洋上風力発電のメリットとデメリット

洋上風力発電_メリット・デメリット 科学・技術

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洋上風力のポテンシャルは日本の年間電力消費量を軽く超える

洋上風力発電 日本の本当のポテンシャルと開発競争の行方は(小森岳史 EnergyShift 2021/10/22)より抜粋

10月7日・8日に世界風力会議(GWEC)の「世界洋上風力サミット 日本」に登壇したGWECのAlastair Dutton氏の発言が話題になっている。

オンライン講演を紹介している日経クロステックの記事によると、日本は1,897GW(着床式122GW、浮体式1,775GW)の洋上風力発電のポテンシャルがあり、日本の現在の年間電力消費量のなんと7.5〜8倍になるというのだ。つまり、洋上風力発電だけで日本の電力消費がまかなえるというのだ。

もちろん、これはあくまで理論上の可能値であり、そのまま鵜呑みにできる数字ではない。一方で、洋上風力発電は陸上風力発電に比べても有望視されていることは世界の潮流でもある。特に陸地面積が狭く、まわりを海で囲まれている日本ではなおさらだ。日本のグリーン成長戦略でも洋上風力発電への期待は謳われている。

風力発電とは

風力発電とは? 導入拡大が期待される理由(EnergyShift 2021/02/25)より抜粋

風力発電は、ブレードが回転することで発電する、風の力を利用した発電方式です。地上に建設される「陸上風力発電」と、海や湖などに建設される「洋上風力発電」の2種類に大別され、洋上風力発電はさらに以下の2種類に分類できます。

◯ 着床式洋上風力発電・・海底に支持構造物を埋め込み、固定される洋上風力発電
◯ 浮体式洋上風力発電・・海中に浮体構造物を建設し、水深が深い洋上でも建設を可能とする洋上風力発電

着床式洋上風力発電の場合、水深50mを超えた付近から採算性が悪化するため、水深が50mよりも深い場合には浮体式洋上風力発電が適しています。日本は遠浅の海岸が少なく、着床式洋上風力発電が適したエリアが狭いことから、浮体式洋上風力発電の導入拡大に期待が寄せられています。

ただし、福島県沖に建設され、実証実験が行われていた浮体式洋上風力発電は、採算がとれず2021年度中に撤去されることとなりました。

洋上風力発電は、水上に設置するため陸上風力発電より丈夫さが求められ、波風にさらされるためメンテナンス費用もより多くかかります。そのポテンシャルに注目が集まる一方、まだ複数の課題を抱えている発電方式ともいえるでしょう。

風力発電のメリット

風力発電には、他の再生可能エネルギーが備えているメリットを含め、多くの優れた点を有しています。ここでは4つの観点から風力発電のメリットをご説明します。

二酸化炭素を排出しない

風力発電は他の再生可能エネルギーと同様、CO2の排出量が少ないため、地球温暖化防止の観点では優れた発電方式です。

エネルギー源が枯渇しない

日本はエネルギー自給率が乏しく、主要電源である火力発電の燃料は大部分を輸入に頼っています。

一方、風を利用して発電する風力発電は、エネルギー源が無尽蔵であり枯渇の心配はありません。風を含むあらゆる再生可能エネルギーは、日本が自国内で調達できるエネルギー資源であるため、風力発電の導入量拡大は国内におけるエネルギー自給率の改善にも効果を発揮します。

昼夜を問わず発電できる

再生可能エネルギーのうち、太陽光発電は時間帯や天候の良し悪しによって発電量が変動し、夜間や曇天・雨天時には満足に発電できません。

一方、風力発電も天候に発電量を左右される点では同じですが、昼夜問わず、一定以上の風速があれば発電します。風力発電は太陽光発電とは異なり、発電が日中だけに限定されないという点がメリットの一つであります。

陸上にも洋上にも設置できる

再生可能エネルギーのうち、特に水力発電や地熱発電は発電設備を建設できる条件が厳しく、水力発電であれば河川の付近、地熱発電であればマグマにより生じた地熱貯留層の上でなければなりません。

対して、風力発電は採算性の課題があるものの、発電設備を陸上はもとより、海上にも設置可能です。特に洋上風力は導入促進に伴う各種コストの低下が予想されており、今後の主力電源として期待されております。

変換効率が優れている

風力発電の発電効率は20~40%程度です。太陽光発電や地熱発電、バイオマス発電の発電効率は20%程度と風力発電に劣っており、再生可能エネルギーのなかでは水力発電に次いで効率面で優れています。

また、他の再生可能エネルギーに比べて、発電コスト(発電量あたりのコスト)が低く、大規模な発電が可能であればコストは火力発電と遜色ありません。

風力発電のデメリット

多くのメリットを持つ風力発電にも、いくつかのデメリットがあります。

◯ 発電量が風速に左右される
◯ 洋上風力発電は採算性に課題がある
◯ 陸上風力発電は建設場所が限られている

日射量により発電量が変動する太陽光発電のように、風力発電も風速によって発電量が左右されます。

また、前述の通り洋上風力発電は採算性に課題があり、実証実験のために約600億円の国費が投じられた浮体式洋上風力発電は、コスト面の問題により2021年に撤去されることが決まっています。条件次第では採算をとることが困難であることもデメリットの1つでしょう。

陸上風力発電に関しては、回転するブレードや増速機から生じる音が騒音苦情に発展することを防ぎつつ、一定以上の風量がある建設場所を探さなければなりません。近隣住宅との位置関係に配慮しつつ、風況の優れたエリアでなければ発電が難しい点にも課題があります。

コメント

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