維新の会「大阪は教育無償化を実現」発言に教育関係者が唖然 「ほとんど全国一律でやってることなのに…」

維新の会「大阪は教育無償化を実現」発言に教育関係者が唖然 政治・経済

維新の会「大阪は教育無償化を実現」発言に教育関係者が唖然 「ほとんど全国一律でやってることなのに…」(マネーポストWEB 2023.02.08 16:00)

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春の統一地方選を控え、日本維新の会は2月5日、大阪市内で党大会を開いた。現在約400人の所属地方議員を1.5倍の600人以上に増やすとする今年の活動方針を決定したほか、馬場伸幸代表は子ども政策について「教育無償化が、日本の未来につながると確信する」と強調した。これまでも維新は教育無償化についてたびたび触れ、政策として主張してきた。しかし、その主張に対して「あまりにミスリード」と批判の声が上がっているという。

発端となったのは1月29日に放送されたNHKの『日曜討論』。この日、番組に出演した維新の藤田文武幹事長は番組内で「いわゆる0歳から大学までの高等教育までの無償化というのは大阪限定ですが実現しました」という発言をしている。だが、この放送を見たという教育政策に携わっている東京都の教育関係者は「許しがたい発言だ」と怒りを隠せない。

「東京都では少子化対策に対してかなり手厚い施策を用意しています。職員が『すべての子どもたちに届くように』と何度も検討を重ねて生み出したものです。それが『日曜討論』を見たら維新の会の幹事長がデタラメな発言をしているので唖然としてしまいました」

この教育関係者が憤るのは、「国が全国一律に事業としてやっていることを、さも大阪だけが実現できた」というように語っている点だ。具体的にはこうだ。

「藤田幹事長は0歳から18歳までの教育費が無償化される旨の発言をしていました。ですが、大阪でやっている教育費の無償化というのは私立高校の授業料無償化(所得制限あり・年収590万円未満)と大阪公立大学の授業料無償化(所得制限あり・年収590万円未満)だけです。そのほかの無償化というのは国が全国一律にやっていることです。

こうした維新の『無償化キャンペーン』とも言えるミスリードは、過去にも同様のことがありました。2019年の7月に松井一郎代表(当時)が『大阪では増税なしに幼稚園、保育園の保育料無償化を実現した』と語っていますが、特に大阪の独自策はなく全国一律の制度か東京と比べると制限があるものです。やっていないことを、さも自分たちが特別にやっているかのような発言は有権者の誤解を招く行為でもある。見過ごしてはいけないと思います」(前出・教育関係者)

統一選の公約がまた「教育完全無償化」の違和感

藤田幹事長の番組内での発言は一部のSNS上などでも注目を集め、特に維新の会への注目度の高い大阪では論争の“火種”になり始めているようだ。在阪ジャーナリストの吉富有治氏が言う。

「維新の教育無償化アピールはこれまでも選挙のたびに繰り返されてきたものです。特に最近の国政選挙などでは吉村洋文知事が街宣で『大阪府は私立高校の完全無償化をしました。全国でも維新の改革をやらせてほしい 』と訴えてきた。しかし、実態は国の制度に則ったものも多く、たしかに私立高校の授業料は無償化しましたが所得制限つきです 。大阪だけが先駆けて成し遂げたわけではありません。完全にデマではありませんが、事実とは異なるもので、教育に限らず府市の財政の立て直しでもこれまでの知事や市長が取り組んできた経緯を無視して維新の実績としてアピールしています。

大阪では、これまで吉村知事が『教育完全無償化』に近いことを言ってきたのに、統一選でまた所得制限を撤廃した『教育完全無償化』を公約に掲げたことに『じゃあ、これまでの“完全”はなんだったのか』と、首をかしげる府民も少なくない。都構想が住民投票で否決されて看板政策がなくなった今、選挙戦では新たな目玉として教育無償化をアピールするのでしょう。しかし、あまりにも誇張の多い手柄話が続けば反感が高まる可能性もあります。下馬評では吉村氏が再選を目指す知事選は圧倒的に維新が優勢ですが、今後ともこうした問題は注視していく必要がありそうです」

果たして、維新はこうした指摘をどう受け止めるのか――。(了)