面会後、コルビー氏が『(小泉氏らと)素晴らしい議論をした。日米同盟が今ほど重要になったことはない』と交流サイト(SNS)で発信した。第2次トランプ政権でも日本が欠かせない同盟国だと世界に示せたのは議員外交として意義があったのではないか」

――米政府内には日本の防衛費増額を求める声がある

「日本の周辺環境が厳しくなる中、いつまでも国内総生産(GDP)比2%と固定化された枠で議論することは誤っている。まずは2%へと着実な歩みを進め、その後はおのずと議論されていくだろう」

――米政府が期待する日本の取り組みは何か

「造船や装備品の共同生産など米国の製造業を補完する役割を期待されている。また、多国間で交渉する『マルチ』の枠組みを好まないトランプ大統領だが、日米豪印の協力枠組み『クアッド』は重視している。日本はクアッドなどの連携強化の先導役を担い、地域の安定に貢献しなければいけない」

――米国の高関税政策で各国の「米国離れ」が懸念される

「関税で米国の同盟国やパートナーにダメージが生じれば喜ぶのは中国だと、面会した米議員らに伝えた。米国の影響力が減った地域に、日本がどう関与するかを考えていく必要がある」

――日米関税交渉について

「日本が絶対に国益として守らなければいけないところを譲ってまで、合意を取りに行く必要はない。交渉を早く妥結することが目的ではなく、中身を日米ともにウィンウィンにすることだ。赤沢亮正経済再生担当相ら日本の交渉チームを信頼して、議員外交の側面から支援していきたい」(聞き手 竹之内秀介)