2021年4月13日

処理水の海洋放出は2年後めど 政府決定
東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水を浄化した後の処理水について、政府は13日、関係閣僚会議を開き、海洋放出する方針を正式に決めた。専用設備の工事や審査などを経て、2年後をめどに海洋放出に着手する。残留する放射性物質トリチウムは濃度が国の基準の40分の1未満になるよう薄める。2041~51年ごろの廃炉完了目標までに放出を終える予定だ。

全漁連会長「容認できない、強く抗議」 処理水海洋放出決定
政府が福島第1原発の処理水を海洋放出する方針を決めたことを受け、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は13日、「7日に反対を申し入れ、慎重な判断を求めたにもかかわらず決定されたことは極めて遺憾であり、到底容認できるものではない。強く抗議する」との声明を発表した。

声明は、海洋放出決定について「福島県のみならず全国の漁業者の思いを踏みにじる行為」と批判。「今後とも反対の立場はいささかも変わらない」とした。その上で政府に対し、反対意見がある中で方針を決定した理由の説明▽風評被害への対応▽処理水の安全性の担保▽漁業者が漁業を続けるための方策の提示▽福島第1原発敷地内での汚染処理水の保管継続や新たな処理方法の検討、を強く求めた。

IAEA、技術協力を表明 海洋放出、「国際慣行に沿う」
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は13日、日本政府が東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を決めたことを受けて声明を出し、放射性物質のモニタリングなどの技術協力を提供する用意があると表明した。海洋放出は「技術的に実行可能で、国際慣行に沿う」としている。韓国など周辺国が懸念を示す中、IAEAの関与は、国際社会への透明性を確保するために重要な意味を持つ。

グロッシ氏は「日本政府の決定は、廃炉作業の一段の進展に向けた節目になる」と評価。海洋放出について、「安全性や環境への影響の評価に基づいた規制の下、世界で日常的に行われている」と指摘した。一方で、福島第1原発は「水量の多さという点で、特別で複雑な事例」になっているとも認めた。その上で「すべての利害関係者」が関与し、透明性を確保して放出作業を進めるべきだと強調した。

大阪の新規感染者は1099人 初の1000人超え 新型コロナ
大阪府は13日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1099人確認されたと発表した。1日あたりの新規感染者が1000人を超えるのは府内で初めて。吉村知事は「非常に厳しい状況で、医療体制も極めてひっ迫している」と強い危機感を示した上で、不要不急の外出の自粛など一人一人の感染対策の徹底を改めて強く求めた。

政府、愛知と埼玉に「まん延防止」適用へ 神奈川、千葉も検討
政府は13日、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」を愛知、埼玉両県に適用する調整に入った。両県による正式要請を受け次第、適用に向けた手続きに入る。感染拡大が懸念されている神奈川、千葉両県への適用も検討する。早ければ菅義偉首相が訪米する当日の15日に適用を決める方針だ。