落選危機の30人を実名公開!「6月大増税解散」で自民党なのに落ちる議員のヤバすぎる実情

「6月大増税解散」で自民党なのに落ちる議員のヤバすぎる実情 政治・経済

落選危機の30人を実名公開!「6月大増税解散」で自民党なのに落ちる議員のヤバすぎる実情(現代ビジネス 2023.05.02)

かりそめの勝利に酔い、解散総選挙へと突き進む自民党。だが所詮、この政権は「消極的支持」でかろうじて保っているにすぎない。ここにきて台頭した「第三勢力」が、岸田の目算を一気に狂わせる。

前編記事『「6月大増税解散」に向けて全国で異常事態が発生中…!維新大躍進で自民党なのに落ちる議員「30人の名前」』につづき、自民党が迎える危機について詳述する。

政権を揺るがす激震の「震源地」

スキャンダルの絶えない「いわくつき」の議員がひしめく神奈川では、有権者の自民党離れが著しい。特に、統一教会問題で槍玉に上がった4区の元防衛副大臣・山本朋広や、18区の前経済再生担当大臣・山際大志郎だ。

「山本さんは、山際さんと一緒に統一教会の集会に参加したり、統一教会創設者・文鮮明氏の妻で教団の現最高指導者である韓鶴子氏に花束を渡して『マザームーン』と呼びかける映像をすっぱ抜かれた。そもそも彼は今まで選挙区で勝ったことがなく、過去5回の当選はすべて比例復活なので『いい加減にしろ』という声が党内でも上がっている。今回は比例復活も認めてもらえないでしょう」(自民党中堅議員)

東海に目を移せば、静岡8区で安倍派会長代理の塩谷立が危うい。前回は2万4000票差をつけられて立憲の源馬謙太郎に敗れたが、「派内でも急速に存在感を失っていて、次期会長レースから早くも脱落。引退も視野に入っている」(自民党安倍派中堅議員)。

そして今回、激震の「震源地」となるのが近畿だ。自民党の連立パートナーである公明党の牙城だが、維新はそれを崩壊させるべく手ぐすねを引いている。大阪の自民党ベテラン議員が語る。

「維新は大阪都構想で公明党の協力を得るため、長年公明党が守ってきた大阪3区、5区、6区、16区には候補を立ててこなかった。しかし今回の統一地方選で、維新は府議会で3分の2、大阪市議会でも過半数を獲得して、もはや公明党の顔色を窺う必要がなくなった」

公明が維新にひれ伏す

「常勝」と言われた大阪公明党も、支持者の高齢化や離脱で最近は票の減少が止まらない。しかも、これまでは前日本維新の会代表・松井一郎が前総理の菅を介して創価学会副会長・佐藤浩と意思疎通してきたが、松井が引退したいま、公明党は維新とのパイプを失っている。先の議員が続ける。

「維新が(前述の)4選挙区すべてに候補を立てれば、公明党は全敗する可能性が高い。16区の北側一雄を比例に回して維新に明け渡すかわりに、他の区は見逃してもらうという取引を持ちかけるしかないんじゃないか」

近畿では大阪以外でも、この地方選で維新が躍進した。勢いそのままに、前回1議席にとどまった兵庫でも攻勢をかける見通しだ。自民党閣僚経験者が言う。

「特に兵庫7区では前回、自民党の山田賢司と維新の三木圭恵が激しく競り合い、山田が逃げきったが、次は維新が圧勝するだろう。5区では国家公安委員長の谷公一が出るが、野党候補が維新に一本化される動きがある。谷は『岸田総理襲撃の直後にうな丼を食べた』と失言したことや、12月に公務中に緊急搬送されたことも懸念材料だ」

「もう遠慮しませんよ」

山口では区割り変更で選挙区が一つ減り、現職が一人弾き出される。安倍晋三の後継として当選した吉田真次が比例に回り、1区は元自民党副総裁・高村正彦の長男である正大、2区は岸信千世、3区は外相の林芳正で分け合う形になりそうだ。

「しかし今回の補選で、信千世は’15年に引退した元法務大臣の平岡秀夫相手に大苦戦を演じた。党内では『この際、信千世が落ちれば総選挙では3人で3つの選挙区を分け合えるから、調整が楽なのに』という声も出ていたほどで、まだ信千世はまったく信頼を得られていない」(前出・自民党安倍派議員)

岸田はこの総選挙を「子育て支援を訴えて戦う、と言っている」(前出・自民党岸田派議員)が、国民はそれが「増税ありき」の政策だと見抜いている。詳細は42ページからの記事でも記すが、「岸田政権が大勝すれば、また税金も社会保険料も上がる」と、国民は内心うんざりしているのだ。

対する維新は「消費税とガソリン税の減税」を中心政策に据える。前出と別の維新幹部が言う。

「維新は保守分裂の『漁夫の利』を得ているだけだ、という人もいますが、ほんまにそうですか? 和歌山の補選で勝ったウチの林(佑美)には無党派層だけでなく、自民支持者からもかなり票が入った。それだけ政権への不満が溜まりつつある、ということでしょう。

もう自民党にも公明党にも遠慮しません。国会では与党とも是々非々でやるが、選挙では妥協しない。今まで仕方なく自民党に入れてきた人を、全員取ったりますよ」

維新という「異物」が、ついに政界を本格的に引っ掻き回し始めた。「鈍感宰相」の岸田はまだ、それがもたらす激変を見くびっている。(文中敬称略)

「週刊現代」2023年5月6・13日号より