山中伸弥教授ら24人「新型コロナ問題を克服するためのワクチン対策の緊急提言」

新経済連盟_新型コロナ問題を克服するためのワクチン対策の緊急提言-2 社会

ワクチン接種体制 抜本的見直しを提言 山中伸弥教授ら24人

ワクチン接種体制 抜本的見直しを提言 山中伸弥教授ら24人(NHK 2021年4月28日 23時02分)より

高齢者向けのワクチンの接種をめぐって、菅総理大臣は7月末までを念頭に終えられるよう取り組む考えを示している。この目標の実現に向けて、経済団体の幹部や有識者が、接種体制を抜本的に見直すよう求める提言をまとめた。

この提言は、IT企業などでつくる「新経済連盟」の三木谷浩史代表理事や京都大学の山中伸弥教授など24人がまとめ、28日公表した。

それによると、高齢者向けのワクチン接種を7月末までに終えるには1日に80万回の接種が必要で、体制を見直すべきだとしている。

具体的には、歯科医師や薬剤師、救急救命士など医師以外の医療関係者にも協力を要請することを求めている。

また、接種の手続きを簡素化することや、病院以外に大型施設などでも接種を行うこと、それに駐車場でのドライブスルー形式の接種も行うべきだとしている。

このほか経済活動の再開を促すため、接種の記録を管理すべきだとしていて、今後、インターネットを通じて署名を集めたうえで、政府に働きかけることにしている。

新型コロナ問題を克服するためのワクチン対策の緊急提言 

「新型コロナ問題を克服するためのワクチン対策の緊急提言」へのご賛同者の募集(2021.04.28)より

【現状認識】

1. 諸外国では、ワクチン接種によって起きる副反応等の安全性の情報を迅速に共有し、副反応のリスクとワクチン接種のベネフィットを明らかにして、ベネフィットが上回る場合としてワクチン接種が急速に行われており陽性者数のコントロールもできつつあるところもある。一方、日本では、いまだに全国民のワクチン接種が完了する確実な見通しも不明確であり、経済再生との両立も展望が開けていないというのが現状である。

2. 2021年4月23日の内閣総理大臣の記者会見では、『接種のスケジュールについては、希望する高齢者に、7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいります。』とのご発言があった。これを実践するためには、単純計算すると『1日80万回接種』を行う必要がある(参考;米国では直近で1日400万回実施との報道)。

3. 高齢者対応だけでも上記のオペレーションをする必要があるということを厳粛に受け止め、政府と自治体は従来の常識にとらわれず、民間の知見も最大限に活用しながら、一丸となって、根本的な解決策となるワクチン対策について下記に掲げる具体的な行動を一刻も早く行うことが必要である。

【具体的な行動】

1. 接種オペレーション等の抜本的な見直し(保健所と市町村に依拠した、『新型インフルエンザ等対策特別措置法』等による現行体制の見直し)

(1)ガバナンスの見直し
サプライチェーンマネジメントに関する全体の制度設計をするにあたって、民間の知見を最大限活用することとする。そのために、内閣総理大臣の直下に民間有識者等から構成されるアドバイザリーボードを設置する。

(2)接種手続きの迅速化
接種申込方法について、接種券の事前送付のフローにこだわらず、電話・オンライン等による予約と接種会場での確認による簡便な方法にする。その他、ペーパーベースでの接種管理の実施を含めたスピード優先のオペレーションとする。

(3)接種機会の拡大
①医療関係者等との連携を強化し、診療所、一般クリニック等での接種の実施を促進する。
②大型の駐車場を使ったドライブスルー形式導入や大型施設での接種を行う。
③現行の季節性インフルエンザのワクチン接種オペレーションも活用する(例;企業単位接種等)。

(4)接種体制の強化・効率化
①医師以外の医療関係従事者(歯科医師、薬剤師、救急救命士、医学部生等)にも協力を要請する。
②上記(3)や上記(4)①の活動等に対する協力者への補償やインセンティブ等の支援措置を講ずる。(例;診療報酬1回あたり5千円の交付)
③接種会場での救急体制の効率化、医療従事者への免責規定の検討など環境整備を図る。

(5)接種者の範囲を拡大する措置
①一回接種も検討する。
②AI等を活用したクラスター分析、感染状況等を的確に把握し、それに基づいた効率的な接種順位などの方針を適時に決定する枠組みを整備する。

2. ワクチンの承認
欧米等諸外国の安全性・有効性の最新データを基に、モデルナ社、アストラゼネカ社、ジョンソン&ジョンソン社製等の新型コロナワクチンの特例承認を行う。

3. 感染拡大と経済活動の再開の両立を目指した出口戦略の構築
(1)ワクチン接種済みの国内在住者・滞在者の人に対しては、経済活動の再開を促す。その際、新型コロナワクチン接種の記録(紙ベースでよい)で管理する。
(2)欧米で認められたワクチンの接種者及び日本国内でのワクチン接種者に対しては海外との往来を認める。その際同伴する家族等へのビザ発行も認める。
(3)外国人及び日本人の入国時の空港等でのボーダーコントロールにおいて、迅速なPCR検査体制の構築を含め、オペレーションの改善によりキャパシティアップする。

4. 今後の基盤構築
ワクチン効果の経時的、もしくは変異株による減弱を迅速に察知し、ワクチンの追加接種等の必要な対策が迅速に実施されるよう、産官学が連携した体制を構築、維持するべきである。

  以 上