大震災から10年 復興よりも忖度・身内優先の政治 原発は着実に再稼働・新建設へ

福島第一原子力発電所道路標識 政治・経済・社会

東日本大震災からちょうど10年。原発事故を起こした福島では、今なお3万人を超える人々が故郷に戻れず、避難生活を強いられている。破損した原子炉の廃炉作業は遅れている。ALPS処理水はどうするのか、目処は立っていない。

そんな中、菅総理のカーボンニュートラル宣言を受けて、政府は原発再稼働さらには新建設に向けて動き出した。

また、30年以内に首都直下型地震や南海トラフ地震が懸念されるが、危機管理は大丈夫か。忖度政治や身内優先政治は国民の命を守ってくれるのか。

脱炭素で勢いづく原発再稼働、さらには原発新建設

政官業「原発復権」合唱 脱炭素のため? 新増設の芽残す(朝日新聞 2021年3月7日 7時30分)より

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故から10年を迎える今年、政府は国のエネルギー政策の方向性を決める「エネルギー基本計画(エネ基)」を改定する。

未曽有の事故を目の当たりにした当時、多くの国民が日本のエネルギー政策のあり方を真剣に考えさせられた。あれから10年。脱炭素という大方針が打ち出され、改めて国民的な議論が必要ないま、政策決定の現場では、変わらぬ光景が繰り返されている。

エネ基の改定を検討する経済産業省の審議会。議論が本格化した昨年末の会合は、「原発復権」を求める委員の大合唱となった。

(原発の)新増設の準備を始めるべきだ」と、元経産官僚の豊田正和・日本エネルギー経済研究所理事長が口火を切ると、「新規建設を正当に評価すべきだ」(原子力工学が専門の東大大学院の山口彰教授)、「小型炉など新しい原発は安全性や信頼性がいいという整理を」(NTTの澤田純社長)と、原発の新増設を求める声が相次いだ。

もともと原発推進派の委員が目立つ審議会だが、菅義偉首相が昨秋、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると表明したことで、その勢いが一気に増している。政府の脱炭素宣言をてこに、国内で原発復権をめざす動きが強まっているのだ。

震災10年の節目で、原子力をもう一度立て直す必要がある」(閣僚経験者)

2月24日、自民党の二階俊博幹事長が本部長を務める脱炭素実現のための党の会合でも、出席議員からは原発を後押しする声が続出した。昨年11月の会合には、大手電力を束ねる電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)も出席。「新増設やリプレース(建て替え)が不可欠だ」と気勢を上げた。今夏にも決まる見込みの新たなエネ基に意見を反映させたい考えだ。

12年末に自民党が政権交代を果たし、第2次安倍晋三政権が発足。以来、経産省は原発の必要性を突き詰める議論を避けつつ、原発回帰への布石を打ち続けてきた。審議会メンバーに原発推進派を多く起用して議論を進め、14年の震災後初のエネ基の改定で、原発を「重要なベースロード電源」と明記。再稼働を後押しすることも打ち出した。

そこで経産省は翌15年、30年度にめざす電源構成の政府目標で原発比率を高めに置くことに注力した。それがいまの原発比率「20~22%」という目標だ。既存原発が30基ほど動けば、新増設なしでも達成できるが、実現は相当難しく、「将来、代替策として新増設につながる可能性がある数字だった」と狙いを明かす元資源エネルギー庁幹部もいる。

「被災者の皆さんの心に寄り添う」は口だけ

【社説】東日本大震災から10年 「想定外」に備える政治を(北海道新聞 03/09 05:00)より

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年を迎える。

あの危機を忘れてはならない。準備不足があったなら、問題点を徹底的に洗い出し、対応策を具体的に講じるのが政治の役割である。災害大国とも称される日本で、もう「想定外」は通用しない。

昨年10月、菅義偉首相は所信表明演説で「被災者の皆さんの心に寄り添いながら、一層のスピード感を持って、復興・再生に取り組みます」と訴えた。震災後、歴代の政権は同様のメッセージを口にしてきた。しかし、その本気度に対しては常に疑いの目が注がれてきた。

閣僚から福島県内の汚染土の中間貯蔵施設建設を巡り「最後は金目」との発言が出たり、復興相経験者が震災の被害を「東北で良かった」と言い放ったりした。

被災地の心情を逆なでする発言が続くのは、政治家が震災復興を人気取りや支持率維持の道具として扱い、その重要性を真剣に考えていないからではないか。

ときに国民に負担を強いる復興政策を力強く推進するためには、政治に対する国民の信頼が欠かせない。ところが、逆に政治不信が増しているのが現状だ。

7年8か月続いた安倍晋三政権では、財務省が決算文書を改ざんした森友学園問題など、官僚らが首相の顔色をうかがう「忖度政治」がはびこった。

菅政権でも、首相の長男と総務省幹部の癒着が疑われている。国民より自分の「身内」を優先するかのような政治に、国の再生など期待すべくもない。

さまざまな声に広く耳を傾け、求められる政策を的確に把握し、着実に実行する。そうした基本を見つめ直し、国民本位の姿勢で難局を乗り越える政治を確立しなければならない。

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