リニア工事で井戸枯渇、ため池にひび…住民「元に戻して」 岐阜・瑞浪市、井戸水の家庭もある集落

ひび割れた底が見えるため池=14日午後、瑞浪市大湫町 社会

リニア工事で井戸枯渇、ため池にひび…住民「元に戻して」 岐阜・瑞浪市、井戸水の家庭もある集落(岐阜新聞 2024年5月15日 07:40)

リニア中央新幹線のトンネル掘削工事の影響で、14日までに井戸などの水位が低下していることが明らかになった岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町。井戸水を利用する家庭もある山あいの集落では、今年に入ってから水位低下が見られ始めた。リニア工事の負の影響に住民はショックを隠せず、「環境を元に戻して」と望みを口にした。

大湫町区長会長の男性(67)は、本紙の取材に「まさかこんなことが起きるとは。ライフラインで最も大事な水。元に戻してほしい」と訴えた。男性は1月、リニア中央新幹線日吉トンネルの工事を見学した際、トンネルからあふれ出る湧き水に、これは大湫町から流れ出ているのではと懸念した。その1カ月後にJRが設置している観測井の水位が減少していて、同町内の一つの井戸が枯渇していると連絡が入った。

3月の大湫町の北、西各区の総会で、JR側から「地下水の水位の低下はトンネル工事の影響が考えられる」と告げられ、住民は工事の中止と水源確保を要求した。

住民女性は、飲み水に使っていた自宅の約30メートルの井戸について、約1カ月前に水位が下がっていることを確認。「今は水が出なくなった」と話し、水道に切り替えたという。ある男性は、近くのため池について「水がなくなるなんて初めて」と語った。

付近の水田について、住民男性は「近くの川から水を引き影響ないはずだが、田んぼの水が早く引いていく気がする」と心配そうに水田を見つめていた。

水野光二瑞浪市長は「早急に住民の意見を聞く」とした上で、「JRにきちっとした対応を求めていく」と答えた。