コロナで地方を再評価(1) 農産物の地産地消を考える

夏野菜盛合せ 政治・経済

少子高齢化と人口減少が進む日本において、地方は元気を失いつつあるが、反対に、地方に注目する動きも高まっている。

一つは、衰退する地方を元気にする地域おこしの動きだ。地域の農産物や再生可能エネルギーの地産地消の推進と、地域特有の観光資源の発掘・洗練と発信である。

もう一つは、新型コロナの影響とITの進歩により、都市部の会社に出勤せず自宅や地方で仕事をするテレワークが可能になったことだ。会社ごと地方に移転する動きも見られる。

社会構造からの見ても、都市集中や中央集権体制は効率的である反面、欠点として、人間も社会の効率化に組み込まれることや、一旦危機に遭遇した際には脆弱性が甚だしい。

農作物の地産地消 メリットとデメリット

近年、消費者の農産物に対する安全・安心志向が高まって来たことや、生産者が販売の多様化を進めて来たことを背景にして、消費者と生産者を直接結び付ける地産地消への期待が高まっている。

【メリット】

消費者にとっては、身近な場所から、新鮮で、より安価な農産物を得ることができ、また、生産者の顔や生産状況を確認できるため、安心感や親近感が得られる。生産者にとっては、流通コストが削減でき、少量品目や規格外品も販売できる。

地域全体で地元農業を応援することで、高齢者を含め地元農業者の営農意欲を高める。また、地場食材など地域でとれる農作物を学校給食などに使うことにより、地域の食文化への理解を高めることが出来る。

最近は、耕作放棄地や休耕地が年々増加し、そのため田畑は荒廃し、美観は損なわれ、洪水などの防災機能が低下している。地産地消は地域の荒廃を防ぎ、それどころか、景観と地域食材は有力な観光資源になる。

【デメリット】

地場で収穫できる農産物の種類が偏ることや、安定的に数量を確保することが難しい。また、地産地消であれば何でも売れるわけではなく、品質管理や販売促進など生産以外の能力が求めらる。

【まとめ】

農産物の地産地消は、生産できる品目に偏りがあるが、新鮮で安心のある農産物を得ることが出来、また、地域の食文化への理解を深め、地域を元気にし、ひいては食料自給率(令和元年度、カロリーベースで38%)を高めることに貢献する。地域の荒廃を防ぎ、自然災害からの被害を軽減する。観光資源として活用できる。

地産地消を促進するためには、地域に精通し地域に愛着心を持つリーダーの育成やアドバイザーの協力、ITやスマート農業の活用、情報管理やマーケッティング知識が必要である。

次は、「エネルギーの地産地消」について述べる。

【参考】コロナで地方を再評価(2) エネルギーの地産地消を考える

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