<社説>GDP世界4位 「構造改革」を問い直す時…信濃毎日新聞

日本とドイツの名目GDP推移-2 政治・経済

〈社説〉GDP世界4位 「構造改革」を問い直す時(信濃毎日新聞 2024/02/20 09:31)

2023年の名目国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ、世界4位となった。

円安の進行でドル建ての換算値が目減りしたことなど、計算上の影響も少なくないが、根底には長く続く日本経済の低迷があると受け止めるべきだろう。

日本は1968年に旧西ドイツを当時の主要指標である国民総生産(GNP)で抜き、米国に次ぐ2位に。だが、バブル崩壊以降は「失われた30年」と呼ばれる低迷期に突入。2010年に中国に抜かれ3位となっていた。

GDPは、生み出された商品やサービスの「付加価値」を合計した数値で、その国の経済の規模を表す。みんなで稼いだ額を足し合わせたものと言ってもいい。

ドイツの人口規模は日本の約3分の2だ。そのドイツよりGDPが下回った背景には生産性の差があると考えられている。

新藤義孝経済再生担当相は記者会見で4位転落について問われ、「さらなる構造改革をしなければならない」と強調していた。

何をどう変えるべきか。問題点が明確になっているとは言いがたい。長期的な視点から、改革の歩みを振り返っておきたい。

構造改革が盛んに叫ばれたのは小泉純一郎政権の時代。2000年代の最初のころだった。市場原理を重視し、象徴的な改革として製造業への労働者派遣の解禁を挙げることができる。

一連の改革で何が起きたか。不安定な非正規雇用で働かざるを得ない人が増えた。08年のリーマン・ショックでは雇用の調整弁に使われる問題が表面化した。

労働現場に負担を押しつける一方、企業が利益を蓄積する。この構図は現在も基本的に変わっていない。それが結果的に経済全体を疲弊させたのではないか。

日本経済を引っ張ってきた自動車業界では近年、検査不正が相次ぐ。背景には現場を顧みない経営姿勢があった。賃上げの必要性が叫ばれる現在の経済情勢も、見方によっては従来の構造が限界に達したことの反映と言える。

政府は現在、デジタル化や電気自動車(EV)といった成長分野への投資拡大に力を入れている。半導体では膨大な額に上る財政出動を繰り返す。リスキリング(学び直し)による成長分野への労働力移行も促している。

成長分野は重要だ。だが、これらの政策が以前のように働く人の視点を欠いたものになっていれば持続的な成長は期待できない。検証が必要な時に来ている。