神宮外苑「樹木伐採」批判に焦り…小池都知事がブチ上げていた「ツリーバンク」のチンケぶり

神宮外苑の再開発に、若者たちが反対デモ 社会

神宮外苑「樹木伐採」批判に焦り…小池都知事がブチ上げていた「ツリーバンク」のチンケぶり(日刊ゲンダイ 公開日:2023/09/09 13:30 更新日:2023/09/10 11:50)

“小池包囲網”がどんどん狭まっている。

東京・明治神宮外苑地区の再開発事業をめぐり、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関である国際NGOのイコモス(本部・パリ)が文化的資産が危機に直面しているとして、緊急要請「ヘリテージ・アラート」を出し、三井不動産などの事業者に計画の即時撤回を求めた。再開発に伴う大量の樹木伐採に反発が強まる中、国際的な権威にもダメ出しされた格好だ。

ところが、都市計画決定などの見直しを求められた小池都知事は8日の会見で、「都民の理解と共感を得ることが極めて重要」とし、事業者に正確な情報発信を要求。相変わらず「私は関係ない」と言わんばかりの“塩対応”である。

ヘリテージ・アラートには法的拘束力はないが、再開発には故・坂本龍一氏や村上春樹氏、サザンオールスターズなど、著名人も反対。その上、外圧にさらされた小池は焦りを募らせているという。ある都政関係者はこう言う。

「来夏の都知事選まで1年弱。3選を目指す知事としては、いつまでも樹木伐採で批判を浴び続けるのは都合が悪い。一部で“伐採女帝”と揶揄されているのも面白くなく、本人は何とか汚名をそそぎたいようです」

それで8月上旬に打ち出したのが、「東京グリーンビズ」なる取り組み。

コンセプトは、東京の緑を「まもる」「増やし・つなぐ」「活かす」で、目玉は「ツリーバンク」の創設だ。都の資料によると、都立公園などの再開発で工事の支障になる樹木をいったん引っこ抜き、別の都有地に植樹。工事終了後に再度、都立公園に植え直す──という仕組みだ。

植え替えが樹木にダメージとなるのは素人でも想像がつく。こんなチンケな対策で本当に東京の緑を守れると思っているのか。元都庁幹部の澤章氏はこう言う。

「伐採批判をかわしたい知事の弥縫策でしょう。区市町村などの樹木受け入れも検討されていますが、都庁の担当部局からは『とても無理』と悲鳴が上がっていると聞きます。植え直しで樹木を傷つけて枯らしてしまうリスクがありますし、コストも莫大だからです。知事周辺が『何としてでもやれ』と号令をかけたのではないかと思います」

泥縄式では東京の緑がどんどん失われていく。