総額106兆円の令和3年度予算案 衆議院で可決、立憲は組替え動議を提出

令和3年度予算案衆議院本会議成立20210302 政治・経済

令和3年度予算案は3月2日の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送られた。

新型コロナウイルス対策を含む一般会計総額は106兆6097億円と、9年連続で過去最大を更新。憲法の衆院優越規定により、参院の議決がなくても今年度内に自然成立する。立憲民主党など野党は「コロナ対策が不十分」などとして反対した。

本会議に先立ち、同日の衆院予算委員会で、衆院会派「立憲民主党・無所属」と共産党は共同で、政府提出の令和3年度予算案を撤回の上、編成替えを求める動議を提出した。

採決の結果、動議は否決され、与党等の賛成多数で政府案が可決、本会議に緊急上程された。

組み替えの必要性・・立憲民主党

令和3 年度予算は、「新型コロナウイルス感染症」により被害や影響を被った国民生活と社会経済活動を力強く再生へと導く予算編成が必要不可欠だ。

政府が進めてきた「with コロナ(社会経済と感染対策の両立)」では、感染抑制と感染拡大の波が何度となく繰り返され、その結果、社会経済活動の制約は長期にわたり、国民生活や社会経済活動に深刻な影響を与えている。

私たちは、感染防止対策と医療支援、そして生活者・事業者支援を集中的に展開し、感染拡大の波を十分に収束させ、その状態を継続させることで感染を封じ込め、早期に通常に近い生活・経済活動を取り戻す「zero コロナ」の道を選択すべきだ。

更なる対策として、特別定額給付金を生活困窮者や生活急変者を対象に再度支給するとともに、持続化給付金を改善し、支給要件の緩和と事業規模に応じた支給を実施すべきとして、組み替え予算に盛り込んだ。

政府提出の5 兆円の予備費は1兆円に減額する。

コロナ対策関連以外では、子育て支援や、持続可能な社会の実現など、先行投資のための予算は増額する一方、必要性に乏しい事業や効率性の低い予算についてはカットし、メリハリの利いた予算編成を行うべきだと考える。

組み替え内容・・立憲民主党

歳出の増(合計36兆円)

1.新型コロナウイルス感染症の拡大防止、国民の命と暮らしを守るための予算の確保

①病床の確保・医療機関支援 ・・・3兆円
・病床・療養施設の確保のため、国がより積極的に関与
・収入の減った全ての医療機関への経済的支援(クラスターが発生したことによる減収への支援含む)
・医療従事者等への再度の慰労金支給 …等

②再燃防止策(封じ込め)の徹底 ・・・2兆円
・ワクチン接種体制の整備・充実
・医療・介護従事者と、希望するエッセンシャルワーカーへの定期的公費検査実施(自費で検査
した後の精算も可とする)
・感染者の周辺をより広く無料検査
・安価で迅速大量に検査できる機器の普及
・ゲノム解析を積極的に行い感染ルートの把握を徹底
・保健所の体制強化
・出入国管理を徹底
・新型コロナの治療薬の創薬支援 …等

③暮らしを守る ・・・7兆円
・生活困窮者に対する給付金の支給
・特にひとり親など低所得の子育て世帯に対する給付金の支給
・ひとり親など職業訓練についての給付金の増額
・緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付の延長
・休業支援金・給付金の6 月末までの延長
・雇用保険等の特例(給付日数の延長等、求職者支援制度の特例措置)
・学生支援(授業料半額免除、奨学金の返還免除)
・中小企業新卒就業者等就業支援対策 …等

④事業を守る ・・・22兆円
・持続化給付金・家賃支援給付金の再給付、減収要件等の要件緩和
・休業協力金、一時支援金の要件緩和、事業規模に応じた支援の実施
・無利子無担保融資枠の拡大・延長
・雇用調整助成金特例の6 月までの延長
・地域公共交通機関への支援
・事業者コロナ対策新型補助制度の実施 …等

2.持続可能な社会の実現、将来に向けた先行投資等に必要な予算の確保・・・2兆円

・保育士・幼稚園教諭、介護・障害福祉従事者等の処遇改善
・小中学校における給食費無償化の実現
・児童手当特例給付の所得制限の撤回・廃止
・消費者行政の強化(成年年齢引下げを見据えた教育・広報、地方消費者行政交付金の増額、消費者取引被害対策予算の増額等)
・DV被害者支援、若年被害女性等支援事業の推進、性犯罪・性暴力被害対策の推進
・自殺対策の推進
・農業者戸別所得補償制度の復活・充実
・気候変動対策としての住宅の省エネ化の推進
・被災者生活再建支援金の引上げ
・動物愛護管理の抜本的強化・推進 ..等

歳出の減(合計4兆5224億円)

・新型コロナウイルス感染症対策予備費の減額(5兆円→1兆円)
・病床削減・病院統合に伴う財政支援
・マイナンバーカードの普及・利活用の促進
・マイナポイントによる消費活性化策の拡充
・普天間飛行場移設事業
・防衛装備品後年度負担の減額(令和2年度3次補正計上相当額)
・イージス・システム搭載艦の検討に係る技術支援役務
・カジノ管理委員会運営費等の削除

歳入の増(31兆4776億円)

・特例公債の追加

その他

・財政投融資計画の追加(無利子無担保融資制度の延長・拡大のため)・・・13兆円

以 上