岸田政権、参院選公約にもない負担増を続々検討 医療・介護制度見直しや防衛増税 「所得倍増じゃなくて搾取倍増」

政治・経済

岸田首相「年間1兆円」大増税!過去最高税収でも増税!増税!に「所得倍増じゃなくて搾取倍増」(smart FLASH 2022/12/09)

12月8日、岸田文雄首相は防衛費増額の財源確保をめぐり、約1兆円を増税でまかなう意向を示した。

2023年度から5年間の防衛費総額を43兆円にする方針が決まっているが、2027年度以降は、毎年4兆円の追加財源が必要になる見込み。岸田首相は、政府与党政策懇談会で「約1兆円強は国民の税制でご協力をお願いしなければならない」と語った。

「来年度の国民の負担増はおこなわず、27年度に向け、複数年かけて段階的な実施を検討する」と表明。簡単に言えば、2023年から徐々に増税を進め、2027年以降、毎年1兆円ぶんを増税でまかなうということだ。

「物価高騰で国民の生活が苦しくなっていることもあり、家計を直撃する所得税や消費税の増税はおこなわない方針です。法人税を軸に、酒・たばこ税などが候補として検討されています」(経済担当記者)

2021年9月、自民党総裁選の討論会で「消費税は10年程度は上げるつもりはない」「すぐに増税で財政を埋めることは考えていない」と語っていた岸田首相。しかし、そんな発言はなかったとばかり、聞こえてくるのは「増税」の話ばかり。

「10月26日の政府税制調査会では、消費税や自動車税について議論がおこなわれ、将来的な消費増税と『道路利用税』といった自動車関連の増税を検討すべきとの意見が出ました。

12月半ばに発表される税制改正大綱では、贈与税・相続税の見直しがおこなわれ、“事実上の増税” が進む見込みです。

さらに、年金支給額の引き下げ、年金支払いの65歳までの延長、国民健康保険の2万円増額、年間1000円の『森林環境税』など、国民負担が増えることばかり。

その一方、当初掲げられていた『子育て予算の将来的な倍増』の検討は先送りされ、電気代は政府補助金を上回る値上げが懸念されている状況です」(同)

11月には2022年度の一般会計税収が68兆3500億円あまりと、過去最高を記録する見通しだと報じられたにもかかわらず、増税にこだわりつづける岸田首相。SNSでは大きな批判の声が寄せられている。

《「分配無くして成長なし」から随分と方向転換したな。貧乏人に分配を厚くする、北欧型のリベラル国家を目指そうとしていたように見えたが、貧乏人から搾取する方向に壮大に舵を切ったな》

《岸田よ、所得倍増はどうした 増税するなら搾取倍増じゃないか!》

《何がご協力をだよ お前等の給料やら手当ては削らないくせに、国民からはぶんどるのか》

《収入増えないところにまた増税 無駄を無くせば1兆ぐらいどうにでもなるだろ!》

《過去最高の税収なのに増税の話しか無く、更に年1兆円税収増を目指すという日本政府》

「亡くなった安倍晋三元首相は、2022年4月、防衛費の財源をめぐり、恒常的な借金を可能にするいわゆる『防衛国債』を発行すべきだと提唱しました。

今回の防衛費増額に関する話し合いでも、増税に反対する自民党議員たちが国債の話を持ち出していますが、議論は進んでいないようです。

むしろ、鈴木俊一財務大臣は、11月末の会見で『必ずしも国債ということにはつながらない』と、国債に関する意見を牽制するような発言もしています」(同)

すでに苦しい生活に、これ以上の負担を強いる岸田首相。増税について、国民を納得させられる理由を説明できるのか。

岸田政権、参院選公約にもない負担増を続々検討 高齢者標的の医療・介護制度見直しや防衛増税

岸田政権、参院選公約にもない負担増を続々検討 高齢者標的の医療・介護制度見直しや防衛増税(東京新聞 2022年12月10日 06時00分)

岸田政権は医療や介護の制度見直しで、高齢者の負担増につながる議論を進めている。全世代の給付を充実させるため、高齢者にも応分の負担をしてもらう「全世代型社会保障」を進めるのが狙い。だが、自民、公明の与党は7月の参院選で負担増の説明を避け、国民の理解を得ようとする姿勢はみえない。さらに、高齢者の急激な負担増に対する懸念も出ている。

全世代型社会保障
安倍政権下の2013年、政府の有識者会議「社会保障制度改革国民会議」の報告書が打ち出した。高齢者だけでなく、子育て支援など現役世代にも給付を広げるのと同時に「全ての世代が負担能力に応じて負担し支え合う」と説明。岸田政権も方針を引き継ぎ、発足直後から推進をうたっている。ただ、20年のパソナ総合研究所の世論調査では、「全世代型社会保障とは何か知っている」との回答は3.1%にとどまった。

厚生労働省は9日の社会保障審議会で、75歳以上の後期高齢者医療制度で、2024年度に加入者1人当たり保険料を平均で年5400円弱引き上げる試算を示した。年金収入が153万円を超える人が対象で、収入が多いほど引き上げ幅は大きくなる。

後期高齢者の医療費全体の約4割を担う現役世代の負担上昇を抑制することに加え、少子化対策として「出産育児一時金」を大幅に増やす財源にも当てることが目的。厚労省は年内にも結論を出す方針だ。

介護保険制度を巡っても、65歳以上の中高所得者の保険料や自己負担の引き上げが厚労省の審議会で検討されている。

厚労省の審議会では委員から異論も出ている。日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦氏は、10月に一定の所得がある後期高齢者の医療費窓口負担が1割から2割に引き上げられたことなどを挙げ、「ここ数年で高齢者の負担が一気に増えようとしている」と懸念を示す。「高齢社会をよくする女性の会」の袖井孝子副理事長は「現役世代にも年を取った時の不安感を与えないか」と政府の方針に疑問を投げかけた。

政府の制度改正は、岸田文雄首相が設置した有識者会議「全世代型社会保障構築会議」の方針に沿ったものだ。年内の報告書の取りまとめに向けた論点では、子育て支援の充実策が目立つ一方、医療・介護分野では厚労省で議論されている高齢者の負担増の方策が並ぶ。首相は「全ての世代で医療・介護費を公平に支え合う仕組みを強化する」と説明している。

問題は、政権を担う自民、公明の与党が高齢者の負担増を選挙で十分に説明しなかったことだ。

参院選公約で両党は「全ての世代が安心できる持続可能な全世代型社会保障の構築」「皆で支え合う全世代型社会保障の構築」などとうたったが、内容の具体的な説明はなく、高齢者の負担増には触れなかった。

防衛費大幅増を巡っても参院選で与党は公約していないのに、首相は1兆円強の増税を表明した。

立教大の芝田英昭教授(社会保障論)は、社会保障に関する与党の公約について「全世代の給付を上げるようにイメージさせながら、実際は負担を増やそうとしていて巧妙だ」と指摘。「政治家は負担増を選挙の時には言わず、国民は選挙が終わってから『こんなことだったのか』と気付くことになってしまう」と批判した。