韓国 13億円の支援にゼレンスキー演説も議員50人 無関心なワケ

空席が目立ったゼレンスキー大統領の韓国国会での演説 国際

韓国 13億円の支援にゼレンスキー演説も議員50人 無関心なワケ(Korea World Times  2022/05/09 投稿: 青山 誠)

アジアの無関心=韓国

ゼレンスキー大統領は、各国の議会でオンライン形式の演説を行いウクライナの惨状世界に訴えた。

3月23日には、日本の衆議院第1議員会館でも開催され、岸田首相をはじめ約500人の衆参議員を詰めかけて会場は満席。大統領の演説が終わると、スタンディングオベーションで拍手の嵐が巻き起こった。

欧米諸国と同様、日本の議会でもウクライナ紛争への関心は高いようである。

しかし、ロシア極東大学のアルチョム・ルーキン教授に言わせれば「日本は例外」なのだとか。彼はツイッターで、

「アジアはウクライナに関心がない」

と、嘆くような書き込みをしている。それが、韓国では物議を醸しているようだ。

なにしろ、ロシア人教授を嘆かせた「アジアの無関心」は、韓国国会でのゼレンスキー大統領演説を例にとって語られたからだ。

また、ロシア側では韓国国会の事例を宣伝扇動に使っているふしもある。となれば、欧米から“戦犯”認定されることにもなりかねない。

韓国がウクライナに無関心なのはなぜ?

ゼレンスキー大統領が、韓国国会でオンライン演説を行ったのは4月11日のこと。

朝鮮日報の報道によれば、国会議員300人中、出席者は50人前後。他国と比べて出席率はかなり低く会場は空席が目立つ。

スマートフォンをいじったり、居眠りをする議員も多かったとか。演説終了後は拍手喝采もなく、白けた雰囲気が漂っていたという。

確かに、ルーキン教授がツイッターで発信した「ウクライナに関心がない」を証明するような眺めではある。

また、韓国の冷淡さは援助の面でも現れている。

韓国政府は、3月にウクライナへ1000万ドル(約13億円)の人道支援を行ったが、他国と比較するとかなり少ない。

米国やEU以外の国々でもウクライナへの支援はかなり手厚い。

たとえば、日本では1億ドル(約130億円)の人道支援に加えて、さらに1億ドル規模の借款による支援を決定している。

カナダも最高5億ドル(約650億円)とガスマスクなど軍需物資供与を発表し、オーストラリアでも7000万ドル(約91億円)相当の軍事支援を行うとしている。

しかし、このような韓国の態度は、関心が薄いというよりも、「怖いものは見たくない」という恐怖がその根底にあるとも言われる。怖いものは見て見ぬふり…、そんな感じか。

韓国人を縛り続ける「恐(おそ)ロシア」の呪縛

韓国はかつて朝鮮戦争で戦った北朝鮮、中国、ロシアとは陸続きで対峙している。

韓国という国の歴史は、常に北からの脅威にさらされてきた。冷戦の終焉後は、これらの旧敵国と融和することによって脅威の軽減に努めている。

なかでも最大の軍事力を誇るロシアには、李氏朝鮮や大韓帝国の時代から圧迫され続けてきた。恐怖は国民の遺伝子の中にまで染みついている。海という自然の防壁に守られた日本とは感じる脅威のレベルが違う。

絶対に対立してはならない相手。刺激したくはない。だから、自国には関係のないウクライナ問題に足を突っ込むことは避けて、冷淡な態度を取り続ける。

また、近年の韓国は、南方の日本を第1の仮想敵国としている感も強い。

四方に敵を作るのは愚策。日本との関係を考えると、ロシアは味方につけておきたい国だ。

ウクライナ紛争で孤立した状況では、韓国の出方次第で高感度をぐんと上昇させる好機とも思っているか。

しかし…、ロシアに配慮し続ける韓国の態度を米国がいつまでも許してくれるか。

欧州メディアの批判的な記事で動き始める韓国人

朝鮮戦争は休戦状態でまだ継続している。北朝鮮に釜山まで追い詰められ滅びる寸前だった韓国の窮地を救ったのは、米国やヨーロッパ諸国を中心に編成された国連軍である。

その同盟国が一丸となってウクライナ救済に動いている状況で、韓国の態度は裏切りとも取られかねない。さて、どうする。

ちなみに、韓国国会でのゼレンスキー大統領の演説は、多くの欧米メディアの記者たちも見ていた。

欧州の新聞では、会場の冷めた様子を批判するような記事が書かれたという。

韓国の新聞記者たちも、これはまずいと感じたのだろうか。政権寄りの左派系ハンギョレ新聞をはじめ各紙で、議員たちの国際感覚や共感力の欠如を疑問視する記事が目立つ。それで国民たちも騒ぎ始めたのだ。

他人事には無関心で人の話は聞かない。が、他人から自分がどう見られているか、その評価をやたら気にする。そんな韓国人気質がよく現れているような…。

国際情勢には鈍感だが、民意には敏感な韓国政治だけに、今後は早急に軌道修正が図られる可能性もある。

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)、近著『日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社、2021年)。「さんたつ by 散歩の達人」で連載中。