2023年5月20日 今日の出来事

G7首脳声明、「核なき世界」へ具体的措置 ロシア侵攻停止、中国に協力要請 ウクライナ支援継続

先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は20日、広島市で2日目の討議を行い、首脳声明を発表した。岸田文雄首相が提唱した「核兵器のない世界」を究極的目標と位置付け、「軍縮・不拡散の取り組み強化へ具体的措置を取る」と強調。ロシアがウクライナ侵攻を停止するよう中国に協力を要請するとした。ウクライナに対し「必要なだけ支援する」とも明記した。

東アジア情勢に関しては「台湾海峡の平和と安定の重要性」を指摘し、軍事的圧力を強める中国をけん制した。経済安全保障分野では「デカップリング(分断)ではなくリスク低減に基づき経済安保政策を調整する」と記した。

先進7カ国(G7)と招待国首脳らによる拡大会合に臨む岸田文雄首相(中央)。右端はバイデン米大統領=20日午後、広島市南区のグランドプリンスホテル広島

岸田首相、相次ぎ首脳会談 インド・インドネシア・ブラジルと

岸田文雄首相は20日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)出席のため来日したインドのモディ首相、インドネシアのジョコ大統領、ブラジルのルラ大統領と個別に会談した。岸田首相と各首脳は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持する重要性について一致し、連携していくことを確認した。

インドは2023年の主要20カ国・地域(G20)、インドネシアは23年の東南アジア諸国連合(ASEAN)、ブラジルは24年のG20の議長国をそれぞれ務める。岸田首相はG7サミットの成果を各国際会議の成果につなげると説明しており、首脳会談では国際会議に向けた連携を確認した。

日印首脳会談では、国際社会が直面する諸課題に幅広いパートナーが協力して対応する重要性を確認。自由で開かれたインド太平洋の重要性への認識も共有した。

日インドネシア首脳会談では、日本とASEANの友好協力関係50周年を記念して12月に東京で開催される特別首脳会議の成功に向けて連携することで一致。岸田首相はインドネシアが計画する首都移転に協力すると表明し、ジョコ大統領は歓迎した。

日ブラジル首脳会談で、岸田首相はブラジルが25年の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開催国へ立候補したことを歓迎。ブラジルに保健医療分野で300億円の円借款を実施する意向を示したほか、ブラジルからの短期滞在者向けに査証(ビザ)免除措置導入の手続きを開始すると表明した。

ゼレンスキー大統領が来日 G7広島サミット会場入り

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日午後、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に参加するためフランス政府専用機で広島空港に到着した。車でサミットの主会場ホテルがある広島市南区の宇品島に入った。ロシアの侵攻を受けるウクライナは大規模な反転攻勢を準備しており、ゼレンスキー氏は今月欧州や中東を回って支援を要請。G7首脳が集う日本訪問は、対ロシアで国際社会の後ろ盾強化を図る外交の総仕上げとなる。

ゼレンスキー氏は到着後「日本。G7。ウクライナのパートナーや友人との重要な会合となる。勝利に向けた安全保障と協力強化。今日、平和がより近づく」とツイッターに投稿した。

ウクライナ外交筋によると、ゼレンスキー氏は21日午後に広島で演説する見通し。日本政府関係者によると、21日に岸田文雄首相と個別会談するほか、原爆資料館を訪問する方向で調整に入った。滞在中にバイデン米大統領とも個別会談する。核使用をちらつかせるロシアのプーチン大統領に連帯して対抗するよう被爆地から訴える。

広島空港に到着したウクライナのゼレンスキー大統領=20日午後

米、F16供与容認 ウクライナ支援で方針転換

サリバン米大統領補佐官は20日、広島市内で記者会見し、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの米国製戦闘機F16供与を米国として容認する考えを明らかにした。慎重だった米国の方針転換により、「戦車連合」に続く米欧の「戦闘機連合」が動きだし、ウクライナ情勢が新たな局面を迎える可能性がある。

バイデン米大統領は19日、先進7カ国(G7)各国首脳に対し、ウクライナ兵に対するF16など第4世代戦闘機の操縦訓練を支持すると伝達した。ウクライナのゼレンスキー大統領の来日が大きな注目を集める中、対ロシアでG7の団結を最重要課題の一つに掲げていたバイデン氏としては、これまでを一段上回る支援を打ち出す必要に迫られていた。

方針転換の理由について、サリバン氏は「ウクライナが将来の戦力として何を必要としているか、先を見据える時期に来た」と説明。「今後数カ月で訓練が行われる中で、戦闘機がいつ、どの国から、何機輸送されるのか、同盟国と共に決める」と語った。

F16戦闘機

バイデン米大統領、核廃絶へ「共に進む」 原爆資料館での記帳公表

日本政府は20日、先進7カ国(G7)首脳が19日に広島市の平和記念資料館(原爆資料館)を訪問した際の芳名録への記帳内容を公表した。バイデン米大統領は「世界から核兵器を最終的に永久になくせる日に向け、共に進んでいきましょう」と記した。

岸田文雄首相は「歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に『核兵器のない世界』を目指すためにここに集う」とつづった。

【詳細記事】
【芳名録】主要7カ国首脳らの広島平和記念資料館での記帳内容

【1年前の今日の出来事】 2022年5月20日