自民“もう1つの裏金スキーム” 茂木幹事長、棚橋元国家公安委員長「1.3億円」使途不明金の悪辣(日刊ゲンダイ 公開日:2024/02/27 13:50 更新日:2024/02/27 13:50)
パーティー裏金事件を巡って、与野党は衆院政治倫理審査会を28、29両日に開くことで合意しているが、自民党が審査会の「非公開」を要求。表で話せないほどヤバい中身だらけということに違いない。そんな中、安倍派がやっていた「キックバック不記載」とは別の“裏金スキーム”が浮かび上がった。こちらも、自民党内で平然と行われている可能性がある。
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共同通信(25日配信)によると、茂木敏充幹事長の資金管理団体から寄付を受ける政治団体「茂木敏充後援会総連合会」と、棚橋泰文元国家公安委員長の政党支部や資金管理団体から寄付を受領する「棚橋泰文後援会連合会」で2020~22年、使途の詳細が不明な支出がそれぞれ全体の97%超、2団体で計1億3500万円以上あったという。
政治資金規正法は、国会議員が代表を務める資金管理団体や政党支部について、人件費を除く1件1万円超の支出全てを収支報告書に記載するよう義務付けている。
ところが、カネの受け皿となった2人の後援会は、使途の記載義務が甘い「その他の政治団体」に当たる。その他の政治団体は、1件5万円以上の支出のみが記載義務の対象だ。そのため、2人の後援会は使途の大半が不記載となっており、政治資金全体の流れがチェックできない状態になっているのだ。要するに、茂木氏と棚橋氏は記載義務が厳格な資金管理団体や政党支部から、記載義務が緩い後援会にカネを移し、支出を“隠蔽”したも同然なのである。
改めて日刊ゲンダイが調べたところ、茂木氏の後援会の3年分の収入は計9650万円。全て資金管理団体からの寄付だ。使途の98%が記載されていない。棚橋氏の後援会は、資金管理団体と政党支部から3年で計約4300万円を受領。97%が使途不明状態だ。
茂木氏の後援会については、16~19年にも資金管理団体から約1億3120万円を受け取り、90%超が使途不明になっていることが分かっている。
宮越元沖縄北方相は6000万円
さらに、同じスキームに手を染めていたのが、自民党の宮腰光寛・元沖縄北方相(21年に政界引退)だ。やはり、宮腰氏が代表を務めていた資金管理団体と政党支部から、記載義務が緩い「宮腰光寛後援会」にカネを移動。11~16年で使途不明金が計約6000万円に上ることが判明している。
こうした脱法的なやり口は、政治資金の収支の状況を国民に明らかにすることを目的とした政治資金規正法の趣旨に明確に反している。使途が不明な以上、裏金を疑われても仕方がない。
裏金事件の端緒を開いた神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「茂木、棚橋両氏の後援会と資金管理団体は、事務所の住所と会計責任者、事務担当者がそれぞれ全て一致しています。そのため、後援会と資金管理団体は実質的に同一と見るのが妥当です。同一の団体ならば、資金管理団体から後援会にわざわざ寄付する必要はないはず。意図的に資金管理団体から後援会に資金を流し、使途を隠す目的があったとしか思えません。後援会にも資金管理団体や政党支部と同等な記載義務を課すべきでしょう」
茂木氏は茂木派会長で棚橋氏は麻生派所属。宮腰氏は岸田派に所属していた。派閥に関係なく、多くの自民党議員が同様のスキームに手を染めていてもおかしくない。本当に、手を替え品を替えである。