「茨城で中国人農家が増加している」「今以上に台頭するかも」 国籍を取得してから離婚…外国人の不法就労が横行している背景とは

中国人農家が今以上に台頭するかも 社会

「茨城で中国人農家が増加している」 国籍を取得してから離婚… 外国人の不法就労が横行している背景とは

「茨城で中国人農家が増加している」 国籍を取得してから離婚… 外国人の不法就労が横行している背景とは(デイリー新潮 2026年04月17日)

茨城県は今年度から、外国人の不法就労対策として通報報奨金制度を導入する。2月の発表以降、「差別を助長する」と反発する人もいるが、現地に足を運ぶと、意外な本音を地元住民は口にする。その裏には、背に腹を代えられない事情もあるようで……。

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「鼻先にカネをぶら下げて密告を奨励しようなんて、うまくいくわけがない。制度がスタートすれば、茨城の農業は衰退するかもしれません。けれど、政治家は農家の実情を何も分かっちゃいないことがよく分かりました」(茨城県鉾田市でメロン農園を営む70代男性)

大井川和彦知事(62)は今年度から、非正規滞在など不法就労の外国人を雇う事業所を通報した県民に報奨金を支払う新制度をスタートさせる。

4月2日の定例会見では、

「違法行為の是正は行政の基本責務。不法就労のまん延は外国人の適正な雇用秩序を破壊する。外国人排斥とは全く違う」

と導入の正当性を強調した。茨城県庁によれば、

「これから専用サイトを立ち上げて情報を募り、県側が事業者をヒアリングするなどして、まずは不法就労の有無を確認します。不法就労の恐れがあると判断した場合にのみ、警察に情報提供し、逮捕などに至れば通報者に1万円程度の報奨金が支払われる仕組みです。その原資として、今年度当初予算案に20万円を計上しました」(県外国人適正雇用推進室)

「県内の20代の農業従事者は“2人に1人が外国人”」

出入国在留管理庁によると、茨城県内の在留外国人は10万6490人で全国10位(2025年6月末時点)。しかし不法就労の外国人は3518人(昨年末時点)と、4年連続で全国最多を記録した。地元紙記者が言う。

「不法就労者のうち、7割に当たる2463人を農業従事者が占めています。県内の20代の農業従事者に限れば“2人に1人が外国人”とされ、その分、不法就労者も多い。“不法外国人の集積地”といったイメージの払拭に向け、大井川知事は以前から神経を尖らせていました」

「首都圏の台所」と呼ばれる農業王国・茨城の中でも、野菜の農業産出額が全国1位を誇るのが鉾田市だ。特にサツマイモやメロン、イチゴの生産地として名高い一方で、

「高齢農家が多く、技能実習生をはじめとした外国人によって下支えされているのが実態です。同市の外国人割合は県全体の2.87%に対し7.16%と、県内2位の高さ。そのため“鉾田が外国人不法就労の中心地”だと指摘する声は少なくありません」(同)

 匿名を条件に取材に応じた鉾田市議の一人は、

「汚名返上のため、知事が通報制度を立ち上げたのは理解できます。ただし1万円程度をもらって喜ぶ人がどれだけいるのか。実効性については甚だ疑問だと言わざるを得ません」

技能実習生は「使い勝手が悪い制度」

同市で大葉などを栽培する50代男性はこう話す。

「以前から、当局へのタレコミは年に数回はありました。けれど、捕まっても事業者側は罰金や短期間の拘留で終わるケースが大半で、昨年に摘発を受けた知り合いの農家も釈放後、“ちょっと『別荘』に行ってきたよ”と隠語を交えて軽口をたたいていたほどです」

不法就労が横行している背景について、鉾田で小松菜などを栽培している市村正義さんが語る。

「正規の技能実習生を雇うとなると、まず渡航費や申請費などで30万~35万円ほどかかります。実際に雇用すれば1人につき月約25万円の給料に加え、別途、管理団体に毎月約3万円を払う必要がある。安くはなく、仕事のない農閑期も含めて通年で雇わなければならないので、使い勝手が悪い制度と感じている農家は多い」

市村さんのように1年を通して栽培可能な野菜を作っていれば、通年での必要人員を計算できるが、サツマイモや大根など農繁期のある野菜だと事情は違ってくる。

増える中国人農家

イチゴ農園を経営する男性が明かすには、

「大人数の実習生を雇うほどの余裕はありません。かといって外国人がいないと、収穫期に人手が足りなくなる。農家にとって“フホー(不法滞在の外国人)”は必要悪ともいえる存在です。しかも雇うのは簡単。農繁期になると、彼らのほうから〈つくば〉や〈土浦〉ナンバーの車で畑に乗り付け、われわれに“人手要る?”などと声をかけてくるのです」

不法滞在外国人に払う日給は1万円。仮に1カ月間雇えば1人30万円になるが、

「足りない時にその分だけ雇えるし、通年で考えれば破格の安さで労働力を確保できます。実は農家にとって“フホー”のイメージはそれほど悪くない。彼らは何か悪さをして捕まれば強制送還されるため、文句も言わず黙々と働いてくれますからね」(同)

“フホー”の多くはもともとは技能実習生だったが、労働環境が劣悪だったり、もっとお金を稼ぐために実習先から逃げ出し、在留資格を失ったケースが多いという。

「彼らは独自のネットワークを持ち、人手の足りない農家や収穫時期を逐一把握している。国籍では、中国、ベトナム、インドネシアが多い印象です。県内の一軒家などに集団で住んでおり、家の所有者は大抵、正規のビザを持つ中国人だといわれています」(同)

不法滞在の外国人に貸し出し、グレーな賃料を得ているだけではない。近年、鉾田市では農地を購入して自ら農業経営に乗り出す中国人も増えているとされ、

「実習生として来日した中国人が、実習先の娘さんと結婚し、日本国籍を取得後に離婚。しばらくすると後継者のいない農地を買い取って、中国人を雇い農業法人を立ち上げたケースがあります。彼は今も市内で農業を営んでいますが、周りの日本人農家とコミュニケーションを取ろうとしないため、働いている外国人の素性などはよく分かりません」(同)

「中国人農家が今以上に台頭するかも」 栽培や農薬に関して“手抜き”が… 近隣農家は「虫が大量発生する事態などを心配している」

「中国人農家が今以上に台頭するかも」 栽培や農薬に関して“手抜き”が… 近隣農家は「虫が大量発生する事態などを心配している」(デイリー新潮 2026年04月17日)

茨城県は今年度から、外国人の不法就労対策として通報報奨金制度を導入する。2月の発表以降、「差別を助長する」と反発する人もいるが、現地に足を運ぶと、意外な本音を地元住民は口にする。その裏には、背に腹を代えられない事情もあるようで……。

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前編では、茨城県で外国人による不法就労がまん延している理由について、農家の本音を交えて報じた。また、近年は日本国籍を取得した中国人が農業経営に乗り出すケースが増えているという。

鉾田市でトマト農園を営む男性が言う。

「市内の農地を中国人が買い取り、日本人の名義を借りて野菜などを出荷しているケースを知っています。おそらく中国人が作ったと分かれば、市場では売れないからでしょう。ただ栽培や農薬に関して、われわれの感覚からすると“手抜きだ”と映る部分も多く、今後、虫が大量発生する事態などを近隣農家は心配しています」

この男性は通報報奨金制度については「不法外国人の一掃に寄与する」として賛成の立場だ。

同じように考える市民は年々増えているという。それは多発する外国人犯罪が影響しているためだ。

「大麻の“栽培工場”が」

「5年前に市内の農家で働くベトナム人実習生が同国籍の実習生を芽切りバサミで刺殺した事件がありました。以来、彼らの存在を不安視する住民が出始めた。先月12日には、茨城県警などが市内の戸建て5棟に住んでいた不法滞在のインドネシア人とタイ人ら計19人を一斉摘発しました。鉾田では“フホー(不法滞在の外国人)”を取り締まるべきという声も多い」(地元紙記者)

さらに続けて、

「昨秋、茨城県警は大麻草の営利目的栽培容疑でベトナム国籍の男3人を逮捕しました(うち1人は後に不起訴)。容疑者の自宅の一室は、天井一面にLEDライトが設置され、温度や湿度測定機も完備。大量に大麻草の鉢が並べられ、“栽培工場”と化していたといいます。近年、県内では大麻など違法植物の栽培に絡み、不法滞在の外国人が摘発される事例が後を絶ちません」

警察庁の犯罪統計によれば、2001~05年までの5年間と、25年までの直近5年間を比べると、摘発された外国人は全国で4割減少。しかし茨城では逆に4割増加した。

「中国人農家が今以上に台頭するかもしれない」

鉾田市議が本音をこう明かす。

「新制度が機能しないと考えるのは、報奨金の額がどうのこうのという理由だけではありません。不法滞在の外国人も実習生も見た目に大きな違いはなく、一般市民が“フホー”かどうかを見分けるのはまず不可能です」

通報できるのは内情を知る同じコミュニティー内の農家とならざるを得ないわけだが、

「知り合いの農家を刺すような行為をできるわけがない、と皆が躊躇(ためら)いを覚えています。こっちの事情を知らない人は“差別を助長する”と批判するばかりですが、私たちの心情はもっと複雑なのです。不良外国人は追放してほしいものの、もし制度が機能すれば日本人農家の衰退が進み、代わって中国人農家が今以上に台頭するかもしれないのですから」(同)

週刊新潮 2026年4月16日号掲載