自民・堀井巌参院議員 19年参院選前、奈良県議22人の団体に各30万円 選挙買収疑惑

当選を決め、花束を手にする自民党の堀井巌氏 政治・経済

奈良県議22人の団体に各30万円 自民・堀井氏、19年参院選前(毎日新聞 2022/5/27 04:59 最終更新 5/27 11:15)

2019年の参院選公示約1カ月半前に自民党の堀井巌参院議員(56)=奈良選挙区=が代表を務める政党支部が選挙区内の全自民県議22人(当時)の関連政治団体に一律30万円の寄付をしていたことが判明した。再選を目指していた堀井氏は初当選した13年以降、この時以外にこの種の寄付はしていない。

同党を巡っては、国政選挙の候補者側が選挙前に京都府支部連合会(府連)を通じて地方議員側に寄付を分配したことが、公職選挙法に抵触するのではないかと国会で問題になった。今回は堀井氏が代表を務める政党支部が、地方議員の関連政治団体に直接、寄付していたという形だ。

19年参院選は7月4日に公示され、同21日に投開票された。堀井氏が代表の「自由民主党奈良県参議院選挙区第1支部」(奈良市)の政治資金収支報告書によると、同支部は5月21日、自民党の全県議の後援会など22の政治団体に一律30万円(総額660万円)を寄付した。政治活動費の支出として記載され、受領した県議などが署名した領収証22枚も添付されていた。報告書は堀井氏が初当選した13年から20年分まで公開されているが、地元県議の関連政治団体への寄付は19年の参院選前だけだった。

また、この日は自民党奈良県支部連合会(県連)も、同じ22政治団体のうち21団体に30万円ずつを寄付していた。県連は前々回の16年参院選前にも、当時県議だった22人の関連政治団体に50万円ずつ寄付していた。

国政選挙直前の資金の流れ

公職選挙法は特定の候補者を当選・落選させる目的で有権者や運動員に金銭などを渡すことを禁じ、受け取った側も罰せられる。

堀井氏は毎日新聞の取材に「党勢拡大のための寄付で、選挙買収する意図も理由もない。たまたま(寄付が)選挙の時になったのかもしれないが、法にのっとって適正に処理している」と話している。

県連幹事長の荻田義雄県議も県連からの寄付は「党勢拡大のためで、選挙買収という意味ではない」と語った。大半の県議は「自身の後援会活動をしっかりやれという意味だと思った」としている。

国会では2月、京都府連を巡る「政治とカネ」の問題が審議された。16年の参院選前、二之湯智国家公安委員長(参院京都選挙区)が代表の政党支部が、府連を通じて地方議員側に計960万円を寄付していた。府連内部では、候補者側からの地方議員側への直接寄付は選挙買収に当たるとの認識が共有されており、府連を通じた寄付が「マネーロンダリング(資金洗浄)」だと批判された。

上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)の話
堀井氏側は2013年以降、19年以外は県議側に同様の寄付を一切していない。参院選の公示が迫った時期で、しかも同じ日に一斉に県議側に寄付をしている。状況的には堀井氏側からの寄付は、選挙買収のためとしか見られないのではないか。違法性があるのではと、有権者に疑われる行為をしたのなら、政治家としては問題だ。