立民代表選【結果】野田新代表 党役員骨格人事「刷新感重要」

新代表に選ばれた野田佳彦氏 政治・経済

立民代表選【結果】野田新代表 党役員骨格人事「刷新感重要」(NHK 2024年9月23日 18時57分)

立憲民主党の新しい代表に選出された野田元総理大臣は記者会見し、あすの午前中までに党役員の骨格となる人事を決めるとした上で「私にない刷新感をどうやってつくっていくかは1つの重要な観点だ」と述べました。

この中で、野田氏は、党の役員人事について「これからよく考えたいが骨格人事が決まらなければ次の国会や衆議院選挙の準備ができない。あすの午前中までには骨格人事を決定をした上で午後にでも両院議員総会で承認をいただきたい」と述べました。

その上で「私にない刷新感を骨格人事の中でどうやってつくっていくかは1つの重要な観点だ」と述べました。また、野田氏は、ほかの野党との連携について「あすは骨格人事で時間を要すると思うが、それ以降は、各野党にあいさつ回りをしてそれをスタートにそれぞれの野党と誠意ある対話を続けたい。誠意ある対話の中からどういう結論が出せるかだ」と述べました。

さらに、次の衆議院選挙での獲得議席の目標について「自民・公明両党の議席を過半数割れに追い込む。そのために野党の議席を最大化するというのが現実的な戦略だ」と述べました。そして、候補者の擁立作業について「まずは『裏金大物議員』の選挙区で有力な候補者をあてられていない選挙区があるので、そこをまず埋めていく」と述べました。

野田新代表 “衆院解散前の補正予算案成立を”

立憲民主党の野田新代表は、23日夜、NHKの「ニュースウオッチ9」で、衆議院の早期解散をめぐって「能登地方が再び大変な厳しい状況になっている。被害の実態をよくおさえて、復旧・復興のための補正予算案を成立させることが大事で最低限の政治の責任だ。それから信を問うのだったら受けて立つ」と述べました。

代表選挙の詳細

立憲民主党の代表選挙は、1回目の投票で4人の候補者がいずれも過半数のポイントを獲得できず、上位2人による決選投票が行われた結果、野田元総理大臣が枝野前代表を抑えて新代表に選出されました。

代表選挙には、野田元総理大臣、枝野前代表、泉代表、吉田晴美氏の4人が立候補して国会議員と国政選挙の公認候補予定者、地方議員、それに党員・サポーターに割り当てられたあわせて740ポイントを争い、今月7日から選挙戦が展開されました。

23日は午後1時から東京・港区のホテルで臨時党大会が開かれ、22日までに締め切られた地方議員と党員・サポーターによるいわゆる「地方票」の結果が発表されたのに続き、国会議員と公認候補予定者の投票と開票が行われました。

1回目の投票結果

1回目の投票で4人の候補者のいずれも過半数を獲得できなかったため1位の野田氏と2位の枝野氏の上位2人による決選投票が行われました。

決選投票は、国会議員に1人2ポイント、公認候補予定者と各都道府県連の代表者に1人1ポイントずつの合計417ポイントで争われました。

決選投票の結果

野田氏が枝野氏を抑えて新代表に選出されました。

一方、国会議員や公認候補予定者で23日の臨時党大会を欠席した人もいました。

野田新代表「私は本気で政権を取りに行く覚悟だ」

新しい代表に選出された野田氏は「私は本気で政権を取りに行く覚悟だ。衆議院の解散・総選挙は間違いなく、早い段階で実施されるだろうから、戦いの準備をきょうから始めたい。あすの午前中までには人事の骨格を決め、午後には両院議員総会を開いて皆さんに承認いただきたい」と述べました。

また、野田氏は「17日間の長丁場、フェアプレーで戦っていただいた候補者や応援団の皆さんに心から感謝申し上げたい。フェアプレーの究極は結果が出たらノーサイドにすることで、みんなの力を合わせて、心を合わせて『打倒自民党』で向かっていきたい」と述べました。

野田佳彦氏のこれまで

新代表に選ばれた野田佳彦氏は衆議院千葉4区選出の当選9回で、67歳。

松下政経塾出身で、千葉県議会議員を経て1993年の衆議院選挙に当時の日本新党から立候補して初当選しました。

2011年に民主党政権として3人目となる総理大臣に就任し、よくとしには、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革の関連法を成立させましたが、直後の衆議院選挙で敗北し、政権を失いました。

その後、無所属などを経て、4年前の2020年に立憲民主党に参加しました。

おととしには、亡くなった安倍元総理大臣の追悼演説を行い「再びこの議場で、あなたと魂と魂をぶつけ合う真剣勝負を戦いたかった。勝ちっ放しはないでしょう」と呼びかけ、与野党からは名演説だったと称賛が相次ぎました。

今回の代表選挙では、当初は「『昔の名前で出てます』ではいけない」などとして立候補に慎重な姿勢を示していましたが、ベテランの小沢一郎・衆議院議員からの期待に加え、中堅・若手議員などから要請が相次いだことを踏まえ、立候補を決断しました。

野田氏は、政界でも屈指の酒豪として知られるとともに、平日はほぼ毎日、選挙区内の駅前に立って声かけなどの活動を行っています。

野田氏が最も忘れられないとしているのは2期目を目指した1996年の衆議院選挙で105票の僅差で敗れたあと、一睡もしないまま駅前に立った朝で、今でもその悔しさを胸に刻んでいるということです。

座右の銘は松下政経塾を設立した故・松下幸之助氏のことばで成功まで志を貫くという意味の「素志貫徹」(そしかんてつ)です。

候補者たちは

枝野元代表は、陣営の報告会で「結果はひとえに私の力不足に尽きる。きたる衆議院選挙や参議院選挙で勝ち抜き、国民の期待に応えて目指す社会をつくっていくため一兵卒として頑張っていきたい。『客寄せパンダ』としては、まだまだ役に立つかと思うので皆さんの応援に回らせていただく」と述べました。

泉前代表は、記者団に対し「『悔しくない』と言えば嘘になる。両横綱に上手投げをされた感じだが、まだまだ自分の修行不足だ。しこを踏んでやり直す」と述べました。その上で泉氏は「野田新代表には、挙党一致で選挙態勢を万全に整え、政策なども、これまでの蓄積を生かしてほしい。おかしな政治家を退場させて新しい政治をつくることを国民が求めているので、私も全力を尽くしたい」と述べました。

吉田晴美氏は、記者団に対し「野田新代表には、立憲民主党がどういう未来や社会をつくるのかを、思いきり発信してもらい、次の衆議院選挙で、絶対に政権交代まで持って行くことを期待したい」と述べました。また、みずからが代表選挙に立候補したことについて「まったく知名度が無い、新人の当選1回で挑戦した中で、みなさんの票はありがたく、本当に、希望だ」と述べました。

立憲民主党内の反応

安住国会対策委員長は、記者団に対し「決選投票も含めて野田氏に投票した。手腕は大変よくわかっているし、野党のリーダーとしてだけではなく総理大臣としてふさわしいということを国民に問うには非常に良いリーダーだと思っている」と述べました。また、ほかの野党との連携について「バラバラに戦って、結局は自民・公明両党が利するだけというのは、そろそろ卒業しなければならない」と述べました。

辻元代表代行は「やっと、政権を取りにいくための発射台に立てた。野田新代表は総理大臣経験者なので、自民党の総裁選挙で誰が勝っても、がっぷり四つで戦える。野田氏を先頭に、衆議院選挙で勝ち抜きたい」と述べました。その上で「飛行機でも鳥でも、高く飛ぶためには、右と左の翼でしっかりとバランスをとらなければならない。立憲民主党には多様な人がいるので、バランスをとって飛躍してほしい」と述べました。

小川前政務調査会長は、記者団に対し「衆議院選挙を間近に控えるなか、元総理大臣がみずから陣頭指揮に立つ重みをみんなで受け止めて支えていきたい。政治腐敗を改め、社会の停滞を打破していく責任を果たしてこその野党第一党であり、国民の期待や願いにしっかり応えていく」と述べました。

江田 元代表代行は記者団に対し「早速、解散・総選挙となるだろうから一丸となって戦い抜いて政権交代を果たす。私でできることであれば、何でも、その通りやりたい」と述べました。また今回の代表選挙について「吉田晴美氏が出たことで、フレッシュな視点から有意義な論戦ができた。ジェンダー平等や多様性を訴えている政党の代表選挙に女性が1人もいないという事態は避けられた」と述べました。

各党のコメント

自民党の梶山幹事長代行は「野田氏の新代表就任を心よりお祝い申し上げる。現在、自民党も総裁選挙を実施しており、今月27日に選出される新総裁とともに日本を取り巻くさまざまな重要課題に対し、与野党間で活発な政策論議が行われることを期待している」というコメントを発表しました。

日本維新の会の馬場代表はコメントを発表し「野党第一党を目指すわれわれとしては、野田新代表ともしっかり議論を重ね、政治改革をはじめとする諸改革を、競い合って進めていきたい。代表選挙で各候補者から出ていた、政策活動費や企業・団体献金の廃止などの主張は、ルールが国会で制定される前に、立憲民主党内で自主的に順守することを提案したい」としています。その上で「『自民・公明両党の過半数割れ』という目標は共有するが、まずは、きたる総選挙に、互いに全力でぶつかっていく」としています。

公明党の山口代表は「野田氏に祝意を表したい。野田氏は解散総選挙が近いと強調し政権を取る意志を示しているが、自民・公明両党は新たな総裁・代表のもとで結束して政権を維持し堂々と勝負していきたい」というコメントを出しました。

共産党の小池書記局長は記者団に対し「野田氏は各野党に話し合いを呼びかけていて応じるつもりだが、最初から『政権を共産党と一緒に担うことはできない』と断言していて誠実な態度とは言えない」と述べました。また「安保法制『戦争法』の廃止をすぐにはできないと言っているが、これは重大だ。野党共闘の一丁目一番地で、緊急の課題だ」と述べました。

国民民主党の玉木代表は旧ツイッターの「X」に「3年間苦しい中で党を率いてきた泉前代表には心からご慰労申し上げる。新代表のもと、立憲民主党がどのように変わるのか変わらないのか注目している」と投稿しました。