第三次世界大戦「2035年までに勃発」と専門家の「4割超」が予測…核戦争、宇宙戦争も警戒(国際調査)

第三次世界大戦「2035年までに勃発」と専門家 国際

第三次世界大戦「2035年までに勃発」と専門家の「4割超」が予測…核戦争、宇宙戦争も警戒(国際調査)(Newsweek 2025年03月06日(木)18時04分)

<専門家357人への調査によれば、「10年後、世界は現在より悪くなっている」と回答したのは62%。世界は米中の陣営に二分されると予測する専門家は約半数に上った>

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領がウォロディミル・ゼレンスキー大統領を脅してまでウクライナ和平交渉を急ぐ背景には中国の台頭と米国の衰退がある。新世界秩序の構築は第二次大戦後の世界秩序を壊すことでもあり、世界の不安定化は避けられない。

米シンクタンク「大西洋評議会」スコークロフト戦略安全保障センターはトランプ氏が大統領選で返り咲きを決めた昨年11月下旬から12月上旬にかけ世界の国際戦略家や未来予測の専門家357人に2035年までに世界がどう変わっているかを尋ねた。

回答者の62%は「世界は現在より悪くなっている」と予想し「良くなっている」との答えは38%。トランプ氏はゼレンスキー氏が「第三次大戦を賭けている」となじったが、40.5%が10年以内に新たな世界大戦が起こると予想していた。

米中の戦略的競争がより危険な状態に

1年前の調査では回答者の4分の1近くが世界の繁栄にとって最大の脅威は大国間の戦争と指摘していた。元米国務省高官フィリップ・ゼリコフ氏は世界大戦の可能性を20~30%と見積もり、今後1~3年以内に「最大の危険期」が訪れると警告している。

大国間の多面的な紛争を伴う第三次大戦には核兵器が使用され、宇宙空間にまで拡大する恐れがある。48%(第三次大戦を予想した回答者では63%)は今後10年以内に少なくとも1つの勢力が核兵器を使用すると予想した。

45%(第三次大戦を予想した回答者では60%)は今後10年以内に宇宙空間で直接的な軍事衝突が起こると予想。28%が世界の繁栄に対する最大の脅威として主要国間の戦争を挙げた。米中の戦略的競争と地政学的な緊張がより危険な状態に悪化すると懸念する声が多かった。

「ロシアとNATOが直接的な軍事衝突」45%

1年前よりも台湾を巡る軍事衝突の可能性を予想する傾向が大幅に強まっている。米国が台湾を支援し、中国に対抗する可能性がある。65%が今後10年以内に中国が台湾を武力で奪還しようとするだろうと予想した。第三次大戦を予測した回答者ではその割合は79%にのぼった。

大国間の紛争につながる恐れがあるのは米中対立だけではない。45%が今後10年以内にロシアと北大西洋条約機構(NATO)が直接、軍事衝突する可能性があると考えていた。1年前の調査の29%から大幅に増えていた。第三次大戦を予測した回答者では69%に達した。

回答者のほぼ半数が今後10年以内に中国、ロシア、イラン、北朝鮮が正式な同盟国になるとみている。47%は35年までに世界は米中の陣営にほぼ二分されると分析。46%がロシア、イラン、中国、北朝鮮が正式な同盟国となり新たな枢軸が形成されると考えていた。

イスラエルとイランは直接戦争になる

イランは新たな核保有国となる可能性が最も高い国だが、88%は今後10年間に少なくとも1つの国が新たに核兵器を保有すると分析。73%が今後10年以内にイランが核兵器保有国になるとみていた。3分の1以上がイスラエルとイランの直接戦争を予想していた。

1年前の調査では4分の1が「韓国が核兵器を入手する」と答えたのに対し、今回その割合は40%にハネ上がった。唯一核兵器の攻撃を受けた国である日本が核兵器を保有すると予想する回答は19%から29%に上昇した。48%が今後10年間に核兵器が使用されると予想していた。

10年後も米国が引き続き軍事的な優位性を維持していると考える回答者は71%。しかし経済、文化、外交分野で米国が優位を占めているとの回答は少数派で、経済力に関しては49%だった。1年前の調査と比べ米国が優位性を維持しているという回答はどの分野でも低下していた。