人気の脳科学者が教える、「脳の成長を止めてしまう驚愕・NGワード3選」と、使ってしまったときのリカバー方法

脳の成長を止めるNGワード3選 科学・技術

人気の脳科学者が教える、「脳の成長を止めてしまう驚愕・NGワード3選」と、使ってしまったときのリカバー方法(fumufumu news 2023.04.07 18:00)

西沢泰生

もし、口にしたり、頭の中で思ったりしただけで、「脳の成長を止めてしまう言葉」があるとしたら……。ちょっと怖いと思いませんか?

しかも、その言葉が、決して特別な言葉ではなく、あまり意識することなく、普通に使ってしまいがちな言葉だとしたら……。

『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム社)などのベストセラーがある脳科学者の西剛志(にし・たけゆき)氏によると、口にしたり、考えたりしただけで「脳の成長を止めてしまう言葉」は実際にあるのだとか。

今回は、西氏が指摘する、「脳の成長を止めてしまう、代表的な3つの言葉」と、うっかり使ってしまったとき、脳のリカバー方法についての話です。

脳の成長の鍵を握る「脳内トーク」

ここで、いきなり質問です。

「あなたが人生で、最も多くの回数、会話をしている相手は誰でしょうか?」

えっ、親ですって? 違います。

長年結婚しているからパートナー? それも違います。

兄弟? 幼なじみの親友? いえいえ、どれも不正解です。

答えは「あなた自身」!

朝起きて、「まだ眠いな」「今日も会社か」「いい天気かな?」「今日は、朝イチで会議があったっけ」などなど。口には出さずに頭の中で思うだけでも、これらは全部、“自分から自分へ話しかけている会話”です。

この“自分との会話”は、1日に何万回にも及ぶこともあるといいます。

西氏は、この“自分との会話”を「脳内トーク」と呼び、その影響力の大きさを、ご自身の著書『世界一やさしい 自分を変える方法』の中で語っています。

まず、その著書から「脳内トーク」で使ってしまうと「脳の成長を止めてしまう危険な言葉」のベスト3(ワースト3?)を紹介しましょう。

脳の成長を止める、危険な3つの言葉は?

 うと脳の成長を止めてしまう、NG「脳内トーク」の代表は次の3つです。

●脳の変化を止めてしまう言葉①:「わからない」

ひとつめのNGワードは、「わからない」です。

西氏によると、この「わからない」という言葉は、脳にとってはとても危険な言葉なのだとか。

その理由は、「わからない」と言った途端に、脳が思考を止めてしまうから!

言われてみれば、思い当たります。

人から意見や感想を求められて、「わかりません」と答えてしまったら、それ以上は相手から何も聞かれないし、自分自身、それ以上考えもしませんよね。

脳内トークも同じ。

「電子メールとかSNSとか、よくわからないな」

「英語がわからないから、アメリカには住めないよ」

「マーケティングのことはわからないので、ただ、一生懸命に売るだけだ」

「わからない」と思った瞬間、そのことについて学ぼうとか、理解しようという思いが消えてなくなり、脳が諦めモードに入ってしまいます。

これでは脳の成長が止まってしまうのも道理です。
 
●脳の変化を止めてしまう言葉②:「できない」

これも、言った途端に、脳が思考することを諦めてしまう言葉とのこと。

「いい提案だけど、ウチの会社ではできないね」

こう言ってしまったら、もう改善の道は断念ですよね。

ちなみに西氏によると、世界の偉人と呼ばれる人たちは、共通して「できない」と言わないとのこと。

もっとも有名なのはナポレオンです。彼のもっとも有名な名言、「吾輩(わがはい)の辞書に不可能という文字はない」は、まさに、できないという言葉を自分の人生から排除する宣言のような言葉だったわけですね。

●脳の変化を止めてしまう言葉③:「知っている」

“えっ? この言葉もダメなの?”そう思った方も多いでしょう。この言葉が、脳の成長を止めてしまうというのは、少し意外で盲点だと思います。

どういうことかというと、「ああ、それはもう知っている」と思った瞬間に、脳はこれ以上学習する必要はないと判断して、思考を停止してしまうということです。

うまくいく人たちは、総じて謙虚です。一見知っている話も、「それはもう知っている」と決めつけずに、最後まで聞いてみる姿勢があります。

かつて「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助(パナソニック株式会社創業者)さんは、全国の店長会議のときに、知っていることでも、初めて聞く話のように傾聴していたそうです。

そうすることで、「知っていると思って聞くと見過ごしてしまう問題点」にも気づくことができ、学びになると考えていたといいます。

いかがですか?

3つとも、ついつい使っていませんでしたか?

NGワードを使ってしまったとき、この言葉でリカバーできる

西さんの著書では、これらの『脳の変化を止めてしまう言葉』を使ってしまったときに、それをリカバーするための言葉についても言及されています。

例えば「でも」というひと言。

NGワードを使ってしまったら、この「でも」という2文字をプラスして、後半の言葉を強引に続けてしまうのです。

ちょっとやってみましょう。

〇「電子メールとかSNSとか、よくわからないな……でも」

〇「いい提案だけど、ウチの会社ではできないね……でも」

〇「ああ、それはもう知っている……でも」

言葉の最後にこの2文字をプラスすると、脳内に何が起こるかというと、例えば次のような「続き」を、勝手に思考してくれるのです。

〇「電子メールとかSNSとか、よくわからないな……でも、やってみれば、意外と簡単かもしれない」

〇「いい提案だけど、ウチの会社ではできないね……でも、社長に経費の削減になることを伝えれば、実現できるかもしれない」

〇「ああ、それはもう知っている……でも、まだ知らない話が出てくるかもしれないから、このまま聞いてみよう」

このように、「でも」というたった2文字の言葉をプラスするだけで、脳の思考停止を防ぐことができるのだそうです。

ちなみに、この著書には「でも」の他にも、マイナスの状況をプラスに変える、さまざまな「脳内トーク」の事例が50種類以上も紹介されています。

脳の成長を止めてしまう3つのNGワード、「わからない」「できない」「知っている」に、ぜひ、ご注意を! 

そして、「あっ、使ってしまった!」と思ったら、すぐに魔法の言葉、「でも」をプラスして、脳が思考停止にならないようにしてみてください。

(参考:『世界一やさしい 自分を変える方法』西剛志著/アスコム社)

西沢泰生(にしざわ・やすお)
2012年、会社員時代に『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム)で作家デビュー。現在は作家として独立。主な著書『夜、眠る前に読むと心が「ほっ」とする50の物語』(三笠書房)『コーヒーと楽しむ 心が「ホッと」温まる50の物語』(PHP文庫)他。趣味のクイズでは「アタック25」優勝、「第10回アメリカ横断ウルトラクイズ」準優勝など。