立民と共産の協力に温度差、出口調査分析…無党派層は維新支持増える(読売新聞 2021/11/01 09:05)
読売新聞社と日本テレビ系列各局は10月31日、出口調査を共同実施した。共産党支持層の大半が立憲民主党の候補を支援する一方、立民支持層から共産候補への支援は限定的で、共闘に対する温度差が鮮明となった。
今回の衆院選は、与党候補に対し、立民、共産、国民民主、れいわ新選組、社民の野党5党の統一候補が挑む選挙区が、7割超に上ったことが特徴だ。全289小選挙区のうち213選挙区で、野党5党が統一候補を立てた。このうち、160選挙区では立民候補に、39選挙区では共産候補にそれぞれ統一した。
立民候補に一本化した選挙区全体では、統一候補は立民支持層の90%、共産支持層の82%を固めた。一方、共産候補に一本化した選挙区全体では、統一候補は共産支持層の80%を固めたのに対し、立民支持層は46%にとどまり、自民候補(20%)、日本維新の会候補(11%)などに票が流れた。立民支持層の共産候補への投票は局所的だったことがうかがえ、両党の協力関係が一枚岩でないことが明らかになった。
立民候補に一本化して「自民対立民」の事実上の一騎打ちとなった千葉8区では、立民新人の本庄知史氏が自民前議員の桜田義孝・元五輪相を下した。本庄氏は立民支持層の9割超を固めたうえ、共産支持層のほとんどの支持を得て票を上積みしたことが、桜田氏を破る要因となった。
一方、共産候補に一本化した東京20区では、自民前議員の木原誠二官房副長官に共産前議員の宮本徹氏が挑んだが、及ばなかった。宮本氏は共産支持層の9割を固めたが、共闘する立民支持層からの支持は6割にとどまった。立民支持の3割弱が維新候補に流れており、立民からの支持を固めきれなかった形だ。
無党派層の動向では、維新への支持の高まりが顕著となった。無党派層の比例選投票先をみると、立民の24%が最多で、自民21%、維新19%、国民9%、共産7%、公明党6%と続いた。
前回選の調査では立民が30%、維新が9%だったが、今回は維新が大きく伸ばした。野党5党の候補者一本化の動きを嫌った無党派層の一部が維新に票を投じるケースが増え、躍進の原動力となったものとみられる。
維新が勝利した小選挙区でも同様の傾向が見られた。大阪14区では、維新新人の青柳仁士氏が自民前議員の長尾敬氏をおさえて初当選を果たした。青柳氏が無党派層の6割の支持を集めた一方、長尾氏は2割強、共産新人の小松久氏は2割弱にとどまった。