原発をグリーンエネルギーに認めるか否かでEUは分裂 日本の元首相5人が認定反対の書簡をEUに送付

稼働停止したドイツのグローンデ原発 科学・技術

原発は「グリーンエネルギー」と言えるか? 「脱原発vs原発回帰」でEU分裂

原発は「グリーンエネルギー」と言えるか?「脱原発vs原発回帰」でEU分裂(Newsweek 2022年1月12日(水)12時00分)

<脱炭素の過程における原子力発電を認めるか否かで、ドイツとフランスなど方針が異なる国同士でEUが割れている>

EUの欧州委員会は1月1日、脱炭素化への過程で原発を「グリーンエネルギー」に認定し活用する方針を発表したが、EU内は支持と不支持で割れている。

脱原発を掲げるドイツは反対し、2045年までに温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すための「つなぎ」の電源としては天然ガスを重視すると強調した。

EU諸国の中ではオーストリアとルクセンブルクも原発に反対しているが、チェコやフィンランド、フランスは化石燃料から脱却するには原発が不可欠だと考えている

ドイツは昨年12月末に国内に残る6基の原発のうち3基を停止。今年末までに残る3基を停止する予定だが、隣国のフランスは既存の原発の改良や新規設営を目指すなど原発回帰路線だ。

原発は二酸化炭素をほとんど出さないが、有害な放射性廃棄物が残り続ける。一方で天然ガスも、燃やせば石炭ほどではないものの二酸化炭素を排出すると、環境保護主義者たちは批判している。

日本の元首相5人がEUに書簡 原発「グリーン」に認定反対

日本の元首相5人がEUに書簡 原発「グリーン」に認定反対(共同通信 2022/1/29 15:27 JST)

欧州連合(EU)欧州委員会が今月、発電時に二酸化炭素を出さない原発を地球温暖化対策に資する“グリーン”な投資先として認定する方針を示したことに対し、小泉純一郎氏ら日本の首相経験者5人は29日までに、原発推進は未来を脅かす「亡国の政策」だと批判し、方針撤回を求める連名の書簡をフォンデアライエン欧州委員長に送った。

正式に認定されれば、原発事業に対する資金調達が容易になり、日本の原発政策にも影響を与える可能性が指摘される。

書簡は27日付。ほかの4人は細川護熙、菅直人、鳩山由紀夫、村山富市の各氏。