2021年10月4日

岸田文雄氏、第100代首相に選出 衆院選を19日公示、31日投開票
自民党の岸田文雄総裁(64)は4日午後の衆参両院本会議の首相指名選挙で、第100代首相に選出された。岸田氏は首相官邸に組閣本部を設置し、皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て新内閣を発足させる。新政権は新型コロナウイルス対策を最重要課題に掲げ、コロナ禍で傷んだ経済の立て直しと、所得分配を重視する「新しい資本主義」の構築に取り組むとしている。

また、岸田氏は臨時国会会期末の14日に衆院を解散し、衆院選を19日公示、31日投開票の日程で行う方針。

対中戦略、バイデン政権は連携期待 「岸田首相は方向性一致」
バイデン米政権は、中国との戦略的競争を見据え、「自由で開かれたインド太平洋」構想や日米豪印4か国(通称クアッド)協力の具体化を進めるため、岸田政権との連携に期待する。

米政府は日本を「不動の同盟国」(米国務省)とみており、岸田文雄首相が日米同盟重視の外交路線を引き継ぐことを歓迎している。日米関係に詳しい米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)のニコラス・セーチェーニ日本部副部長は「米国は自民党政権には戦略的な継続性があるとみている。岸田氏は自民党総裁選で、経済安全保障や人権問題の重要性も指摘しており、バイデン政権の方向性と一致している」と分析する。

岸田氏は、自衛隊の打撃力強化も含め、国家安保戦略の改定に向けた議論を進める方針を示しており、セーチェーニ氏は「日本国内の議論と並行し、日米協力の文脈でも検討が進む。中国からの激しい威圧や北朝鮮の核・ミサイルの脅威を考えると、抑止力の議論は非常に重要だ」と指摘した。

習近平主席「中日両国は一衣帯水の関係」 岸田首相に祝電
中国の習近平国家主席(共産党総書記)は4日、岸田文雄首相に祝電を送った。習氏は「中日両国は一衣帯水の関係にあり、両国の友好的で協力的な発展は、両国民の基本的な利益だ」と表明した。国営新華社通信などが伝えた。

祝電で習氏は「中日は(1972年の日中共同声明など)『四つの政治文書』で確立された原則を順守し、対話を通じて相互信頼と協力を強化し、新時代に合った中日関係の構築に努めるべきだ」と強調した。また、李克強首相も祝電を送り「中日双方は正しい軌道に沿った2国間関係の発展を促進し、来年の中日国交正常化50周年を迎えるべきだ」と呼びかけた。

文在寅氏「日韓関係を未来志向に、共に努力しよう」 岸田首相選出に
岸田文雄氏の首相選出を受け、韓国の主要メディアは4日、「韓日慰安婦合意の当事者である自民党総裁が、日本の新首相に選ばれた」(中央日報)などと速報した。また文在寅大統領は「韓日関係を未来志向的に発展させるために共に努力しよう」との祝賀メッセージを送った。

青瓦台(大統領府)は、文氏が「民主主義と市場経済という基本価値を共有し、地理的、文化的に最も近い国として、韓日両国が協力していくことを期待している」と説明。「韓国政府は、両国の懸案はもちろん、新型コロナウイルスや気候危機などのグローバルな課題も互いに知恵を出し合って解決することを期待する。日本の新内閣と対話し、疎通する準備ができている」と強調した。

韓国内では徴用工や慰安婦などの歴史問題で冷え込んでいる日韓関係は基本的に変わらないとの見方が大勢だが、韓国政界からは岸田氏について「経済政策や近隣国との関係を重視してきた印象があり、両国関係にとって良いことだ」(韓国の元副首相で、韓日議員連盟の金振杓(キムジンピョ)会長)と期待する声も出ている。

岸田新総裁選出から政権発足まで、株価千円下落 「物足りぬ」指摘も
岸田政権が発足した4日、東京株式市場は日経平均株価が6営業日連続で下落し、この間の下げ幅が1800円超に拡大した。米中経済への先行きに対する懸念が大きな要因だが、政権刷新の物足りなさが一因と指摘する市場関係者もいる。衆院選を控え、市場は岸田文雄首相の「次の一手」に注目している。

全国で新たに602人感染確認 2日連続で1000人以下
新型コロナウイルスの感染者は4日、全国で新たに602人確認された。2日連続で1000人を下回った。重症者は前日から3人減って693人、死者は24人だった。東京都では87人が確認され、1日あたりの感染者数は2020年11月2日以来、約11カ月ぶりに100人を下回った。都の基準で集計した重症者は前日から11人減って77人になった。

韓国と北朝鮮の連絡回線、2か月ぶり復旧 韓国統一省が発表
韓国統一省は4日、北朝鮮との通信回線が同日午前9時(日本時間同)に復旧したと明らかにした。これに先立ち、北朝鮮国営の朝鮮中央通信も同日朝、「午前9時からすべての通信回線を復旧させる」と報じていた。北朝鮮が米韓合同軍事演習に反発し、8月10日に回線を遮断してから約2か月ぶりの復旧となる。