【底なしのマイナトラブル】「戸籍にフリガナつけないと照合できない」「システム修正は2026年から?」…”義務化しなかったのが原因では”の声も

相次ぐマイナンバーカードをめぐるトラブル 政治・経済

【底なしのマイナトラブル】「戸籍にフリガナつけないと照合できない」「システム修正は2026年から?」…”義務化しなかったのが原因では”の声も(MBS NEWS 23/06/07 19:00)

MBS 2023年06月07日(水)放送

相次ぐマイナンバーカードをめぐるトラブル。別人の銀行口座が紐づけられたり、別人の顔写真で交付されたりと…しかも今後の給付金や税金の還付のたびに自治体の職員がチェックするというなんとも無駄な事態に。ITジャーナリストの三上洋氏によると、全体を照合するには戸籍をフリガナ化しなければならず、システムを改善するのは2026年になるといいます。背景に「普及を急いだあまり、とりあえず始めたツケが回ってきている」と指摘します。(2023年6月7日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎三上洋氏(セキュリティやスマホ・アプリの最新情報に詳しいITジャーナリスト 文教大学情報学部非常勤講師)

「わたしマイナカードのフリガナ化」で解決。その前に「戸籍のフリガナ化」のために法改正必要

—ITジャーナリストの三上洋さんの解説です。

まずは公金受け取り口座の登録です。例えば子供のマイナンバーカードに紐付けをして、親の銀行口座を公金受け取り口座としているということが起きています。何が問題かというと、マイナンバーカードの場合は、氏名は漢字で登録されていてフリガナ登録はない。一方の公金受け取りの銀行口座だと、カタカナなので自動照合できてない。「この人のマイナンバーとこの人の銀行口座違いますよ」という照合できていないということですか?

(三上洋氏)マイナカード自体にフリガナ、読みがながないので照合できない。だから全く違う人の口座を紐づけてきてしまうという事態です。

—マイナカードに誤って家族名義の口座に紐づけたものを多数確認したと河野デジタル大臣は謝罪しましたが、口座名と本人の名前が違うと給付金は振り込まれませんというふうに話しています。三上氏によると給付金のたびに、自治体職員が照合することに?

(三上洋氏)そう、せっかくマイナカードに振り込み口座や受け取り口座が登録されているのに、結局はいちいち給付金や税金の還付のたびにチェックしなくちゃいけない。何と無駄な仕組みかということですね。

—フリガナ問題は簡単に修正できないのでしょうか?

(三上洋氏)マイナンバーカードにフリガナさえ登録できればいいのですが、マイナカードの基本となる私達の戸籍がそもそもフリガナになっていない。そのために照合ができない。これから成立をした戸籍法の改正を待って、戸籍に1年以内にフリガナを登録するという作業が発生します。全国民やらなきゃいけない作業。戸籍を持っている全員が対象。さらに、今のマイナンバーカードにはフリガナが入ってません。それを入れられる仕組みにしなくてはいけないのですが、現在のマイナンバーカードでは作れない。次の新マイナンバーカードというものが検討されていますので、そこで入れ込む。結果としては2026年にならないとできない話かなと思います。

—思っていたよりも膨大な作業ということになりそうですね。

REINAさん)我々からしてもシステム開発とか設計とかも全然わからなくても、今回のトラブルも、過去のミスもある程度予見できたんじゃないかなって、どうしても思ってしまうんですよね。三上さんにお伺いしたいのが、この原因っていうのは想像力がないのか、関わっている人が多すぎてこうなってしまうのか。何なんでしょうかね?

(三上洋氏)マイナンバーカードについてはそもそもフリガナを入れなくていいだろうという判断だったと思います。そうして作った上で、でも考えてみたら銀行口座ってカタカナしかないよねということがわかったので「これはまずい。でもとりあえず入れておこうよ」という形の進み方だと思います。なるほど全体としての設計がないままとりあえずとりあえずを積み重ねてきたっていう。もし全体としての設計を考えるなら、全国民の戸籍にフリガナを入れることからスタートしなくてはいけないので、とても大変ということで、スタートしてるんだと思います。

(豊田真由子氏)最初のシステムを組むときに、どこまでのトラブルを予想して、それを防げるようなシステムにしておくかっていうのは結構難しくて、過剰にやるとコストがとても増えるってところがあったと思うんですね。ただやはり今回ちょっと急ぎ過ぎたから、なかなか人員とかシステムの対応ができなくて、必要以上にトラブルが増えちゃった感じもあるかなとは思います。

—ポイントキャンペーンもどんどんやって、皆さんどうぞ登録してくださいっていう。確かに急いでいるなって感じだったのですが、なぜあんなに急いだんですかね?

(豊田真由子氏)やはり日本がデジタルで遅れていて、本来デジタルでできることをアナログでやっていることのデメリット、マイナスというのが国民にとってすごくあるし、行政コストっていうこともある。何とかもう追いつかなきゃっていう、焦りみたいなものは絶対あると思う。

「わたしマイナンバーすごい賛成、だから義務化したらいいのに」

(REINAさん)わたし、マイナンバーってすごく賛成で、行政のデジタル化も賛成ですけど、急ぐのだったら義務化にすればいいんじゃないかなと思う。マイナンバーの取得って任意じゃないですか。義務とは言わないんですよね。

(豊田真由子氏)個人情報保護に対する国民の拒否反応という日本はすごく強くて、いろんな経緯もあるので、マイナーの取得自体は義務にはしてないんです。でも実際は保険証にくっつけますとか、今度は運転免許証じゃなくて、マイナンバーで身分証にしなきゃいけませんっていうふうに事実上、義務化しているので、本音と建前の部分がずれている。そこが不信感を生んでいる。

—確かにマイナンバーの取得の話になると、自分の個人情報が国に全部知られてしまうのではないかとか、流出するのではと心配する方が非常に多いっていう話はありました。

(豊田真由子氏)そのマイナンバーカード自体の不安感、例えば流出しちゃうんじゃないかとか、

(三上洋氏)1ヶ所から漏れたら全部知られちゃうんじゃないかというのは実は誤解なんです。マイナンバーカードはそういうものを防ぐ仕組みをちゃんと作っている。マイナンバーカードの仕組み自体はちゃんとしたセキュリティを持っています。ただその先の紐付ける作業。今回のような銀行口座、健康保険証、そういったアナログ作業を無理やり進めちゃっているために、ここに来て一気に噴出してるんだと思います。

—なんかツケが回ってきているような感じします。さらに河野大臣は公金受け取り口座の誤登録、国税庁からの情報提供では、2月に2件デジタル庁に把握していたが、大臣報告をしていなかったと。他にイレギュラーな事案の報告を外部から受けていないか、再点検、今後全ての情報を直ちに大臣まで上げるよう指示をしたということなんですが。元官僚の豊田さんに伺いたいんですが、大臣にまで話が上がってないのは、何でなのか?上げる必要があるのかと?

河野大臣は全ての情報を上げるよう指示―でも豊田真由子氏「すごい些末なことまで報告していくと行政回らなくなる」

(豊田真由子氏)国でも自治体でも民間企業でも、何でもかんでもトップに上げるということにはなっていない。取捨選択して、大事なことをピンポイントであげるっていうふうにしないと。膨大な所管事務があるわけだから。ただ、今回の件では、多分2月の時点では、口座の名前が違う。子供の分を親がやったんだよねみたいな認識で、そんなに深刻だと受け止めてなかったんだと思うんですよ。だから別に隠蔽しようとしたわけじゃなくて、多分事務的に淡々と処理をできると思ったと思うんですよ。河野大臣が言った「全ての情報を直ちに大臣まで上げる」というのは、上の人が言うのは簡単ですけど、言われた人は大変で、すごい些末な、僕たちこんなにいろいろな局も課もありますけど、それ全部大臣にあげるんですかって多分そこは、信頼関係とか、判断力とか、臨機応変に対応できるかどうかを柔軟にやっていかないと、実際の行政は回らなくなってしまう。

—きのう(6日)に行われたデジタル社会推進会議で、マイナカードの更なる普及へということで明後日の閣議で決定するということです。例えば運転免許証との一体化、契約時のマイナンバーカードの使用、ハローワークの受付、介護保険のペーパーレスです。さらに大学での授業の出欠もマイナンバーカードでやろうということで、さらに幅広くこのマイナンバーを使っていこうという動きは進んでいくわけですね?

(三上洋氏)ただ大学の出欠でマイナンバーは使いません。マイナンバーカードの個人認証の部分を使うので、そんなに心配をしておりません一番の問題は、運転免許証等の一体化です。今度は警察庁に紐付けを依頼して、各都道府県警がやる作業になるので、また今回のような問題が多数発生する可能性があるんですよ。チェック入力っていう作業を各省庁に飛ばすんじゃなくて、政府とデジタル庁が予算と人員をかけて、入力チェックっていうことを国としてきちんとやるんだということをやらないとまずいかなと思っています。本当は便利になるはずなんです。複数の病院で診療カードを作らなくてもいいようになりますし、薬の共有もできる。ただ、現在システムの障害がいくつも起きていて、病院側はマイナンバーカードの方が非常に受付面倒くさい。一部の病院は、両方持ってきてっていうところもある。健康保険証とマイナンバーカード。そこのトラブルがまだまだ続いてる。

—マイナンバーカード持っていて便利だねって思えるようになるにはどれぐらいかかるんですか?

(三上洋氏)少なくとも2、3年はかかるんじゃないかなと思っています。

—そんな中、私のマイナンバー大丈夫って、不安に思ってらっしゃる方もいると思います。こんな確認方法がありますよという紹介です。準備するのは、スマートフォン、マイナカードを読み取れるスマートフォンそしてマイナポータルアプリを事前にダウンロードしておいてください。もう一つマイナカードが必要です。事前登録した数字4桁の暗証番号あると思います。アプリをスマホで立ち上げて、カードを近づけて読み込ませて数字4桁を入れます。そうするとログインすることができます。マイナポータルで確認することができる情報は、例えば、注目の情報、公金受け取り口座の登録変更。最新の健康保険証情報の確認というのがあります。ここを押せば口座登録情報、どこどこ銀行の口座に登録できていますよというのが確認できます。あとは健康保険証情報も確認できて全く違う、知らない人の情報がもし登録されていたらこれは問題だと。やり方がよくわからないという方に電話もあります。マイナンバー総合フリーダイヤルで012095017895。受付時間は平日の午前9時30分から午後8時、土日祝日は9時半から午後5時30分、誤登録の確認方法、質問、不安などを回答してくれます。