今日の出来事(2022年5月5日) 岸田首相 6月に水際対策大幅緩和の考えを表明

岸田首相、「資産所得倍増プラン」を表明 貯蓄から投資へ誘導

岸田文雄首相は5日(日本時間同)、ロンドンの金融街・シティーで講演し、自身が掲げる経済政策「新しい資本主義」の具体策として、日本の個人金融資産約2000兆円を貯蓄から投資へと誘導する「資産所得倍増プラン」を始めると表明した。人材投資や先端技術開発にも積極的に取り組むとし、「安心して日本に投資してほしい。インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」と呼びかけた。

首相は、行政が民間の呼び水となって、格差拡大や地球温暖化問題といった社会課題の解決を図るのが「新しい資本主義」だと説明。急成長を続ける権威主義的国家に対抗するためにも「官民連携で新たな資本主義をつくっていく」とした。

その具体策の一つとして資産所得倍増プランに取り組むとし、「眠り続けてきた1000兆円単位の預貯金をたたき起こし、市場を活性化する」と述べた。首相は、日本の個人金融資産の半分以上が現預金で保有され、「その結果、この10年間で米国では家計金融資産が3倍、英国は2.3倍になったのに、我が国では1.4倍にしかなっていない」と説明。「ここに日本の大きなポテンシャルがある」とし、少額投資非課税制度(NISA)の拡充や預貯金を資産運用に誘導する仕組みの創設などを通じて「投資による資産所得倍増を実現する」とした。

新しい資本主義では、人▽科学技術・イノベーション▽スタートアップ(起業)▽グリーン・デジタル――への投資を重点的に進めるとした。特に人への投資を巡っては「賃上げ税制を導入するなど、官民連携して賃上げの社会的雰囲気を醸成する」と述べた。温室効果ガスの排出削減に向け「今後10年間で官民協調により150兆円の新たな関連投資を実現する」とも語った。

ギルドホールで、基調講演をする岸田文雄首相=2022年5月5日午前9時15分、ロンドン

岸田首相 6月に水際対策大幅緩和の考えを表明

岸田首相は日本時間5日、イギリス・ロンドンの金融街シティで講演し、日本の水際対策を6月に大幅に緩和する考えを示した。

岸田首相は講演で「オミクロン株の世界的拡大を受けて水際対策を強化したが、国内への流行をできるだけ遅らせ、医療提供体制やワクチン接種を進めるために必要なことだった世界的に見ても、日本のコロナ対応は成功している」とした上で、「現在では水際対策の大幅な緩和を実現し、6月には他のG7(=主要7カ国)並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を更に緩和していく」と述べ、6月に水際対策を大幅に緩和する考えを示した。

全国の新規感染、前週比で半減 新たに2万779人 新型コロナ

新型コロナウイルスの感染者は5日、全国で新たに2万779人確認された。前週の木曜日に比べて半減した。死者は18人、重症者は166人だった。

東京で新たに2320人の感染確認 前週下回る 新型コロナ
東京都は5日、都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに2320人確認されたと発表した。前週の木曜日を約3000人下回った。新たに4人の死亡も確認された。

マリウポリから民間人300人超退避 国連が声明

ロシアが侵攻するウクライナで民間人退避を支援する国連の当局者は4日、ウクライナ南東部マリウポリや近隣の村から計300人以上の民間人が退避し、南部ザポロジエで人道支援を受けているとの声明を発表した。

今回退避した中にマリウポリのアゾフスターリ製鉄所からの人々が含まれているかどうかは不明。今回の退避も国連と赤十字国際委員会(ICRC)が仲介したとしている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、3日までに実施された1回目の退避では、製鉄所から101人の民間人が退避した。

南東部マリウポリから避難してきたウクライナの人々=3日、南東部ザポロジエ

日本人63人の入国禁止 岸田首相や報道幹部ら対象―ロシア

ロシア外務省は4日、ウクライナ侵攻を受けて日本政府が発動した対ロシア制裁への報復措置として、岸田文雄首相ら日本人63人のロシア入国禁止を発表した。期間は無期限。

発表によれば、松野博一官房長官、林芳正外相、鈴木俊一財務相、岸信夫防衛相、古川禎久法相らのほか、国会議員や北方領土返還要求運動の関係者、報道関係者、識者も入国禁止の対象になった。報道関係者では渡辺恒雄読売新聞グループ本社主筆らが含まれた。

中国・北朝鮮にらみ安保戦略すり合わせの方針 日米防衛相会談で確認

岸信夫防衛相は4日(日本時間5日未明)、米首都ワシントン郊外の国防総省でオースティン国防長官と会談した。日米同盟の抑止力と対処力の強化を急ぐと同時に、日本政府が国家安全保障戦略を改定することを念頭に双方の安全保障戦略を緊密に擦り合わせていくことを確認した。オースティン氏は、核戦力を含む抑止力で日本を守る「拡大抑止」について、「米国の関与は揺るぎない」と述べた。

会談する岸防衛相(左端)とオースティン米国防長官(右端)

中国で旧指導者礼賛の文章拡散 新型コロナ対策批判が目的か

新型コロナウイルス感染が広がる中国で、1980年代の最高実力者、故鄧小平氏や朱鎔基(しゅようき)元首相(93)による当時の上海市での疫病対応を礼賛する文章が出回っている。台湾メディアが4日までに報じた。習近平指導部の強権的な「ゼロコロナ」政策や、ロックダウン(都市封鎖)を続ける上海市トップへの不満が背景にあるようだ。

台湾メディアの「上報」によると、文章は通信アプリ上で出回り、88年に上海市で約30万人がA型肝炎に感染したことを描いている。鄧氏が上海市を訪れて市民を安心させたことや、当時市長だった朱氏が「上海が威風を取り戻す日はすぐに来る」と宣言し、リーダーシップを発揮したことが記載されている。

爬虫類21%に絶滅の恐れ 米環境団体「緊急対策が必要」

ヘビやトカゲなど世界に生息する爬虫類の21%の種に絶滅の恐れがあるとの評価結果を、米国の環境団体ネーチャー・サーブなどがまとめた。これまで他の生き物と比べ評価が進んでいなかったが、カメやワニは半数程度が絶滅の危機に直面していると判明し「緊急の対策が必要だ」と警告した。約1000人の専門家から爬虫類1万種余りの情報を集めて評価した。

【1年前の今日の出来事】 2021年5月5日