「信者は2級市民のような扱い」 旧統一教会の田中会長、18個の「被害」とうとうと 1年ぶり会見

記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長㊧と勅使河原秀行・教会改革推進本部長=東京都渋谷区で 社会

「信者は2級市民のような扱い」 旧統一教会の田中会長、18個の「被害」とうとうと 1年ぶり会見(東京新聞 2023年11月7日 18時30分)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が7日に開いた会見の終盤、田中富広会長の言葉に熱がこもった場面があった。

世間からの教団側に対する「差別的な被害状況」の説明だ。記者の質問に答える形で4分近く、何度も手元に視線を落としつつ、とうとうと話し続けた。

教団トップによる会見は約1年ぶり。文部科学省による解散命令請求には反論し、教団側の加害性については慎重な言い回しを繰り返す一方で語ったこととは。(デジタル編集部)

教団側の「被害」の列挙は、同じ記者からの教団資産の質問を「公表は控える」とひと言でかわした直後に始まった。

「安倍元首相の事件以降、本当に大変な状況を私たちは経験してきております」。田中会長は18個にのぼる「差別的な被害状況」を挙げ、「信者が2級市民のような扱いを受けている。解散請求で信仰そのものが難しくなる」と訴えた。

列挙した「被害」は次の通り。

1.メディアで報道された写真の中に写っていたため、会社をやめさせられた青年がいる。
2.教会関連の韓国の大学を出た人が内定を取り消された。
3.社会科の授業で、家庭連合の批判を教師にされて、子どもがストレスをためて学校に行けなくなった。
4.テストで回答が家庭連合を誹謗する結論になるような問題が出た。
5.メディアの報道によって、過度のストレスを受けた青年が自殺未遂をし、自殺者も出た。
6.夫から教会をやめるか、離婚するかと迫られ、実際に離婚した人がいる。警察に飛び込んで命を助けられた人もいる。
7.所持品を親族から処分された話もたくさんある。
8.家庭連合の職員は、マンションの契約を打ち切られて、新しいマンションも家庭連合の名前では探せなくて困惑している。
9.病院で保険証に家庭連合と書かれているのを見て、受診を断られた。
10.教会や信徒が経営する企業の不動産契約を断られた。
11.公共施設は全国津々浦々で使用が断られたケースがたくさんある。
12.銀行取引が止められた。
13.式典の花や仕出し弁当の購入を断られた。
14.有名ブランドの自動車がわが教団に販売するのを禁止し、各支店で車を買うことができなくなっている。
15.教会施設に落書きをされた。
16.礼拝時間に街宣車がやって集会がつぶされた。
17.嫌がらせ、殺害予告は2万件を超えた。刃物や不審物が送られたりしている。
18.花壇づくりの運動をしてきた子どもたちが、突然、家庭連合という理由で、行政から打ち切られ、植えた花を持って帰れと言われた。

田中会長はこれらを列挙した上で「解散命令請求を受けても、税の優遇がなくなるだけで、信仰の問題、信仰を続けていくことはなんの不具合もないという言葉がメディアで飛び交いますが。解散命令請求を出される以前からこの状態。請求が出されたら、信仰そのものが難しくなるのは言うまでもない歴然とした事実」と断言した。

自分たちを「被害者」だと強調する一方で、教団から被害を与えられた人については、「私たちは、被害者という言葉は簡単に使わないようにしています」と語った。

その理由について、田中会長は解散命令請求を念頭に置きながら「被害者が不明確であり、被害金額も不明確な中で、法も動くことができない」と主張した。